第1話

文字数 1,078文字

別れよう

「え?」

じゃ!

「えええっ!?」

そう言うと、さっきまで彼氏だった人は

あっという間に、走り去って、いなくなってしまった

ーー初めまして。私、


霧里花美(キリサト ハナビ)


16歳です

ピッチピッチ(死語)の高校1年生

なのに、振られた回数はすでに2桁の大台を超えて

今日でついに20回(絶賛更新中)!

(やだ、もう……なんで?)

「なあんで、こうなっちゃうのぉおお~~〜〜〜っ!?」


         

*★*――駅前の交差点――*★*

ザワザワ

「おい、あのコ」

「ああ…マジ、すっげぇキレイじゃん」

眉間にしわを寄せ、腕を組み

仁王立ちの女子高生

(正直、可愛げも何もあったもんじゃないと思うんだけど…?)

「ウワサの花美(ハナビ)ちゃん、想像以上だな」

(私の場合はそうじゃなかったりする)

「ねぇねぇ、彼女、今ヒマ?オレと一緒に…」

(ほらきた!)

「ヒマじゃなぁああ〜〜いっ!」

「怒った顔も、超カワイイな」

「ソレな!俺も思った」

「ちょっと、ロリ入ってねぇ?」

「「めちゃカワイ~!」」

「……」

(ダメだ、こりゃ)

自惚れでも、自慢でもなく

自分が“キレイ”とか“カワイイ”とか言われる部類に入ることは、自覚してる

しかし、めんどくさいコトに

                   “超オトコ受けする” 

…ってのがつく!

(正直、うんざり!)

(最悪なのだ!!)

「見ろよ、あの胸…」

「触りてぇ〜」

「あの、唇」

「吸い付きてぇ〜!」

(ぜーんぶ、聞こえてるっての!!)

「押し倒してぇ〜〜〜!!」

「……(無視だ、ムシ!)」

だって、今はそれどころじゃ、ないんだもん!

「よぉおお~し!決めたっ!!」 

「え!なになに?」

「(無〜視!)あのヒトに決めた!!」

交差点の向う側にいる、その“彼”は

見るからに遊んでそうな

軽薄そうな

誠実さの欠片もなさそうなヒト

♬パッ!〜♩        
信号が青に変わる

決心が鈍らないうちに、


その"彼"目指して走り出した

タッタッタッ…

交差点を渡りきって、


もう一度、その"彼"を確認すると

(あわわ…///もう、さっきとは違うオンナの人とキスしてるよ……??)

(最っ低……)

(でも……)

(このヒトなら大丈夫かも知れない……)

ゴクン……

私は一歩踏み出して

キスしてる2人に近づく

「あ、ああ、あの!!」

"彼"がキスをしたまま、視線を私に向ける

「……??」
「……」
「……」

「私と、エッチ…しませんか?」

「……は?」

"彼"の唇が"彼女"から離れた

彼女もこっちみてる

「……」

「……」

(あ、……あれ?)

かぁあああ〜〜〜〜〜〜/////っっ!!!!

(なんだか、めちゃくちゃ、恥ずかしくなってきた!!!!)

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