第23話「最終話」:父の死と葬儀、節電警報

文字数 2,123文字

 やがて.2月16日、昼、葬儀が始まり、9人乗りワゴン・レンタカーを借りて鴨川駅まで迎えに行った。それでも23名の親類、縁者が来て、ご焼香してくれた。この日、不動産屋さんも来てくれた。
「喪主の嵯峨勝一が挨拶していると在りし日の父を思い出し涙が流れ落ち言葉に詰まった」
「父が今生別れの時、きっと、皆様にありがとうと言っていることでしょうと告げた」
「すると参列さんからすすり泣く声が聞こえた」
「しかし、太陽は、その姿をしっかりと照らしてくれた」

 2月22日、オミクロン株の市中感染が大阪府で確認された。これ以降、過去に例のないスピードで感染が急増し、いわゆる感染の「第6波」に入った。ウクライナ東部「ドンバス地方」の一部を占領後に一方的に独立状態の親露派国家「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立をロシアが承認した。2月28日国内における新型ウイルス感染症の感染者数が累計で500万人を超えた。

 3月16日、23時36分頃、福島県沖、牡鹿半島の南南東60キロ付近の深さ57キロを震源とするマグニチュード7.4の地震が発生。宮城県や福島県で最大震度6強の揺れを観測し震度6弱~1の揺れを北海道から九州地方にかけて観測した。新幹線の脱線や高速道路が土砂崩れ、道路のひび割れなど多くの被害が出て航空各社が臨時便を出した。

 経済産業省は、この地震の影響で火力発電所の計11基が一時停止したと発表。この地震の影響で東北電力管内で最大約14万8千戸、東京電力管内で最大約208万5千戸が停電した。3月21日、経済産業省は、16日発生の福島県沖地震の影響で火力発電所6基が引き続き停止状態になった。 そのため、翌22日の東京電力管内「1都8県」の電力利用者に節電を呼びかけ、「電力需給逼迫警報」を発令した。

 三条俊恵と三条一善は、日吉の慶応大学に進学し、学校の近くの学生マンションに入居する事にした。こうして4月を迎えた。4月24日、不動産屋さんから電話が入り、一度、お会いして相談したい事があると言われ了解した。少しして不動産屋が、嵯峨勝一のところに来て、実は、自宅の周りのアパートを買ってもらえませんかと言った。

 そこで事情を聞くと、このアパートのオーナーは、今、住んでいる家の家主さんの子供なのですか、事業に失敗して、かなりの負債を抱えて困っている。そこで、安くしますから現金で買って欲しいと言った。いくらと聞くと現状渡し約200坪の土地とアパ-ト12室で3千万円と言った。しかし、アパート12戸で、現在の住人は、4人で、残り8戸は、空いてると言った。

 不動産屋が、その空いてる8戸の部屋に勝浦、鴨川、館山で食べるのに困っている人達を入れたいので是非協力して欲しいと言った。また、入居してる4人も経済的に困窮している。そのため、実は、家賃を半額にしていると打ち明けた。急に言われても私一人だけでは、決めかねますので、家族4人で検討して、お答えすると言うことで良いですかというと、ありがとうございますと言った。

 この話を奥さんと娘夫婦に相談すると資金的には、可能であると言われた。また、今後もこの南房総の太平洋岸の場所が気に入っているので、協力したいと娘夫婦が言った。奥さんもできるだけのことはしてあげましょうと言い反対意見が出なかった。数日後、不動産屋に電話すると、本当ですか、そりゃーありがたいと言ってくれた。

 その週の日曜の夕方、不動産屋と友人達が、アジ、メバル、キス、メジナをたくさん釣れたからと嵯峨の家に持ってきてくれた。そして、本当に助かりましたと言った。釣り仲間は、この地区のボランティア・グループ友人達ですと言い紹介してくれた。その後、嵯峨勝一は、不動産屋と釣り仲間に入って、釣りの仕方を習った。その後、地元で不動産屋が主催している外房南部楽老会に入会した。

 そして、釣りや麻雀、ゴルフを一緒に楽しむようになった。春になり飲み会に誘われ、嵯峨勝一が不動産屋さんに世の中、変わってきて慣れるのが大変ですねと言った。すると仲間の会長をしている80代のお医者さんが世の中の変化が、いつも正しいとは限らない。だから、戦争が起こったりした。日本でも現在、民主主義になり新しい時代の変化でも人に役立つものとそうでないものを分けるようになった。

 現在、新型ウイルス感染症が世界で大問題になっているが、これが何故、起こったのか、そして、どうやって克服していくべきか考えて行くべきだ。今わかっていることは、以前のような合理主義が絶対ではなく自然と人間が共存して調和を保っていかないと人を取り巻く自然環境を壊してしまう。それにより地球に住めなくなる事がわかってきた。

 そのため、以前よりも費用がかかろうが、自然と人間が、共存して、いつまでも人と自然が生きていけるような地球にもどさなかればならない。今起きている多く問題は、その過渡期として神が人類に与えた試練かもしれない。その試練に打ち勝つために破壊された地球環境を自然に優しい生活をして、自然が復活できるようにすべきなのだと語った。それを聞いて、嵯峨は、目から鱗が落ちたような気になった。「完結」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み