第16証言 チープトークとスタグハント

文字数 7,741文字

第16証言 チープトークとスタグハント

レッドローズの待機している小応接間の扉をノックもなく押す。豁然と飛び込んできたのは、馬鹿みたいに大きな鹿の剥製の飾ってある少し悪趣味な部屋だった。
お互いとってに好都合なことに、室内はふたりきりだった。カーテンは閉ざされて従者はいない。目撃者もいない。俺は念の為、アクセルロッドの冷たい芯を握りしめる。
しかし掛けられた声色から、どうやら面会を翹望していたのはこちらばかりではないと知れた。

「おう、殿下。久しぶり! 馬から落ちて記憶喪失だって? 心配したんだぜ。あたいのことも忘れちまったか?」

レッドローズと会うのは成り行き上、王妃たちの中で最後となった。これまで会った順番に列挙すると、
灰色の髪のシンディ、白色の髪のスノウ、黒色の髪のリドル、金色の髪のレイチェル、緑色の髪のローサ、橙色の髪のイストワール、青色の髪のルカ(便宜上、髪の色で区別する)。
そしてここにレッドローズが加わる。もちろん髪の色は赤、瞳の色もほど赤い。燃えるように赤い唇と整った鼻筋は、魅力的な顔立ちという百科事典的な(ディドロ、ダランベール)部類に入る。
勝ち気な女性であることは、何というか選択した口調からもわかる。
王妃たちはみな方言レベルで口調もばらばらだが、どうやらこの世界には日本語で話せばそれすなわち高貴であるというノリだけが伝わっていて、
標準語なんてアイデアは微塵もないらしい。だからそれぞれの王妃は、自分にあった、あるいは適当な言語変種を選択している。
レッドローズがこういう勇ましい言語変種を選びとったのは、たぶん性格からのものだろう。この世界(フォーク)では話し言葉(パロール)は獲得される個性なのだ。

「ファミリア国のあれこれすら忘れてしまったのに、お前のことだけ憶えてるわけもなくてな」

いまは先代の影もなくひとりでこの城を管理しているというレッドローズは、城主として相応しい貫禄で俺の言葉を捌いた。

「ほら、あたいがレッドローズだよ。殿下の恩寵を賜って、こうしてナチュリアを治めさせてもらってる。感謝してるぜ? いまのところは事件もなくうまくやれてる。約束は、憶えてるよな?」

「だから憶えてな……わかった。言ってみろ。何だ」

「もし前みたいにあたいの主権を認めない奴らが反乱や暴動を起こしたら、すぐにファミリアから鎮圧の手を貸してくれる約束だぜ」

なるほど。どうやら彼女には過去の貸しがありそうだ。おおかたこの地域で反乱が起こったときに、ファミリア国が援軍を派兵してうまく収めたとかそんな経緯(とこ)だろう。
ぶっちゃけ、シンディの講義でそのようなことを聞いたような気もするが。

「あとで確認する」

憮然としてそう応答した。が、特にそれ以上の追求もなく、今度はレッドローズは妙にくねくねとしなをつくるような動作を伴って、

「それよりも今夜、殿下はパーティでまずあたいと踊ってくれるよな? だってあたいの城でパーティを開こうだなんて、つまりはそういうことだろ…?」

そうして顔を赤らめて下を向いたりなどしている。今夜のパーティにまつわる根拠のない取沙汰(ウワサ)を真に受けているのなら、レッドローズは存外かなりのロマンチストだと言えた。
それかひたすら権力に貪欲な野心家で、どうしてもファミリア全土を手に入れたいと望んでいるか。どっちかは分からない。
俺は単刀直入に切り出した。

