主人公・その求められしもの

文字数 4,515文字

まずはそうね、やっぱり主人公からですよね。
主人公と他のキャラで違うんですか?

通常であれば話の中心、背骨になるのが主人公。

自ずと筆者が表現したいことの具現されたものが、これすなわち主人公のはずです。

海老さんは何を表現するために大悟郎さんを作ったのでしょう・・・

あれはダンゲロスバトル用に作ったキャラだから。

別に主人公ではないですし、彼を使って表現したいことも特にないです。

(そんな適当な理由で生まれたキャラのために私は毎回・・・)

まぁ大悟郎の話はまた今度。

今は一般的な「主人公」の話をしましょう。

あ、はい。大悟郎さんの件についてもあとでよろしくお願いします。私が納得いくまでどこまでも。

ではまず初めに主人公に求められているものとは何でしょう?


ええはい。

皆さん色々書きたいこと、表現したいことは山ほどあるからこそ話を作りたい。

それは重々承知の上で。まずは「読み手」が何を欲しているのか。

それをしっかり押さえておかないといけません。


自分のしたいことはさておいて、受け取り手のことをまず考える?

そりゃそうですよね。誰かに読んでもらわないことには始まらない。

どんなに良いことを書こうとしても、入口でシャットアウトされてしまってはお手上げです。

主人公はまさにその作品の入口であり、さらには案内役、果ては出口でもあるわけですから、ヘンなやつにするわけにはいきません。

ですけど結構いますよね。変な趣味もってたり性格ねじ曲がってたりじめじめしてたり。そんな感じの主人公。

まぁそうですね。そういう作品でもウケの良いものは沢山あります。

でもそれで読者を引き込めるのは筆者の技術が高いからです。そういうのはいわば変化球なわけで。素人が放り投げてもストライクは入りません。

まずはストレートを投げられるようになってからチャレンジするのが良いかと私は思っております。

何事も、まずは基礎を大事に。でないと一回沈むと二度と浮かんで来れなくなります。

(いわゆる「一発屋」?)

話を戻しまして。

読者が主人公に何を求めているのか。

私なりに考えたところ、簡単に述べるならば「爽快感」と「共感性」ではないでしょうか。

爽快感というと「どかんと一発ワルモノを吹っ飛ばす」とか?
うん、分かりやすいですよね。読んでる方もスカッとします。
共感性というのはあれですね、よくいわれる感情移入できるかどうか。
そうですね。主人公の喜怒哀楽に同調できるかどうか。それで物語へののめり込み方が違ってきます。
でもそれだと「何かすんごい能力をもった」「良い人」が、何だか悪さをしている悪党どもを相手に無双する、どちらかというとダメな印象の話になってしまいませんか?
新連載の第一話とかでよくありそうな展開ですよねそれ。
良い意味で言ってませんよねそれ。

さて爽快感を出すために、とにかく単純に強い主人公。これだと薄っぺらいにもほどがあります。

一方的に強すぎると、敵がどんなに憎たらしい完璧悪役であっても展開が単純になり、爽快感とはほど遠い「ふーん」という感想に繋がりかねません。

まぁ、さすがにそこまで単純なのはさすがに無いと思いますが。

一方的すぎると波ができない。ということですかね?

うむ、波、大事。

人はどんなときに爽快感を感じるのか。

たとえば悪い奴への憤り、「やっちまえ」を、溜めて、溜めて、そのあと一気にぶっ飛ばす。

なるほど、溜め、大事。
溜めにも色々あるかと思いますが、個人的には「主人公を下げない溜め」が好ましいかと思います。
つまり主人公を上げる溜め・・・?

現状維持で溜め、ですかね。

上げながら溜めるとか達人の領域です。もしくはラストバトル。

なるほど上げ下げしないのは分かりました。

・・・具体的には何を上げ下げしないのでしょう?

