第115話 契約ひとつ

文字数 6,356文字

 天河は、は?と不審そうな顔をした。
驚いたのは孔雀で。
「え?いえ、だって。え、これの話ですよね」
「そうだけど」
二人はじっとテーブルの上の資料を眺めた。
「・・・あのう、僭越(せんえつ)ではございますけれど。天河様、これを議会にお持ち込みになるのでは・・・?」
「なんで」
「なんでって。だから・・・今時ですよ?これがあれば、私も皇帝陛下もあまりな所業という事で・・・」
早い話が天河主導のクーデターだ。
察した天河がとてつもなく嫌そうな顔をした。
「これだから!お前は時代劇か!」
「ま、まあ・・・。私、とんだ思い違いを・・・?え、ではなんですか・・・?あ!でも、なら良かった、私だけで済む問題ですか。ならもう、なんなりと御裁可くださいませ」
いっそ嬉しそうに言われて、天河は空を仰いだ。
「あの、私の次は雉鳩お兄様が総家令を拝命する事になっておりますので。どうぞ天河様はお身の周りなど心配くださいませんように」
いっそその方がいいかも、と晴れ晴れと言う。
「だとして、お前はどうする」
「どうするかは私が決められる事ではございませんから。私、天河様がこれを議会にお持ち込みにならないでくださるなら、感謝しかございません」
自分だけではなく翡翠にまで類が及ぶところだった。
ここにきて天河が皇帝や皇太子を廃するという意思が無いというのは奇跡ではないだろうかとすら思う。
「家令は王家の備品でございます。実用に適わないとのご判断なれば、私共、何の異存もございません」
天河はああもう、と分厚い資料をひっくり返した。
「いらねえわ、こんな閻魔帳(えんまちょう)
「家令にとったら名誉なことですよ。白鷹お姉様なんてご自分の分いっぱい広げてここ声に出して読んでみなさい、すごいでしょうってよく私に見せたもの・・・。特に女家令から産まれた家令には戸籍が無いから、産まれて何事か成した証はこれしかないのだもの」
孔雀は座り込んで悲し気な顔で大事そうに紙の束をまた積み上げる。
その様子が賽の河原で石を積んでる子供のようで、天河はそれに無体働いている鬼のような状況になぜか罪悪感まで覚えた。
「ああ、だから、違う」
違うってなにが、どこから、どのように、と目を向けられて天河は頭を抱えたくなった。
どう言えば通じる。生きてる時代が違うような価値観どころか、文化も違うこの目の前の、愛しい恋人に。
噛み砕いて話すか、それとも黒板にでも書いて図解すればいいのか。
天河は本気で悩んだが、そのまま言う事にした。
「つまり。・・・お前が家令なのがとにかく嫌だ。嫌だ、たまらなく嫌だ」
言いたいことはこれに尽きる。
改めて家令が嫌だ、と言われて孔雀はしょんぼりした。
「それは、宮廷で悲しい思いをされた天河様が、二妃殿下をお守りできなかった我々をお(いと)いになられるのは当然ですけれども・・・」
いくら当時側に仕えた上の世代が断罪され放逐されたと言っても、結局のところは翡翠によって城に戻る許可は出されている。天河の母親だけが戻らないのに。
それはどこまでも我々の落ち度だと梟も言っていたのだ。
「梟お兄様も天河様におかれましては大変なご心痛であったろうと申しておりました。どの様に贖罪(しょくざい)(たてまつ)り・・・」
遮って、違う、と天河はため息をついた。
「梟だろうが木兎(みみずく)だろうがどうでもいい。言っちまえば、翡翠もどうでもいい。母を殺された、あれは確かにそう。それは未だに納得できない。けど、納得できないのはこっちだけで、それ意外全員が納得してるんだ。おかしいよな。でもそれが宮廷に上るとはそう言うことなんだから」
哀しげに孔雀が頷いた。
「でも、だからこそ、我々家令がいるんです、なのに・・・・」
「我々じゃなくて!お前、あんな座敷童みたいだったのに、今ではこんなになっちまって。頼むからこれ以上、おかしくなってくれるな」
肩を掴まれ分かってるのかと揺さぶられて孔雀はちょっと立ちくらみが、とソファに腰掛けた。
