4.Neopolteria Nidus:re.001

文字数 1,592文字

電子生命体とはこれはまた……

まぁ、『電子』なら確率事象の確認を行い易いだろうからまだ楽か。

では調査を開始しよう

制限式転移術式、正常に起動を確認。肉体と意識を転移させます


聞き慣れた機械音声と共に私の意識と肉体が表層に移動する、どうやら今回は私の番らしい。

祥示の行動は確認をしていたが成程、確かにこれは面倒な案件だ。

だが待ってほしい、私は真空では呼吸できない。ヤバイ、これは流石にヤバイ、来て早々ドロップアウトとか洒落にもなってない。

焦りつつも私は貸与されているES装備を両手にを出現させ起動をかける。


「現亙(ゲンコウ)、世亙(ヨワタリ)起動!それに生命維持装置起動!」


あ……あぶねぇ……後少し遅かったら体が弾けてたぞおい……

冷や汗を流しながら現亙と世亙を両手から消す、勿論自分が扱える異空間に移動させただけで起動自体はしている為生命維持に影響はない。


「さてさてさぁて……第一文明人発見とは言ってもこりゃどう見ても話が通じそうにもないな」


第一文明人の姿を観察していると所々にノイズのようなものが発生しており正常に稼働をしているようには見えないのだ。

出迎えにしては少々物騒な予感もするがまぁこれも仕方がない。

ノイズが走ってる第一文明人の目の前まで移動しとりあえず話しかける。


「ハロー、元気かな?私?さっき死にかけた!」


返答に困るような言葉だがなるべくフランクに、よう、調子どうだい!みたいな感じで話しかける。

大丈夫大丈夫、いけるって絶対!……多分……きっと…………メイビー……


時間にして2秒くらいだろうか?目の前の文明人が体を捩って考えるような仕草をしている。

ん?いやいやまさかね?と若干の焦りを見せつつ相手の返答を待つ。


「e8a880e8aa9ee3818ce8819ee3818de58f96e3828ce381bee3819be38293e381a7e38197e3819fe38081e38282e38186e4b880e5baa6e3818ae9a198e38184e38197e381bee38199e38082」


マジか、言語体系の違いはある程度想定してたとはいえマジか。

どう聞いても16進数だがまさかこれがシークスの言語か……?だが鍵は手に入った、翻訳を開始しよう。

左手にESの言語が書かれている球体らしきものを出現させる。

見る人が見たら御影鴉の下部分にあるあの球体そのものに見えるだろう。だってそのものなんだし。


「ESへ接続。起動コード、夢見るままに待ちいたり。ID、銀翁玉」

【コード、ID共に確認しました】


よし、起動確認。後はさっきの16進数を入力、変換して……


【言語が聞き取れませんでした、もう一度お願いします】


…………で、しょうなぁ………そりゃそうだ、分からない言語を聞いたらそうなるよね。

ではもう一回、いや面倒だ。さっさと所属明かして確認を取るか。

(言語のリアルタイム翻訳を開始、それと同時に私が喋った言葉も翻訳っと……)

よし、これで大丈夫。さて話すか。


『どうも、私はES、外文明交信局地球支部所属の銀翁玉です』


さてどうだ?

おっ、ちゃんとお辞儀をしてくれている。ちゃんと通じたみたいだ


「ようこそいらっしゃいました。私はシークス支部のオーンと申します」


丁寧なお辞儀と歓迎の様子に胸を撫でおろす。よかった、関係者のようだ。


『ウアン頭取に到着の挨拶をしたいのだが、可能だろうか?』

『えぇ、勿論可能でございます。私共々、ウアン頭取も一日千秋の思いで待っておりました』


では案内致しますとオーンが道を促し私はそれについて行く。

さて、ここ等で時間切れのようだ。挨拶をして次の者に変わるかな。


『すいませんオーンさん、使用時間が限界のようだ。次の者に変わるから引き続き案内をお願いしたい』

『畏まりました』


そう言い終わった後私の意識が薄れていく。さて、次は誰が出るのだろうか……

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登場人物紹介

【頭取外交官ユキ】Twitter

高次元精神生命体文明ESから派遣された外交官。



出身地であるESはあるゆる資源を必要とせず自由な生命活動を営むことができる完成された理想郷。

しかしながら、さらなる上位概念への探究は未だ継続されており、観測し得る全ての叡智を収集している。



自分たちとは別の出自を持つ外文明には強い関心を持っており、中枢機構の一つである外文明交信局を通して交流、保全、統合を行っている。

種の多様性を担保するため、外文明に対しては上位存在に依拠しない独自の発展を求めている。そのため進化を推奨しながらもテクノロジーを提供しないという回りくどい活動を行っている。




基底現実完全降下航行のライセンス所持者であり、その技術を用いて地球へ現界。外文明交信局地球支部を立ち上げ現在に至る。

電脳世界及び基底現実で使用している身体は自身が個人的に契約している千亥重工によって造られている。

地球では上位者として知られているが、出身地であるESにおいては平均的な一般住民に過ぎない。

【情報屋 銀翁玉-ギンオウギョク-】Twitter

エルフの森 静岡支部から出向しているエルフの情報屋。


外分明交信局の外交官ユキと契約を交わしており、現地情報、民衆の状態、外貨変動、予測される災害等を調査、伝達をする代わりにESに存在する叡智を借り受けている雇われ現地員。

【電脳交換手 祥示-ショウジ-】Twitter

地球人の女性と変わらない姿の少女と、その背後に控える御影鴉、そして御影鴉の下部球体内に収まった人形という姿。
一見、少女が主人で、御影鴉が従者であるような連想をしがちだが、実際にはそのどちらも主従で言えば従の立場のものである。


御影鴉の下部に収まっている機械人形のような物体が本体で、通常はスリープ状態にあり精神と知能のみが情報処理と演算に特化した状態にある。

少女──『アーミリィ』はコミュニケーションデバイスであり、必要に応じて外見通りの快活な『ロールプレイ』を出力する。

御影鴉は戦闘用義体として機能する。

状況によってはアーミリィのみを場に出し、御影鴉は本体ともども異相空間内に隠蔽することも可能。
逆に対話で処理できる状況になしとなればアーミリィを引っ込めて御影鴉のみとなることもできるが、この場合は本体は隠れない。


アーミリィのコミュニケーションは『快活』『軽薄』『能天気』『無責任』といった属性のものだが、本来の性格は内向的で慎重。

【エリザベートベーカリー】Twitter



生誕場所不明、年齢不明、身長体重不明、無機物か有機物かも不明という
種族から生誕に至るまでの経緯が全て不明の生きたブラックボックスという異端の生物。基本的な姿は人型だが彼女の本体は彼を形成している大量の四方体のキューブである。



本人が語る自称とも言うべき人生は全てが偉人や奇人の伝記の一部を移植され作られており、
およそ9割9分9厘が悪い意味の適当と嘘で作り上げられた偽の記憶を発言しているに過ぎない

帽子から生える触手に絶えず流れる赤い流動体は彼女、あるいは彼の周りを絶えず浮かび上がり続けているが
「接触しても特に危害はないよ?単なる私の血液さ」
と彼か彼女は語るが、外交官ユキに接触した際には彼女に数億回のハッキングが行われたという記録が残っており、
あの不明生命体の正体は特秘された情報を明らかにするという目的で作られた情報生命体ではないかと予測されている


『ありとあらゆる情報は全ての人間が知るべきである、隠す情報とはつまりそれだけで悪なのだ』


彼女が語る1厘の正しい記録情報より抜粋

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