第57話 戦っているところを見ていない問題

文字数 1,159文字

ぶつくさと息子にモンクを言ってしまう。
長男中二。
次男小六。
どちらも反抗期。
そして、私は更年期。
ある程度は仕方ない。
台風みたいなもの。過ぎ去るのを待つしかない。
でも、台風と同じで全く備えができないわけでもないと思う。
できるだけ穏やかに和やかに暮らしたい。

日曜の夕方ごろから、また台風の予兆があった。
わが家の息子はふたりとも、週末は地域のスポーツスクールで活動をしている。
先日の日曜日、小学部、中学部、それぞれ別の場所で試合があった。
私も観に行ける日は行って応援をする。
でも先日は諸事情でどちらの試合も応援に行けなかった。行きたかったけど。

早朝からお弁当を作り、朝食を用意して送り出した。
そこで私の緊張の糸はいったん切れている。

息子たちと、次男の学年でコーチをしている夫は暑いなか一日がんばって充実した気持ちで帰ってくる。

そこで微妙なズレがあった。
迎える私と、帰ってくる夫や息子たちとの間に。

私がもう一度緊張の糸をぎゅっと結び直すのを忘れた。

疲れて、でもやり切った充実感に満ちて帰ってきた家族は、家で思う存分ほっとする。

それは迎える側としては喜ばしいことなんだけど、ちょっと間違えると

「ダラダラしている」

に見えてしまう。

「私も一日、家で大変やったんやから」
という、留守番側の気持ち。
「ただいま~」
という、がんばることが最高の恩返しと思って帰ってくる側の気持ち。

せっかくの一日に微妙なズレが……。

私も応援に行った日はそんなことがない。
私も同じように疲れて、プレーするわけじゃないけど同じ空気の中にいて、がんばっている息子たちや夫の姿をこの目で見て、帰ってくるから。

だから、息子がスマホばっかりいじっていても、ダラダラとYouTubeを見ていてもなにも腹が立たない。

懸命な姿を見ているから。
戦っているところを目の当たりにしているから。

結婚前、まだ実家から仕事に通っていた頃、なかなか大変な職場で明らかにオーバーワークで、毎日手ごわい相手とやりあって緊張の日々だった。
心身ともにくたくたになって帰ってきているのに、家に帰ってのんびりしていると母にいちゃもんをつけられた。そのうち、そんな母とのやりとりにうんざりして一人暮らしを始めたが、今になって母の気持ちもわかる。
戦っているところを見ていないから。
ただ甘えてダラダラしているように見える。
安心して、ほっとできる居場所があるから戦えるんだけどな……。

あんまり息子にモンクを言うのはやめよう。

練習や試合を観に行くと、あっという間に解決する問題なのです。


読み直して、自分の息子の歳を間違えて書いていたことに気づきました。(書き直しました)
次男は小五でなく、小六でした……。
以前も何かの手続きで、次男の誕生日を何度も書き間違えて、何度も何度も返送されてきたことがありました。
ああ……。
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