「揺さぶられっ子症候群になりそう・・・」
息が整うと、この人、それが言いたかったのか。と、すとんと胸に落ちた。
自分の周囲は全員が家令になれと言い、今や実家の親すら受け入れていると言うのに。
惜しいと言ってくれる人がまだいたのかと驚きつつ、なんだか不思議な気分だった。
彼の優しさか、この城で一番まともなのはあの二番目、次が三妃だと梟が言っていたのが思い出された。
しかし。もはや。
「天河様。私のしたことなんて、これだけじゃないですよ。・・・とても残せないような事もいくつもしてますよ。天河様から見たら最低最悪ですよ」
孔雀はそう言ってちょっとため息をついた。
我ながら家令だから当たり前、と何でもかんでも飲み込めて来た。それは同時に彼にそれで押し通す事はできない程の陰謀や情念や殺戮(さつりく)に関わってきたと言う事だ。
「・・・ですから、私のこと、知れば知るだに嫌いになると申し上げました・・・」
だからそれでいいのだと思う。
嫌いになればそれでいいではないか。それならば自分にそこまで執着しなければいいのに。
彼が、それでも距離を縮めたい、それでもこの溝を埋めたい、とするならば。
さてどうしよう、と困惑したまま孔雀は、そっと立ち上がると、優雅な所作で茶を入れた。
新しく買ったばかりという子供が遊ぶ柄のカンペール焼きの素朴で可愛らしいカップに、オレンジの輪切りが浮かんでいた。
爽やかな香りが漂った。
「天河様のお部屋のオレンジです。大嘴お兄様とオランジュリーを作ろうって話してまして」
温室の事だ。だから最近、大嘴は朝から庭を重機で掘り返しているのか。
孔雀が広間の壁の花の絵を修復し描き足しながら、お十時だお三時だとしょっちゅう軽食どころかけっこうな量の食事を外仕事中の兄弟子に運んでいた。最近は孔雀が喫茶店メニューにはまっているらしくナポリタンやクリームソーダを外の吹きっさらしで二人でうまいうまいと食べていて、風邪を引くから中で食え、と金糸雀や白鴎に怒鳴りつけられているのをよく見かけていたが。
「このカンペール焼きも。天河様がお好きと仰ったので、フルラインで五十セット注文しちゃいました。段ボールで一坪分くらい届きます」
驚いて天河は孔雀を見た。
「皿だらけになる・・・」
「ちょっと衝動買いだったと自分でも思うんです」
孔雀は気まずそうにそう言った。
それから、あとソファとテーブルが4セットと、車・・・普通車と八トントラックとユニック車と、飛行機と・・・と、どんどん白状し始めた。
「・・飛行機・・・?」
「ご心配なさらないで。空港作ってからの話です。受注販売なので、ほら、予約だけ・・・」
空港造る気なのか。と天河は驚いて孔雀を見た。
「・・・あと、電車と、線路用の鋼鉄と上下用水道管も押さえてて・・・。住宅用の木材もとりあえず一千棟分・・・。重機の類も、レンタルだと足りないから作って貰うことになってて・・・。あ、これは終わったら、放出品ということで販売するので半分は戻って来ます。今後値上がりが予想されますから、これは私、いいお買い物だったと思います」
このところ、大嘴が出かけていたのはこの為か。
あの男は孔雀の衝動買いにとことん付き合い、パシリに走り、自分が欲しいものまで上乗せして買ってくる。
とんだ白状大会になってしまった。
天河は頭を抱えた。
「・・・それ、実現しなきゃどうなる」
「大赤字ですね。契約違反で違約金払わないといけないから。あまりにも高額で、あちこち間に保険会社入ってくれなかったんですよねえ」
いくら、と恐々聞くと、孔雀が指で空にゼロを山のように書いた。
「・・・国が破産する勢いだな・・・」
いや、関わる三国巻き込んで、海溝に引きずり込むような結果になりかねない。
そうですよねえ、と照れたように笑う。
笑うところか、と思ったが。
「ああ、理解が出来ない。なんでこういう仕上がりになった」
天河は頭を抱えたくなった。
