【ネタバレ注意】カムパネルラについて

文字数 744文字

 ラストは「幸追人」に「さちおいびと」というルビをつけていました。
 
 で、カタカナ語では、どうしよう、とかなり悩みました。

 最初、「ブルーバード」ってつけてました。
 つまり、「青い鳥」、チルチルミチルの、メーテルリンクのあれです。幸せの青い鳥。

 でも、青い鳥が幸せの象徴だとすると、追うのは誰だ? という違和感。
 本来的にはチルチルとミチルなんですが、元々の話が、チルチルミチル、「青い鳥」とすれ違っているし。

 あと、語感が悪い(メーテルリンクに失礼です)。

 で、ふと、幸せを探しに行くって言った人、他にもいたよね、と。

 で。出てきたのが「カムパネルラ」。

「カムパネルラ」は宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に出てくる主人公の友人ですね、「(さいわい)」を探しに行く、と語る人です。
 いや、語ったのが、銀河鉄道の汽車の中なので、もしかしたらジョバンニの心の中なのかもしれないけど。

 まあ、そういう、現実と夢想の境目にいる曖昧な存在感、というあたりも、あってるかな、と。


 そう、色々引っ掻き回してくれた希和子さん、実は一回も登場してないのです。
 すべて、誰かが語る(あるいは垣間見た)存在。
 
 いよいよ登場、というところで、声なき存在になってしまう(命は取り留めていますが)。

 カムパネルラがジョバンニの心象風景の存在だとすると、「カムパネルラ=ジョバンニ」という解釈も成り立つので、この場合、ジョバンニにあたる佐和子さんも、カムパネルラ的存在だとも言えます。

 宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」は、もう、説明いらないですよね? 代表作だし。
 他の作品も、解釈が難しい話も多いですが、短編のいくつかに、この「幸せを探し求めているのに、ままならない」というテーマのものがあります。読むとせつないですが、おすすめです。
 
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登場人物紹介

土岐田暎比古(トキタ・テルヒコ) 38歳

4人の子持ちのスーパーイクメンにして

街でウワサの超イケメン

天国の愛妻・美晴さんに愛を捧げつつ

可愛い子供達の養育に励む

明知探偵事務所の調査員(注・あまり勤勉とは言えないが勤続20年)

霊感は強いが除霊とかできない……「霊視」に特化している


土岐田晴比古(トキタ・ハルヒコ) 20歳

本編のもう一人の主人公

看護学生 3年生 通称・ハル

父・暎比古さんの愛情を目一杯受けつつ(最近は内心複雑)

弟妹へ愛を注ぐ心優しいお兄ちゃん

母・美晴さんから引き継がれた、ある「力」を有するが……


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