「レッドローズ、率直に。お前に容疑がかかってる」

「よ、容疑? 殿下よお、そりゃまた大仰だぜ…」

「ハートのジャックって知ってるだろう? お前の部下の通称だ。そいつが月乃を暗殺した。お前の容疑は主人としての監督責任、あるいは主犯の黒幕だ」

「えっ!!? 待ってくれよ!」

「じゃあ待つぞ。1,2,3,待った。まずハートのジャックの所在について聞こうか」

待ち侘びたんだ。もう何ヶ月も。悪いがもう待てない。ところがレッドローズは鳩が寝耳に水を入れられたと言わんばかりの狼狽した表情をした。そして俺に弁解した。

「ハートのジャックなんて根拠のない噂で、アイツはもう何年も前に姿を消したんだ。あたいは行き先なんて知らねぇ……」

俺はもう一度詰めた。

「知らないでは済まされないぞ。ハートのジャックは殺し屋だ。いくらこのあたりが物騒な情勢だからといって、
その殺し屋を一時期とはいえお前は部下に飼っていたことになる。もっと言えば、金さえ払えば誰の依頼も引き受けるような教育をしたのはお前の責任だ。
その甘えが月乃の暗殺という結果に繋がったんじゃないか?」

「いや、殿下は誤解してるんだ。今からあたいが言うことをどうか聞いてくれ、そうしたら絶対にあたいが黒幕だなんて殿下は思わなくなるから……」

レッドローズのその謂には確かに裏付けがあるようだ。その(しるし)に、そう言われて追求の手を止めてやるとまるで彼女は話す前から罪が解けたかのように安心していた。
これから話す内容にそれなりの自信はあるらしい。

「あたいは月乃さんが死んじまった本当の理由を知ってるんだよ」

と、レッドローズは宣言する。月乃が死んだ本当の理由? 俺は前もってあつめた証拠で手短に攻撃した。

「月乃は暗殺されたんだ。あの日。俺は事故だと言ったようだが、事故じゃない。その証拠にシンディとスノウがーー」

するとレッドローズは拝白(うちあけ)た。

()、あれは病気だよ」


回想――レッドローズの回想
→よく知った街が燃えてた……あの広場が、親父がつくった武器庫が勢いよく燃えてた……噴水が焼け焦げた……大通りは逃げ惑う女たちでごった返してた……剣を持った男ら、次々に詰めかけて、
辺り一帯は揉め事が煤けた鍋の上をすべるバターみたいに広がった。ここは戦場だ、()、地獄だ……あいつらこの場所を戦場にしやがった……
恨めしい。どうにもできない。袋詰めで物資を輸送する荷車がひっくり返って骨組みだけになって燃えて道を塞いでる……城の被害はどうだかわからない……
ナイフを持って荷車に何かしてる男が居る……家の中へ入って奪おうとしている男が居る……あたいは剣を拾った……
持ち手にはナチュリア王家の紋章が施してあった……その同じ印が高い所から引きずり降ろされて燃えてる光景を見てから、あたいはいつもほかの王妃たちとちがってた、
本物の王家じゃないんだと子供の頃に思ってた……あたいの家は本物の王家じゃない……成り上がりの一族だ。それじゃみんな従わない。
守れない。民も何も。他の国では当たり前にできる行事が、この国じゃ行えやしない。
ナチュリアにはほかの王妃たちは誰も訪れない。貴族だって燻ってる……言うにこと欠いて、ここは野蛮な地方だなんて呼ばれてる。