孔雀に対しては好意や愛情だけでは済まない煩わしさや混乱があって、それでますます(こじ)れていく。
可愛さ余って憎さ百倍ですことよ、それ。そういうのって今流行のモラハラ彼氏とか言うやつじゃない、なんて鷂と猩々朱鷺がわざと天河に聞こえる様に話していた事もある。
「白鷹が悪い。梟が悪い。他の家令共も悪い。何より翡翠が一番悪い。考えてもみろ。今時親から引き離して小学校退学の丁稚奉公だ。その上、ねえやになったら妾奉公と来たもんだ」
孔雀は吹き出した。
「まあ、天河様。よろしくないお言葉遣いですけれど、よくそんな古い言葉ご存知ですね。そうなんです。私、赤トンボのねえやかって瑠璃鶲お姉様に呆れられて」
「瑠璃鶲こそ旧弊(きゅうへい)の人間じゃないか。あんな化石に言われたんじゃおしまいだ」
大戦前に生まれた生き残り。アカデミー長も務めていたからよく知っている。
彼女と猩々朱鷺がアカデミーにいたからこそ、自分は宮城以外での居場所ができたのだ。
アカデミーの教授だった祖父と猩々朱鷺の願いに応じて、当時まだアカデミー長だった瑠璃鶲が天河のアカデミー入学許可を出したのだ。
「殿下。ただのんべんだらりと過ごされないように」老女家令は厳しい顔でそう言った。
「分かってるよ、アカデミーでは平等。働かざるもの食うべからずだろ」と答えると「食うどころか、酸素だって吸って貰っては困ります。よろしいですか、殿下より条件の厳しい者はたくさんおります。そのような身の上の方はかつては王族でもいらした。平等と公平は違うものですよ」と言われたものだ。
翡翠が総家令にと望んだのは末の妹弟子と聞いて、自分もショックだったが瑠璃鶲もそれは同じだった様で。
「瑠璃鶲も翡翠は酷い事をすると言っていたもんだ。しかも好き放題しやがって。今時、虐待案件だ。・・・・と思ったら、大嘴が言っていた事は本当らしいな」
天河はデスクの引き出しからカフェオレ色の封筒を取り出すとテーブルに乗せた。小さな梟のデザインの透かしがある凝ったものだ。
段ボールの山とは別に取り寄せていたもの。
宮廷に関する全ての記録が保管されている王立図書館支所館長の木ノ葉梟発とわかる。
いつ孔雀が翡翠にお召しを受けたかと言う正確な日時が記録されている。
それから、見覚えのある孔雀の未成年労働契約書のファイル。
「金糸雀が言ったんだ。皇帝と性的な関係がある以上、王夫人になる可能性があるのだからして記録は必ず残される。王族は閲覧可能。きちんと請求すればいつでも持って来てやるって」
孔雀が驚いて天河を見た。
孔雀がセクハラだわ、と呟いたのに良心が少々咎めた。
「正式な手続きをして閲覧を求めた資料だ」
何が悪い、と天河は居直った。
(くだん)の契約書のファイルを見せる。
「なんじゃこの脅迫状。家令が皇帝を恐喝とは恐れ入った。つまり、やらせかよ。お前は、二十歳まで翡翠のベッドで何してたんだよ」
「やらせって・・・。まあ、お喋りしたり。お菓子を食べたり・・・。夏はアイスクリーム、冬は温かいスフレ等が楽しみで」
ベッドで寝物語どころか、とんだ千一夜物語のシェヘラザードだな、と姉弟子や兄弟子は笑っていたものだ。
家令というのは何でも秀逸。仕事をさせても、戦争させても、もちろんベッドでも。
それが城に仕える者の家令に対する一般的な認識だ。
という事は。こっちがイライラしていた時、孔雀は別に翡翠とはそういう関係が無かったということか。
天河はため息をついて顔を覆った。
「天河様、でも、私、その後はちゃんと・・・」
頑張りました、ちゃんと出来ましたと胸を張るのに天河は血圧が上がったり下がったり。
「いつ」
「えっ。ああ、はい。あのう、天河様が海兵隊にお勤めになって。私、お伺いしました時。私、思わぬ負傷により大変ご迷惑おかけ致まして。ああ、本当にあの節は、大鷲お兄様の件でも誠にお世話になりまして・・・」
「いいから、そんなのは。くどいんだよ。だから、いつ」
