第2話 はずれではないかも

文字数 683文字

 あの日の天気は予報通り大雨だった。
 昔から雨女だったのか? 
 だからいまだに言われる。

 あの日の恋予報は『素敵な出会い』だった。
 営業所の事務員3人に外勤さんが声をかけた。馴染みの喫茶店のクリスマス会に出て欲しい、と。
 ふたりは断った。当日言われて暇なのは私だけだった。たぶん来られなくなった誰かの代わり。 
 何度も頼まれ断れず、雨の中を歩いた。
 
 雑誌の占いでは良い運勢。私は興味ないけど、他の事務員が読んでくれた。

 占いなんて当てにならない。だいたい生まれた日や血液型で同じなんて。
 ⚪︎月⚪︎日生まれの女性は、落ち着きがありつつ感性も豊かな性格の持ち主。自然と他人を引き寄せる魅力と社交性……はい、はずれ。
 紹介された△月△日生まれの男性は、まわりへの配慮は完璧! きめ細やかで几帳面……はい、はずれ。


 若いとき惹かれたのは、外見。声。しぐさ。
 内面を知ると冷めていく。
 ことごとく冷めていった。


 縁があったのか、その日出会った男性と結婚した。

 長い年月、よく続いたと思う。
 今じゃ3組にひと組が離婚。もっとかも。
 
 浮気、ギャンブル、アルコール、ドメ、モラハラ、エトセトラ。ラララララ。
 妻が家事をしないっていうのもあったな。
 朝、菓子パン買ってきて食べてた。

 職員さんに聞かれた。

 円満の秘訣はなんですか? って。

 娘にも聞かれた。

 おかあさん、離婚したいって思わなかった?

 思ったわよ。

 片目つぶり、両目つぶって暮らすのよ。

 わかってるよ〜 と娘は言う。

 
 ああ、でも、でも、よその旦那さんの話を聞くと、うちのがまだマシ、なんて思うの。


【お題】 恋予報
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