全部この反乱軍(レジスタンス)と盗賊の混成軍のせいだ。あいつら、ぶっ殺してやる――あたいが剣を振り上げようとしたとき突然、不思議な閃光があがる。
……輝きのある炎だった。あたいは振り返った……異国風の不思議な少年が、かなり値打ち物の黒駒に乗って通りを駆けてた。その手には炎纏う剣が握られてた……
彼は通りの男どもをつぎつぎと薙ぎ払って……味方も臆するほどの余勢で……嘘みたいに鎮めてった。一面制圧して、それでこっちへ向かって視線を寄越した。あたいは何も言えなかった。
あれがファミリア王とあと知って、ひどく驚いた。助けに来てくれたんだ。こんなことはいままで無かった。いつもはもっと……こう手遅れになってから来る。
ファミリアからこの国まで何日もかかる。準備だってある……ところが今回は先読みしたみたいに援軍が現れて……あたいはあとでそいつが異世界からきた王だってことを知った。
異世界から召喚された英雄はこの大陸に何人も伝わってる。古王国のジョンダン、カーライル、いまも存命なリンギアのエミー・ネーター、そしてアレゴリアの神秘者ラマクリシュナン。
あたいに解かるだけでもそれくらい、ほんとは両手以上いる。あのとき大通りでファイヤアーベントを振り翳してた人物は、だから妖精の異世界人だったんだ。
ファミリアの殿下はすべて収めてからあたいに言った。「この土地はお前のものだ」って。国内にも渙発した。効果は覿面だ……ゴキブリみたいな盗賊はみんなファミリア王家の威光を恐れて逃散してった。
ただ、レジスタンスはまだ暴れることもあった……やつら数年前に親父をあっちへ連れて行った張本人だ。親父が死んだんだ、あとひといきと思ったんだろう。でもあたいの運が優った。ファミリアを味方に付けたナチュリアは頑強(ロバスト)だった。この上なく。
もう二度と街が炎に包まれることはない……やつらとうとう退却をはじめた。畏れてたんだ。後で解ったけど……ファミリア王は剣の腕はさほどじゃない。練兵場で競ったらあたいと互角くらいだった。
でも、そうじゃねえ。威厳があるんだ。王威をまとって……存在そのものに、拭い去ることのできない煌きがあるんだ。そいつがあれば無敵だ。
戦場は……いつ誰が命を落としてもおかしくない場所かって?……いや、英雄は死なねえ……一兵卒に英雄を殺すことなぞできねえから……英雄にかぎってそういう戦場で死ぬことはない。
月乃さんもだ。たとえどんな危険があっても、彼女が戦場で還れないなんてことはない。特別な理由でもないかぎり……
月乃さんとはじめて会ったのは最初に殿下と出会ったのと少し時間をおいて、殿下の二度目の訪問のときだったあれは。
ナチュリアの治安が治まってきて、テラゴン市場もようやく活気を取り戻してた。あたいははじめっから月乃さんに嫉妬してた……莫連(あばずれ)で、いけすかない女だって誹謗した。
殿下と常に一緒にいる、あたいは引き裂いてやりたかった……あたいから殿下を奪いやがったって。けど月乃さんは好いやつで……あたいはすぐに誤解を解いた。
なぜ気づいたかってあたいはすぐ詰めかけたからだ。月乃さんがひとりいたところを彼女に詰め寄って口論になって、うっかり口を滑らせちまって、

