コント「ロボ」

文字数 2,523文字

博士: ...遂に...遂に完成したぞ!私の努力の結晶。私の可愛い可愛い、殺りくロボだ!



助手:遂に出来たんですね...!



博士:こいつに滅ぼせないものはない。私たちは無限の、究極のチカラを手に入れたのだ!



助手:すごい...!



博士:ただひとつ問題がある。



助手:問題?なんですか?僕プログラミングを間違えましたか?



博士:そうではない!そんなものではないもっと重要な問題だ!



助手: えっなんなんですか一体!



博士:私は...私は...!なんでこのロボ作ったんだ?



助手: .....はい?



博士:これ殺りくロボだよね?



助手:そうですよ?どんなものでも一瞬で滅ぼす、壊すためだけに生まれたロボです!



博士:だよね!?どんなものでも一瞬で滅ぼすんだよね!?私滅ぼしたいものがないんだけど!!!



助手:えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!



博士:滅ぼしたくないよ!全ての命が尊いよ!みんなとすこやかに笑い合って生きていきたいよ!!!



助手:めちゃくちゃ良い人!!えっなんか人間が憎くなったとかじゃないんですか!?



博士:違うよ!私は世にも珍しい人間が大好きで仕方がない博士だ!!



助手:珍しい!!僕の感覚だと世界初!!



博士:歴代で1番好きなテレビ番組は田舎に泊まろうだ!!



助手:めちゃくちゃ平和なやつ!!誰も滅びないやつ!



博士:天空の城ラビュタは途中滅びの呪文が出て来るからあんまり好きじゃない!



助手:いや博士その呪文より滅ぼせるもの作ったんですよ!?



博士:いやだージブリでは おもひでぽろぽろが好きー。



助手:1番平和なやつ!!あなたは思い出に浸るな!



博士:ねぇこのロボ作るの20年掛かったんだよ!?その間大好きな友達からの誘いも全部断ってさ!

友達1人も居なくなったよ!友達500人いたのに!



助手:スゲェいたんですね!おそらくそれも博士史上初!



博士:ねぇそこまでしてなんでこのロボ作ったの!?



助手:知らないですよ!僕はマッドサイエンティストに付いたつもりで助手やってたんですから!



博士:私はなにをしようとしてたんだ!きっとなにかあるはずなんだ!ちょっと20年前のアルバムを見てみよう。

.....ダメだ分からない。どの写真もたくさんの友達に囲まれた満面の笑顔の私だ!!



助手:充実してんなあ!!アゴを外さんばかりの笑顔!この頃から殺りくロボを作り始めたんですね!



博士:あ、これ彼女。



助手:彼女も居たんですね!!まだ言葉が生まれる前からリア充してる!

あっでも彼女!その彼女にひどいフラれ方されたとか!



博士:違うよこの人いま奥さんだよ。



助手:結婚してたんだ!!理想の人生歩んでる!



博士:あっ将来の夢「博士になってみんなが笑顔になる発明をしたい」だって。



助手:ひとつ叶えてるけどひとつ真逆行ってますね!みんなの笑顔奪う発明してますからね!

あーもう動機はなんでもいいですよ!せっかく完成したんだから起動してみましょうよ!



博士:ダメだよこいつ起動したら2秒で地球滅ぶよ?



助手:そんなに!?これそんな強いの!?



博士:こいつのパンチ力はカンガルーのキックの8億倍だぞ!



助手:全くピンと来ないですけどね!!なんでパンチ力をキック力で表したんだ!



博士:こいつアベンジャーズ一発で倒せるからね。



助手:強いな!!そして強さの表現としてさっきの9億倍分かりやすい!



博士:仕方ない。こいつは...インテリアだな。



助手:インテリア!?20年全てを犠牲にしてインテリア作ったんですか!?そんなのお店で買えるザクじゃないですか!



博士:よし名前もインテリアにしよう!



助手:そのままだな!ただ奇跡的にちょっとロボっぽい!

じゃあせめてロボっぽくアルファベットでINTRA-20にしましょう!



博士:いいなカッコイイな!



助手:でしょう!まあほぼDAI語ですけどね!



博士:決まりだ!...今日までこうなることに気付けなくてすまなかった。集中するとこうなってしまうタイプでな。



助手:そこだけ博士体質ですね!無駄な才能!



博士:インテリアなら19年11ヶ月前には完成していた。



助手:そんなずっと無駄な期間!?19年11ヶ月掛けてカンガルーのキックの8億倍のパンチ力付けたの!?



博士:そしてコアラのひっかきの10億倍のビームな。



助手:だから分からないんですよ!!それで有袋類好きだな!



博士:とにかくこれを起動させることはできない。実験でもして取り返しのつかないことをしてはいけないからな。



助手: .....腰抜けが。



博士:なに?



助手:俺はアンタと出会ってから10年間、この日だけを楽しみに生きてきた。

それが起動できない?まして俺が助手になってからの日々は全て無駄だった?ふざけるな。

アンタに出来ないなら俺がやってやるよ。そうだ!アンタを最初の1人にしてやるよ。アンタの努力の結晶の手で滅ぼされちまえよ!!



博士:やめろーーー!!



助手: .....映画だとこうなるでしょうけど僕にそんな度胸ないんで安心してくださいね♪



博士:怖かったーーー!!!!!余裕で腰抜けたー!!なにそのブラックジョーク!漆黒ジョーク!

怖いよ!お前演技力あり過ぎだよ!!相棒の生瀬勝久の狂気性あったぞ!!



助手:ありがとうございます僕博士と会う前 役者目指してたんですよ!



博士:役者なれよ!お前ならなれるはずだよ!



助手:まあいいじゃないですかそれでこいつも完成したんだし。まあインテリアですけどね。僕毎日掃除しときますね!



博士:うん頼むよ私腰抜け過ぎて当分立てない気がするから。しばらくここにいるけど頼むよ。

あー怖かったー。走馬灯見たもん。ただ...走馬灯で思い出したよ。私がこいつを作った理由を!



助手:えっ本当ですか!?なんだったんですか!



博士:現実にゴジラが現れたときにやっつけられるようにしとこうと思ったんだ!



助手:うわーすっげえしょうもない!




(それから40年後、博士はインテリアを見つめながら生涯を終えました。

その5年後、僕はインテリアを拭いているときに急死しました。

それから500年後、世界征服を企む悪者がインテリアを見付け起動させようとしたが、

コアにホコリが溜まり過ぎて動かなかったそうです。掃除。大事だね。)




最後までありゴトウ!

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