新・将門記

作者 青木 航

[歴史]

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 ほんの一握りの貴族が国中の富を私物化し、贅沢の限りを尽くしていた宮廷文化。藤原道長が内覧となり、その絶頂期を迎える五十六年前に、都から遠く離れた坂東の地で新しき帝《みかど》を名乗った男が居た。
 身内同士の争いに勝ち続けていたその男が、ふとした切っ掛けから朝廷に反旗を翻すに至った時、飢饉や国司の収奪に苦しめられていた坂東の民は、その男に期待を寄せ、その背中に大きな喝采を送ったのだ。