「あたいは殿下のことが好きなんだ、だからお前には渡さねぇ!」

って、そんなこといった。月乃さん笑ってた……そりゃそうだ、誰だってこんな馬鹿げた直截対決じみた真似を色ごとに持ち込まないから……でもやっちまった。
彼女笑って、諭すようにいった。

「貴女達はほんとに……自動的に祐のことを好きになっちゃうんだね。わたしはね、貴女のことは心から尊敬してるの。だって
わたしは、貴族じゃない。ただの異世界人。貴女のようにたくさんの領民を預かることはできないし、領土を持つこともない。
いわゆる王侯貴族って、ノーブレス・オブリージュに則って行動するでしょ? だからね、わたしが訊きたいのは、貴女は本当にちゃんと佑のことが好き?
自分の国の未来のために、領民のためにそうしないといけないって思っちゃってない? もっと自由になって考えてみて。
わたしも祐には幸せになって欲しいの。だからね、その相手がわたしであるか、そうでないかなんて些細な問題。
貴女が祐のことを真実に愛してるなら、貴女でもいいよ。他の人でもいい。でももしその恋が国のため、打算のためだったら? 祐は幸せになれるかな?」

言い返しにくかった。たしかにあたいはこの国を守りたい。でも、それで殿下と結婚しなきゃいけないって思いつめてるあたいを月乃さん「かわいそう」といった。
あたいは殿下のことが好きだ、でも殿下を好きになるしかなかったのも確かだ。そもそもあたいは王家の娘で、身分の高い人間(ヤツ)としか恋愛できない。
殿下と結婚すれば、ファミリア領内での地位があがって、この国は繁栄できる。でも殿下の幸せってこととなると、あたいは何も考えちゃいなかった。
そうだ、殿下にとってあたいと結婚することに、何のメリットがあるってんだ……完全に抜け落ちてた。
あたいは怖かった。これまで自動的に生きてきたことが怖かった。それでも殿下のことを諦めたくはねえから……あたいは月乃さんに認められたかった。
手前の王家のことしか考えてない自分勝手な女と思われるのは()だった。矜持(プライド)ってやつがある。
あたいにできることは限られてたけど、それから殿下に狩りを教えたり、練兵場で訓練相手になってやることをしたりした。
特に狩りは良いアイデアだったあれは……この辺の気候と地形は特に狩りに適してる……遠い昔父親によく連れられて……あたいは狩りが大好きになったもんだ。
それを殿下にも教えてやりたかった。だから提案した……翌朝、月乃さんハンティングには興味ないって殿下とふたりきりであたいを送り出した……それであたいは譲ってくれたと思った……殿下はその狩りで出来合いの武器だけで大きな鹿を捕まえて、いまじゃ城に剥製にして飾ってある。
あれはあたいも楽しかったし殿下もすごく楽しそうだった。今度来たらもう一度やりたいって、出国するときそう言ってくれたんだ……あたいは涙が出ちまうほどに嬉しかったな。
あたいは月乃さんが言ってたのはこのことなんだって、殿下に尽くすことが大切なんだって学んだ。
でも、結局どれだけ有限の時間を積み重ねても、異世界から殿下と知り合いだった月乃さんには敵わねぇんじゃねえかって心のどこかで蟠ってた。もやもやしてた。だからあの噺を聞かされたとき、あたいはとても……妙な気持ちになった。

                    米

3度目の会遇のきっかけは小規模な反乱で、魔術師の月乃さんも加わった直轄軍がナチュリアに駆けつけた頃には徒党は躾けられた狗みたいに沈静化してた。
殿下は明日到着の予定だったけど、それまでにもう大方が終わってた。あたいは来てくれた兵隊さんたちを丁重に饗すよう手配して、主賓の月乃さんにも最上級の席を用意した。
その頃は、あたいと月乃さんは嘘みたいに仲良くなってた。お互い腹を割って何だって話せる、恋愛のことも、ほかのことだって。
其れで相談になった、月乃さん宴の後で薬を飲んでた。

「うーん……ちょっと難しい病気みたいなの。あ、佑には秘密にしておいてね。余計な心配はかけたくないから。
でもね、この薬はただの気休め程度で、イヤな話だけど、どうなるか分かんないよねぇ……」

「そ、そんなこと……あたいに言っていいのかよ」

あのときばかりは動揺なんて隠せやしなかった。

「んー? 何でだめ? むしろいいお医者さんでも紹介して貰えたら、ラッキーじゃない?」

月乃さん笑ってた。あたいは何も言えなかった、頭の中では必死に打算を振り払ってた。悲しいんだ、悲しい……月乃さんは別に怖いとも悔しいとも思ってなさそうな為りで、一言、ぽつりと呟いた。

「ねえレッドローズさん。もしものことがあったら、よろしくね」

と。

「どういうことだよ?」

答えは返ってこなかった。ほんの悪戯っぽい笑みだけが、どうにも健康にしか見えないようなそのかんばせに浮かんでた。


「あれは病気だよ」

レッドローズは言った。この世界における月乃の死因が暗殺ではなく、じつは病死――自然死だったという突然に提示された選択肢。
新しい仮説が即座に構築されていく。その間にもレッドローズの証言は続く。

「あたいと月乃さんには分け合った秘密があったんだ。月乃さんは殿下を心配させたくねえからって、病気のことはずっと黙ってた。けど、あたいは偶然に知っちまったんだ。
月乃さんは難しい病気にかかってて、ひそかに体を心配してた。だから戦場で月乃さんが逝っちまったって報らされたとき、まさか油断して()られたなんて信じなかった、
運悪く病気がたたって、危険な状態におちいって、それできっと命を落としちまったに違いねえって。
たしかに殿下は以前は事故だって信じてたさ、でもあたいはその事故を引き起したおおもとの原因が病気だってことは知ってた。そりゃ黙ってたことは謝るぜ?
でもだからって、あたいが殺したなんて物騒な説は引っ込めてくれよ……」

