第2話

文字数 830文字

「ぁ、あわああ、やっぱ、やめ…」

きゃあっ!!」

ドサッ!!

思わず後ずさった瞬間

足がもつれて、後ろ向きにひっくりかえった

ふいに頭上に影が落ちる

「いいよ」

「……へ?」

「エッチすりゃいいんだろ?」

「……ほ、ホントに…?」

 グイッ!!

いきなり腕を掴まれる

「ちょっと!佐々(ささ)!どういうつもりよっ!」

後ろで、彼女が叫んでる

「ああ、もう帰っていいよ、お前」

「佐々!!」

「…(無視)」

さっさと歩き出す

(どおしよう…コレって私のせいだよね?)

「何が?」

「だって、彼女さんとケンカ…、私が変なことお願いしたからデショ?」

「変なコトって自覚はあるわけだ?」

歩くスピードも緩めずに、冷たく言い放つ

「別に、あんなオンナ彼女じゃねぇし、どおでもいいよ。そんなこと」

「……(ガーン…)」

正真正銘のクズ発言に、軽くショックを受ける

(世の中、知らないコトばっかりだ)

 ドサッ…!!

「????」

(あ、あれ?)

背中に、ふんわりと柔らかい感触

見慣れない、薄いブルーの天井

気付けば

(ら…ラブホ??)

私はベッドの真ん中で、仰向けになって転がってた

(ちょ…、早っ…!!)

ギシリ……

ベッドが軋む

“彼”は慣れたようにベッドの端に腰かける

…と、

顔色ひとつ変えずに、私に覆いかぶさってきた

「シャワーはいらねぇよな」

「……」

(――冷たい視線)

(なんか…ちょっと、怖い)

そう思って

体が震えそうになった、瞬間……

(わ、…あ…)

カーテン越しに夕日が部屋に入り込む

あっという間に、“彼”をオレンジ色に染めた

「…キレー」

「…は?」

(あ、思わず声出ちゃった)

「…ぇ、あ、その…///えっと…ね」

薄茶の髪がキラキラ揺れてる

長いまつ毛には光の粒が乗ってるみたい

「夕日が…佐々くんの髪に透けて、キラキラって…してて、キレイだなぁって……」

「……!?」

「……?」

(あれ?)

「佐々…くん?」

「……っ///」

佐々くんってば、口元を手で覆って、顔をそむけちゃった

「……??」

「クソッ……なんなんだよ…」

(…??…どおしちゃったんだろう?)

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