好感度・・・は上がっても良いので、この場合は「格」ですかね。
それはまた抽象的な。

分かりやすく言うと、波を作るにはどうしても主人公が苦戦する必要があります。

でも、それはくだらない理由じゃダメなんですよ。「ハラが減ってた」とか「昨日よく寝てない」とか「本気出してなかった」とか。

結構大ヒット漫画にも当てはまる気がしますが。

せやね。だから一概に悪いわけではないのでしょう。要はそこに持っていく流れ次第。

でも良い手ではないと私は思っています。

これも上級者向け、ということでしょうか。

んー、これについては時代の流れかなぁと。

昔は通じたけど今の時代はウケにくい。そんな感じ?

大ヒット作品のウケた部分をそのまま参考にしてもコケることがあるのはそのせいですね。

昔は斬新だったけど、皆が真似して手垢にまみれて凡策になるという。

また、自分が好きな作品と流れが似通ってしまうのは、ある意味仕方ないこと。

意識した上で乗っかるのは良いですが、無意識に引っ張られてると劣化コピーになりかねないので要注意です。

なるほど、自覚、大事。

では無難にどんな感じがよろしいのでしょうか。

強い敵、苦戦する主人公。

そこを自然に勝たせるにはそれなりの工夫がいります。大雑把に言うと「念入りに仕組んだ策がハマって一発逆転」これですね。

む、急に難易度高くなったように感じますが。

それぐらいは頑張ってひねり出すべき。むしろそれをひねり出すことに快楽を憶えるべき。

まぁそれが無理だというならもうひとつの手段「覚醒」ですよね。

クリリンのことかー!ですね。

そう。覚醒にも納得いく流れが要ります。

クリリンについては溜めて溜めて溜めたあとの大爆発。今見ても震えが来るほどの名シーンです。


「理由」ではなく「流れ」ですか。

理由をつけるのは、実は結構難しいのです。

というか、ぶっちゃけ流れによる絶大なるインパクト、その後の爽快感を与えることに成功すれば理由は雑でも気になりません。

理由のないご都合展開って海老さん嫌いそうですが、意外ですね。

だって覚醒ってそんなもんなのですもの。

覚醒なんてインパクトを与えてなんぼであって、細かい理屈を重ねた覚醒なんて、与える衝撃が弱すぎます。

伏線を散りばめておくのはありかもしれませんが、個人的には予想ができる覚醒ならやらん方が良いと思ってます。

でも伏線のない覚醒って真っ先に叩かれる気がしますが。

ですね。なのでそれを吹き飛ばすレベルのインパクトが必要です。

わかりやすく言うとゴンさん。

ディス・ウェイ・・・!

伏線一切ありませんが問答無用のインパクト。そしてその後の圧倒的な爽快感。それらが全てをかっ攫っていきます。

まぁご都合主義との批判もありますが、支持者の方が多いはずです。調べてませんが。

何故ならば読者が欲するのは細かい理屈ではなく「爽快感」だからです。

なるほど話が戻ってきましたね。ではもうひとつの「共感性」行ってみましょうか。

そろそろ行ってみましょうか。

はじめにも言いましたが、読み手が主人公の喜怒哀楽に同調できること。それが共感性です。

ですけど読み手なんて千差万別、それこそ皆が皆同調できるようなキャラ作りなんて無理なのでは?

共感といってもキャラの一挙手一投足に共感される必要ありません。

むしろ全ての行動において万人に共感されるキャラなんて存在し得ませんので安心してください。

言動・行動が乱暴で「これ無理だわー」と思っていたキャラだとしても、行動理念に信念があるなど、ここ一番の見せ場でぐいっと心を掴まれる、なんてことも良くあると思います。

「共感性」という言葉が正しいのか分からず使ってますが、ようは「キャラが感情を持って行った行動」を「読み手が同じ感情を持って」読めるかどうか、です。

となると、やっぱり正義感溢れる優等生タイプが良いのでしょうか。
そうとも限りません。
正義感も度が過ぎると鼻につく。完璧な人格者なんかは共感性とはほど遠い存在と言って良いでしょう。