「あの、ですから。ほら、怪我もですけど、雉鳩お兄様と処理に駆け回ってるうちにまたその後私情けなくも熱出したり何だりで結構長く患いましたでしょう。そのうちに二十歳になってしまいまして。・・・それであのう、お城に戻りまして、すぐに・・・」
恥ずかしそうに孔雀は言って頬を染めた。
天河は絶句した。
仮にも恋人でもある自分の前で、よくもまあ。やっぱり、ネジが飛んでるとか、接触悪いんじゃないのだろうか。
「・・・家令になって洗脳教育されてこの結果なのかと思ったら、もしかして初期不良のまんまなのか・・・。頭の蓋はちゃんと閉まっているのか・・・」
「天河様、私を不良品の炊飯器みたいに・・・」
不服、と孔雀は膨れた。
「それに家令は備品だから時と場合によりますけれど、王族の方は女官や官吏の方だって正式にお召しになるじゃないですか。書類にハンコつくの私ですもの」
だから別に異常事態とか超常現象とかそういうものではないではないか、日常の出来事の一つであろう。
それを、蔭で囁いても、とやかく言うのは宮廷では野暮なのだ。
「ああ、すいませんね、野暮で。ああそうなの。今日分かったこといっぱいあるわ。じゃあさっさとやっときゃよかった」
「まあ、なんてこと。・・・・一度心臓止まりかけたのに、懲りてらっしゃらない。そ、それに、世の中にはあけすけにそう身も蓋もなく言っちゃダメなことってあって、恥ずかしい・・・」
などと、いかにも私デリカシーありますから、みたいに言うのがとんでもなく違和感超えて憎い。
更にはこの山のような閻魔帳を見て、しらっこい面で、あるものはこれで全て本当だと認めた。
これは、そうか、思ったよりも難題だ。あっちもこっちも問題だが。まずはこれか。
覚悟を決めて天河は孔雀を見た。
「いいか。覚悟を決めさせた責任というものがある。いいか。お前に、あるんだよ。責任が。だから責任を取れ」
孔雀はちょっとだけ妙な顔をした。
めんどくさいな、という表情が見て取れて、天河はため息をつきたくなった。
しかし、相思相愛と揶揄される程の翡翠と孔雀。
この両名の間に割り込む、と決めたのだ。
宮廷の中で実はやはり一番常識人の彼としては本来これ以上話が複雑になるのは沢山だというのが本音だ。それから何より、目論見違いの見当違いではない、という確証が欲しい。
孔雀は頷いた。
「私の過去であるとか、これから私が行うこと、思うであろうこと。やることなす事、それの全てお気に召さないかもしれません」
そもそも天河は孔雀が家令であることが気に入らないのだから。
しかし、過去は変えられない。
この案外潔癖な第二太子は、どれだけ記録を差し替えようが、嗅ぎつける。
「私は家令。だからこそ私が天河様に差し上げられるものがあります」
天河は眉を寄せた。
孔雀が居住まいを正した。
「天河様が欲しいものはなんですか」
孔雀が優しい声で尋ねた。
ああ、悪魔の囁きだ、と天河は目を見張った。
「・・・私、天河様にお約束をひとつ差し上げたら、天河様は安心なさいますか」
孔雀は覚悟を決めたと微笑んだ。
「天河様。我々家令が、まるで悪魔のようにいくつか契約をする事はご存知の事と思います。何があっても命に代えても違えてはならない。本人が遂行できない場合は、他の家令が引き継ぐものですが。・・・これは他の家令では不可能でしょうけれど」
孔雀は書類を書いてしまうと、天河に差し出した。
総家令の印ではなく、孔雀というサインのみが記されている。
「私、貴方が私を持て余し、お(いと)いになりませんまでは、お側に(はべ)(つかまつ)ります」
自分を担保に差し出して信用を得るという訳だ。
しかし、その時が来たら、手を離せ、というのだ。家令が頑として譲らない主導権を、期限付きであれ孔雀は天河に渡した。
天河は喜びに打ち震えた。
「私、それでよろしいならば、貴方を愛そうと思います」
天河は、まっすぐそう言われて、頷いた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

