第8話

文字数 1,154文字

「…!?…縛っ…って」

「お前…/////……、なぁっ!!」

「?」

「…いや…、いい、っす」

なんか……

咄嗟に想像してしまった自分に自己嫌悪

顔、赤くないか?……オレ

「はあぁぁぁ~~~ぁ…」

「??」

ダメだ、こいつ……

まるで、オトコってもんを、わかっちゃぁいない

いままで、よく処女でいられたもんだ

(奇跡だろ……)

なんとなく、花美の顔をまともに見れなくて、思わず顔を背けた

チラ…

視線の先に窓が見える

夜空を透かしたガラスに、俺たちの姿が映ってた

ベッドの上に堂々と立つ美しいオンナ(花美)

……と、

その彼女の足元に、膝を折り座り込むオトコ……(オレ)

「…………」

「なんか……さ」

「……?」

なんか、なんだこれ……

(――このヘタレの図……)

「……オイ…」

「……?」

「……座れ…」

「へ…?」

「い~~から、座れぇ!正座だぁ!!!!」

(なんか、すっげぇ納得いかねぇ!!)

(理不尽すぎんだろっ!!)

★ーー★

チョコン……

……と、花美がオレの前に正座する

少し拗ねたような、上目遣いの大きな目

両腕に押しやられた胸が、深い谷間を作ってる

(……こいつ…わざとやってんじゃ、ねぇだろうなぁ…)

「…えと…なんで、ショウか……」

「なんでじゃねぇよ!」

ビクッ!!

リボンを握った手が、小刻みに震え始める

「…ご…、ごめ…なさ……」

「…違う。悪りぃ、今のはオレが悪い…」

「……ごめんなさい」

「あああ〜〜っ、クソッ!」

本当に、さっきから、らしくねぇ……


オレは、オンナに怒鳴ったことなんかねんだよ

グシャグシャ…


(前髪を無造作に掻きむしる)

(文句が山のようにあったはずなのに出てこねぇ!)

(大体、何やってんだ、オレ!)

(本人がヤっていいて、言ってんだ)

(さっさと、ヤっちまえばいいだろ!)

(なのに……)

「……」

「……」

なんか…

なんか、さ……


納得いかねぇんだよっ

上手く言えないけど…

(イライラする)

「…お前、さあ…」

"こんなコト、してんじゃねぇよ…って、言いかけて

「ごめんなさい…」

ドクン…

その小さな声に、なぜか心臓が震えた

前髪の絡まる指の間から、視線だけを上げて花美を見る

しょんぼりと、

項垂れた姿…

「……(カワイイな)」

「他の人、あたってみます

(ショボン……)

「……は?」

ブチッ!

感情の切れる音がした

「そおじゃねぇええだろ!!」

「……へ?何が?」

「何もかもが、違うっ!!」

ボフッ!!

花美めがけて枕を投げ返した

手加減なんか、ナシだ!!

「きゃあっ!」

勢いよく、花美が後ろにひっくり返る

(…!…ヤバッ…)

「…花美っ!!」

バランスを崩したまま

花美が、枕と一緒にベッドから落ちていく

グイッ!!

(腕を伸ばして引き寄せた)

花美がオレの腕の中におさまる

(しまった……)

瞬間、そう思った 

……けど、もう遅い

華奢な小さなカラダ…


やわらかくて…

甘い、花美のにおい…

(理性が、吹っ飛ぶ…)

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