確かに。読み手は完璧超人じゃありませんものね。

ついでにいうと、完璧な人格者なんてものは嘘くさい。
それは海老さん個人の歪んだ偏見では・・・

では現実的じゃないのでリアリティが薄れるとしておきましょう。

まぁ共感が得られるキャラにし難いところであることは間違いないです。

人間だもの、あわよくばダラダラ生きていたいのが本音という人が大半です。完璧なんて目指していると、やってる本人も見てる周りも息が詰まります。割とマジで。

甲殻類に人生説かれるとは思いませんでした。

でも主人公だもの。できるだけ人格者にはしておきたい。

そこでひとつ、分かりやすい「粗」を作ります。

分かりやすい欠点を作っておくと人間味が出て親しみがわきやすくなります。

(アラ・・・ダシ・・・海老汁・・・?)

あ、ひとつ以外を完璧にしても良いわけではないので誤解のないように。

共感を得るには、やはり人間味が大事です。

また、粗についても、もちろん何でも良いわけではありません。

話に絡めやすいもの、そして親しみが持てるものを。

乱暴なのや性的なもの、どうでも良いものはよろしくないかと思います。

でもありますよね。

はいあります。

これも時代によって変遷があると思います。

ひと昔、ふた昔前の、いわゆる昭和の時代ぐらいにはいっぱいいましたね。

冴羽さんとか今なら深夜枠でも放送できるか怪しいのではないでしょうか。

すごいよね。

(このコ、昭和の世代なのか・・・?)

さて、共感性についてはこんなところでしょうか。

ああ、あとは主人公以外のキャラにも通じることなんですが、タイプは違えど読み手の心を掴むのは、やはりキャラごとの「信念」に基づいた行動であるということは常に心に留めておきたい。

それが一番、読み手の共感性を生み出す原動力となります。

また、それゆえに、自分が描きたい展開の為にその信念を曲げることは許されません。

たまにありますよね。キャラに違和感を感じる展開とか。

違和感が出るということは、キャラの作りが甘いということ。ひいては作者のそのキャラに対する愛が足りないということです。

主人公の行動に説得力がないと読者の気持ちとリンクできず、カッコ良いと思って書いた主人公の行動もすべってしまい、非常に薄っぺらい出来になってしまいます。

そして、逆にそれさえできてしまえば、どんなに外道なキャラであっても、そのキャラの信念を通すことにより、本来共感を得られない外道の所業に対してもそれに似た感覚を読み手に与えることができるはずです。

稀に見る、いわゆる「カッコ良い悪役」ですね。

うむ、悪役であり、倫理的に許されるべき行為でなくとも時に賞賛されることもある。

悪役についてはまた語れるようであったら語りたいところです。

頑張って続けましょう。

いやまぁ、語れるほどの話がないというだけなんですけどね。

頑張って膨らまします。

はい。では主人公についてはこのへんで?

このへんにしておきましょう。

また何か思いついたら付け足します。

では次回予告をどうぞ。
次は仲間。主人公パーティをどうするかについて、お話したいと思います。
ナカマ・・・カ?

魔獣「トヨチツ・ミツコ」が現れた。

・・・そのネタ、分からん人が大半だと思います。

(やはり昭和なのか)

オレサマ、オマエ、マルカジリ!
ではこのへんで。またお会いしましょう。
コンゴトモヨロシク・・・
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登場人物紹介

【兜海老】

 甲殻類。煮込むと赤くなり良いダシが出る。海老ミソが美味い。


【豊秩・満子】

 大悟郎シリーズのヒロイン。

 戦慄のJ  。キング・バトラー・ジュニア。

 昭和の知識を豊富に取り揃える年齢不詳の謎の少女。
 よく燃える。

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