病気――いつしか観じた違和感の正体はこれだったろうか。
少なくとも俺が今まで見落としていたこと、それはチェンジリングの弱い因果拘束である。
チェンジリングの魔術では、妖精と人間は区別がつかないくらい同一の存在である。同一の存在であるということは、実質的には同じ肉体を所有しているということで、
実質的には同じ肉体を所有しているということは、その概ねの自然寿命は重なる。病気でいえば、難病の病的素因、遺伝的発病因子も同一のものを保持しているということだ。
いつ誰がどんな病気に罹るかということは遺伝子によってプログラムされている。現実世界で月乃が不治の病を発病したのなら、同じ肉体から構成されるこのフォークに召喚された月乃も不治の病を発病した可能性が高い。
環境によって発症時期がはやまるか遅まるかの違いこそあれ、同じ肉体である以上、異世界でも高い発病リスクがあったと考えられる。
よって新仮説はこうなる。あのときレーテーの遠征で戦場に行ったはいいが、俺には心配させまいと隠していた病状が悪化した月乃は、そのせいで直截に病死か、あるいは関連死してしまった、と。
もちろん病気で弱っていたところをハートのジャックに暗殺されたという可能性もなくはない、捨てきれないが、ただしその場合、暗殺がなくとも月乃の寿命はもうそれほど永くなかったのではないか?
という疑念を差し挟む余地が成立する。
だからレッドローズの言ってることが正しい、事実であると仮構すれば、ハートのジャック云々の予測論はもとから無関係となりて瓦解し、関連容疑者であるレッドローズもたちまち無罪放免となる。
その信憑性に関して言えば、現実世界で月乃が病死したことを知らないはずのレッドローズがフォークにおける月乃の病死という可能性を提示するなど、咄嗟の作話としては出来すぎている。
もちろんこの説は穴を突ける。月乃は病気のことを隠していたという話だが、本当に重くて苦しい症状だったら俺に隠し通すことすら不可能だったはずだ。
曲りなりにもそれができたということは、病気だったとしてもまだ進行は軽かったのではないか? 治療は可能だったのではないか? と訝しめなくもない。
そう、治療だ。この異世界(フォーク)では、魔術師なら不老長寿の方法はいくらでもある。マーリンだって実年齢はかなりのものだが、魔術によって若返り、年齢を固定し健康を維持している(に違いない)。
また別の証拠に、マーリンからきいたリンギアのエミーだってこの大陸で何百年と生き続けている魔女だ。もちろん疫病や大病などこっちの世界に無いわけがないし、それらを跳ね除ける不老不死を持っているということだ。
そしてシンディは、月乃は魔術の才能が高くファミリアでも並ぶ者はいない程だったと言った。
だったら不老長寿の秘術しかり、現実世界での難病を魔法で快癒する術だって可能だったんじゃないか?
それなのにレーテーで戦死することとなったのは、やはり陰謀が関わっているからではないのか?

「ハートのジャックには会えないか?」

俺はとりあえずそこをはっきりさせたい。今一番話が聞きたい相手はハートのジャックだ。もちろんスノウがでたらめを言ったなんて可能性も、今やある。
レッドローズはわなわなと震えながら釈明した。あきらかに痛いところを突かれたという表情だった。

「許してくれ殿下。あいつはもう……」
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登場人物紹介

スノウ(白雪姫)

ファミリア第一王妃。北のコンプレクシアを統治する王族の末裔

シンディ(灰被り姫)

ファミリア第二王妃。北西のレアリアを領知する皇族

リドル(アリス)

ファミリア第三王妃。西国ラシオニアの大公令嬢

ルカ(人魚姫)

ファミリア第四王妃。南西の小国インテジアのお姫様

レッドローズ(赤の女王)

ファミリア第五王妃。南国ナチュリアの若き女王

レイチェル(ラプンツェル)

ファミリア第六王妃。南東の強国イーヴェニアの統治者。

ローサ(いばら姫)

ファミリア第七王妃。東国オッディアの姫御子。

イストワール(シェヘラザード)

ファミリア第八王妃。北東のプライミアを支配するえらいひと。

火具屋かぐや 月乃つきの(かぐや姫)

ファミリア第九王妃。ヒロイン。異界人。魔法使い。

死亡済み。

御門みかど 祐介ゆうすけ

十番目の主人公。ファミリア王。異界人。勇者。

別名、空虚な中心。

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