⁂孔雀《くじゃく》  宮廷家令

十歳で問答無用で宮廷家令に召し上げられる。元は継室候補群十一家のうちの棕梠家の生まれ。(実績が低いので宮廷での信用は低い)。 本名は棕梠 杏花春雨《しゅろ きょうかしゅんう》。

皇帝である翡翠帝により、十五歳で宮宰である総家令を賜る。

実家は、ギルド筋と言われる商業経済活動を生業とする立場にある。砂糖商から身を起こし現在は製菓業。異種多種経営で建築資材、水産加工品、食品流通等様々であるが、今も昔もカステラが一番有名。通称カエルマーク。

国を超えて経済活動をするギルド筋の人間には珍しくないが、どこかで外国の血が混ざっていて、青菫色の瞳をしている。

棕梠家は双子が多く生まれる家で、孔雀はいわゆるバニシングツイン(周産期で双子が一人になってしまう。生き残り)。

その場合、名前を二人分つけるという習慣があり、杏花・春雨という変わった名前になっている。

海軍所属。十二歳から軍属に就く。

金糸雀、緋連雀と共に女官試験にパスしているので、宮廷では三人官女と呼ばれている。(陰ではゴーゴン姉妹と揶揄されている)。

小さな頃から軍で働いていたので、自国ではヒヨコちゃんやフラッフィー等と呼ばれていたが、後に悪魔の王《ルシファー》という渾名で敵国から認識されるようになる。

神殿の神祇官。大神官になれる素養があるとされる。

異能を持つ天眼(結構いる)の生まれ。

個性の強い大人に振り回されて奮闘中。

実用性のみの特技はいろいろあるが、マグロの解体が出来る。

頑健な者ばかりの他の家令より多少虚弱でよく寝込む。

⁂金糸雀《カナリア》  宮廷家令

母親が女家令の青鷺《あおさぎ》。父親が梟《ふくろう》。生まれながらの宮廷家令の身分。

海外の寄宿舎育ちで、幼少から天才少女と誉高く、家令の身分ながら、官僚試験の殿試を二位である榜眼《ぼうがん》でパスしている。また女官試験もパスしているので、孔雀、緋連雀と共に三人官女と呼ばれている。(裏ではゴーゴン姉妹と揶揄されている)

