コント「守備力」

文字数 2,353文字

            (夜の宿屋)



勇者:いやー今日も頑張ったなあー!


パラディン:頑張った。どれだけモンスター倒したか分からないもんな。

今日だけで人々の笑顔見過ぎてもうちょっと笑顔に飽きてるもん。


勇者:あっオレも。こういう現象あるんだね。感謝もされ過ぎるともたれるんだね。

  いやーしかしこの快進撃はさ、お前の「におうだち」あれがいいんだよ!あれで俺たち安心して戦えるの!


パラディン:あーそう言ってもらえると嬉しいよ。ひたすら守備力鍛えた甲斐があったよ。


勇者:お前の守備力凄いもんな!

あのね、オレ守備力全然低いほうじゃないの。お母さんからも「アンタは本当に守備力が高い子だよー。」なんて言われて育ったの。

ある時期オレお母さんからアンタは守備力が高い以外なにも言われてない1年とかあるからね?


パラディン:凄い1年あるね!激レアな1年。


勇者:それでオレ大学も守備力で入ったからね?


パラディン:ああ守備力推薦か。うん。


勇者:そんなオレが、守備力440なの。高いよね?一緒に居る魔法使いの女の子なんか210とかだったよ。それでお前が?


パラディン:6億。


勇者:6億だもんな!6億だよ!だって今日もレベルひとつ上がって2億上がってたもんな!


パラディン:上がったもう俺守備力が止まらないの。まだ俺レベル37だからね。この先どうなるんだろう。


勇者:スゲェなあもう神だね。

えっ大丈夫オレみたいな平民がこんなタメ口でしゃべって大丈夫な人?お前って。内心怒ってたりしない?


パラディン:大丈夫だよ俺は守備力が高い以前に1人の人間なんだから!勇者がそんな心配するなよ!


勇者:マジで!?大丈夫ね!?いやー凄いなあ。6億かあ。えっそれはなんなの体が固くなってくの?


パラディン:いやなんかそういう感じでもないんだよねー。触ってみ?


勇者:...あーホントだ普通に人間だね。あー耳たぶも普通だ。普通に料理する時の目安に使えそうだ。


パラディン:でしょ?体が固くなるというよりは、なんかね痛みを感じなくなってくるんだよ。


勇者:あーそういうことなんだー。えっいつごろから気付いた「あれ?最近痛み感じねぇな?」って。


パラディン:あーやっぱね、守備力が千越えたあたりだね。


勇者:千なんだ!千の壁なんだ!確かに普通千越えらんないもんね!それで今6億なんだ!

えっじゃあ例えばちょっとさ、デコピンしていい?


パラディン:別にいいよ?


勇者:マジで?いくよ?...あっちょっと待って集中するわ。お前のこと魔王だと思ってやるわ。


パラディン:魔王と思わなくてもいいだろ。


勇者:こいつがオレの家族全員殺したオレの家族全員殺した。


パラディン:そんな魔王への憎しみ俺に向けてまで集中するなよ!


勇者:オレの18人の兄弟全員を


パラディン:大家族だったんだね!大家族勇者!よく大学行けたね。


勇者:7人のお父さんも全員。


パラディン:複雑だね!!ただお母さん1人なのスゴイね!守備力が高いしか言わないお母さん!


勇者:...オリャア!!  どう?


パラディン:全く痛くないね。


勇者:マジか!?オレいま会心のデコピンだったよ!?これから魔物相手にやっていこうかなと思う手応えだったよ!?


パラディン:いやー痛くないね。


勇者:マジか!へえースゲーなあー。

あっそうだオレ甘いもの食べたくなってシュークリーム買ったんだ。食べる?


パラディン:あ、食べたい。


勇者:はい。


.....


パラディン:うわ、うわなにこれ辛え!!辛えなにこれ!!


勇者:オレがカラシを入れたシュークリームでしたー!


パラディン:なんでそんなことすんだよ!


勇者:辛いんだ!?辛いのは感じるんだ!?


パラディン:そりゃ感じるよ味覚は普通だよ!


勇者:でも辛みって痛みだっていうじゃん!


パラディン:そんなのはウソだね!!!今証明されたウソなんだよあんなの!うわ辛いなちくしょう。


勇者:はい水。


パラディン:...ブッ!!辛い水じゃん!!!飲んだらもっと辛くなるやつじゃん!


勇者:辛いんだ!?これも感じるんだ!?


パラディン:そりゃ感じるだろ!なんでカラシシュークリームは辛くて辛い水は辛くないんだよ!


勇者:ハハハッ面白えなあ。

ただオレさ、出会った時からお前の顔嫌いなんだよ。なんか生理的にっていうか。出来る限り顔は見ないようにしてる。

......どう胸痛い?


パラディン:痛くはないよ。


勇者:あ痛くないんだ!?やっぱスゴイね!?


パラディン:いや胸が痛いってあんま被害者側は言わなくない!?加害者が後悔して言うやつじゃない!?

そして俺はさっきの言葉が実験のためのウソなのか本心なのかが気になってるよ!


勇者:まあそれはいいじゃない!


パラディン:なんでうやむやにするんだ!そこはウソウソでいいだろ!


勇者:ウオリャアアア!!!


パラディン:急に金属バットでフルスイングするなよ!!正気かよ!


勇者:どう痛い?


パラディン:痛くはないよ!なにか触れたなあってくらいよ!ただ骨は折れたよ!


勇者:折れたんだ!!?オレ折っちゃった!?


パラディン:バキッっていったよ!多分ね太ももの人間で1番太い骨が折れた!ただ無痛!完全なる無痛!


勇者:とうっ。


パラディン:折れたところをデコピンするなよ!!もう人としてどうかしてるぞ!痛くはないけどね!!!


勇者:オレ眠いから自分で病院行ってね。


パラディン:お前ヤバイね!!お前は仲間の骨折って胸痛くないの!?


勇者:全く。


パラディン:胸の守備力凄いな!!お前胸の守備力6億か!


勇者:ZZZZZ


パラディン:寝るな!!お前なに人の骨折って1分経たずにイビキかいてんだ!!

もう俺こいつのためににおうだちするの嫌だわ!

はあ病院行かなきゃなあ。治療費俺が払うのか?今月ピンチなのに。この出費は痛いわー。


勇者:あ痛いんだ!?


パラディン:うるせえな!!!

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