第1話
文字数 1,078文字
別れよう
じゃ!
そう言うと、さっきまで彼氏だった人は
あっという間に、走り去って、いなくなってしまった
*★*――駅前の交差点――*★*
ザワザワ
「おい、あのコ」
「ああ…マジ、すっげぇキレイじゃん」
眉間にしわを寄せ、腕を組み
仁王立ちの女子高生
「ウワサの花美(ハナビ)ちゃん、想像以上だな」
「ねぇねぇ、彼女、今ヒマ?オレと一緒に…」
「怒った顔も、超カワイイな」
「ソレな!俺も思った」
「ちょっと、ロリ入ってねぇ?」
「「めちゃカワイ~!」」
自惚れでも、自慢でもなく
自分が“キレイ”とか“カワイイ”とか言われる部類に入ることは、自覚してる
しかし、めんどくさいコトに
“超オトコ受けする”
…ってのがつく!
「見ろよ、あの胸…」
「触りてぇ〜」
「あの、唇」
「吸い付きてぇ〜!」
「押し倒してぇ〜〜〜!!」
だって、今はそれどころじゃ、ないんだもん!
「え!なになに?」
交差点の向う側にいる、その“彼”は
見るからに遊んでそうな
軽薄そうな
誠実さの欠片もなさそうなヒト
♬パッ!〜♩
信号が青に変わる
決心が鈍らないうちに、
その"彼"目指して走り出した
タッタッタッ…
交差点を渡りきって、
もう一度、その"彼"を確認すると
ゴクン……
私は一歩踏み出して
キスしてる2人に近づく
"彼"がキスをしたまま、視線を私に向ける
"彼"の唇が"彼女"から離れた
彼女もこっちみてる