第13話

文字数 1,158文字

❤︎ーSIDE 花美ー❤︎

外はすっかり真っ暗になってて、

駅前はものすごい人混み

(もおすぐ、夏休みだしね)

佐々くんは、私の手をつかんだまま、どんどん歩く

「佐々くん、どこいくの?」

「……」

「ねえ、佐々くんっ」

「……」

(ホテル出てから、一度も口聞いてくれない…)

(どおしよう…また、怒らせちゃった…のかなぁ)

街の明かりに照らされて

佐々くんがキラキラ浮かび上がる

(……わあ、キレイ)

(でも…)

後ろ姿は…

なんだか

(こわい…)

(置いていかれそうで……こわい)

ドクン……

「佐々くん、……っ!」

途端に不安になる

「あの…!私、またなんかやっちゃった?」

「……」

「だったら言って?ちゃんと謝るから、悪いとこだってなおすから!」

(だから…)

何度も繰り返された、"サヨナラ"のシーンがよみがえる

「ねえ!言ってくんなきゃ、わかんな…」


ドンッ!!


「きゃあっ…!」

急に佐々くんが立ち止る

佐々くんの背中に、思いっきりぶつかる

「…なあ、花美…、お前、家どこ?」

「……え?…おうち?」

(なんで?)

「…送るわ」

「…え?」

佐々くんってば、私の顔を見もしない

なんだか険しい顔をして、辺りを見てる

「花美…おまえ、いつもどうやって家帰ってんの?」

「ぇと、…電車…かな?」

「…そぉじゃ、なくてさ…」

「……?」

「ちゃんと、家までたどり着いてんのかよ……」

「??」

私も佐々くんみたいに、周りを見渡してみる

(うーん…、別に変わったトコないけどなあ……)

(…でも)

よく見ると、数人のオトコの人が、佐々くんを見てお辞儀してる

交差点の向こう側にいる人も

佐々くんを見るなり、隣にいる人にも声をかけて、軽く会釈する

そおいう人が、結構いるのに気づく

「……?…佐々くんのお友達?」

「は?…ああ、まあ、オレのことはいいんだよ」

「……お友達じゃぁないの?」

「駅でいいんだな?」

「……?」

手を繋いだまま、今度は駅に向かって歩き出す

てくてくてく。。。

私の歩幅に合わせて、ゆっくり歩く

(なんだか、くすぐったい///)

「ふふ…」

「……笑うな。……お前、少しは自覚しろ。これ以上オトコに目ぇつけられてどおすんだよ」

そう言って、通りすがりの誰かをにらむ

「大丈夫だよ、佐々くん」

(自分がオトコ受けする、軽いオンナに見えるって、ちゃあんとわかってる)

「家まではね、一駅だけなの。降りたら2分ぐらいだし、走れば平気!」

「だから、笑うなって……」

怖い顔して、今度は私をにらむ

不思議。

ホテルでにらまれた時、本気で怖かったのに、いまはもう、全然怖くないや

(だって、心配してくれてる…)

それが、なんだかうれしい

交差点で感じた、佐々くんのイメージに反省

人は見かけで判断しちゃいけないって、本当にその通りだ


さらに反省…

「佐々くんってば、本当は以外にもいい人だったんだね…」

「なんだ?そりゃ…」

少しだけ、

胸が切なくなった


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色