軍事法廷専門の弁護士。

陸軍所属。十ニ羽の五色鶸《トゥェルブ・ゴールドフィンチ》部隊を率いる。

渾名は、人食いワニ《マンイーター》。

宮廷では、報道官を務め、また後宮内の服飾の管理、軍の装備品の開発を担当している。

神殿《オリュンポス》の神祇官。

ボウルルームダンスのチャンピオン保持者であり、アスリートタイプ。

真鶴に唆されて、白鴎と一ヶ月だけ結婚していた。結婚生活は正味十日程度。

白鴎の浮気に激昂して、白鴎を半殺しにして病院送りにして、一人で新婚旅行を楽しみ現地でデートクラブを経営して荒稼ぎしていた。

結婚式の準備と離婚のお詫び行脚を丸投げされた孔雀から恨まれている。

⁂緋連雀《ひれんじゃく》 宮廷家令

母親が女家令の生まれながらの宮廷家令の身分。三代続く女家令。

祖母は大戦の折に戦歴を称えられ、当時の黒曜帝の公式寵姫でもあった美貌の女家令、巫女愛紗《みこあいさ》。

母親は、アカデミー長の猩々朱鷺《しょうじょうとき》。

宮廷で育った為、自他共に認める美貌と教養を鼻にかけている節があり、「宮廷育ちの根性曲がり」と陰口を叩かれている。

少女の頃から宮廷画家であり人間国宝の画聖・淡雪を師匠に日本画を修練し、雅号を持つ逸材。

宮廷に関わる男を手玉に取り一財産築きつつある。

孔雀、金糸雀と共に、女官試験もパスしているので、三人官女とも呼ばれる。(裏では、ゴーゴン姉妹と揶揄されている)

海軍所属の出世頭。渾名は、火喰蜥蜴《サラマンダー》。

聖堂《ヴァルハラ》所属の司祭。

バレエのエトワールであり、招かれて海外公演もこなす。

第二太子の天河曰く、「殺し屋のようなオデット姫」。

外見は華やかな美貌であるが、中身は中年男性に寄りがちな食生活と生活態度であり、軍隊の猛者がドン引く程の下ネタが得意。

⁂白鷹《はくたか》   宮廷家令

翡翠帝の母親である琥珀女皇帝の総家令であった。

現在は離宮で琥珀のもとに仕えているが、宮廷での影響力は未だ健在。

若き時代、皇女であった琥珀と共に大戦の前線を駆け抜けた強者であり、大戦で多くの家令が戦死した中で、数少ない生き残り。王族のうちでも皇統下位であった琥珀の帝位簒奪に尽力した。

後進に対して教育熱心であるが、性格は非常に自分勝手で激しいものがある。

大戦当時の神殿の神官長でもあった王族に、弟弟子である大鷲《おおわし》が監禁されていたのを不服に、報復の為に神殿を焼き討ちした過去があり恐れられている。

人肉を屠るダキニ、人肉を喰らうダキニと呼ばれている。

子供の孔雀に目をつけて、問答無用で召し上げた。

現在も家令達を統率している。

神殿《オリュンポス》の神祇官。

⁂梟《ふくろう》   宮廷家令

翡翠の叔父、琥珀の弟に当たる瑪瑙帝の総家令。

白鷹と共に、孔雀を宮廷家令に召し上げた。

金糸雀の実父であり、青鷺の元夫。

大戦の折に、若くして従軍した生き残り。

聖堂《ヴァルハラ》の司祭。

武闘派の白鷹に対して、梟は陰険な策謀家で知られていて、宮廷ではその情報を掌握して恐れられている。

渾名は死神。

⁂雉鳩《きじばと》    宮廷家令

父親が王族、母親が琥珀帝の父親である黒曜帝の総家令の白雁《はくがん》と黒曜帝の皇妹の娘。

宮廷では緋連雀と共に美貌を知られている。ウェストは緋連雀より細い。

アカデミーで医師の資格を取っているが精神科医で臨床経験はない。

海軍所属。渾名は大海蛇《シーサーペント》。

聖堂《ヴァルハラ》の司祭。

書道の大家。

本名 羽黒山 稼頭男《はぐろやま かずお》

自分の美意識に合わず、本名を隠したがる。


⁂白鴎《はくおう》    宮廷家令

ギルド筋出身。金融業を生業とする、ギルド長を務める百目木《どうめき》家の次男坊。

金融、マスコミ、宗教関係は正室、継室共に入宮は出来ない規則があり、継室候補群ではない。

海外に留学中に己の悪徳の致すところで勾留の憂き目に遭い、父親が梟に泣きつき、裁判にて無罪となる。

家令にする事を条件とされていた為に、放免後そのまま宮廷家令の身分となる。

陸軍所属。作戦中に部隊がほぼ壊滅状態となり、軍属から離れている。

聖堂《ヴァルハラ》の司祭。

真鶴に唆されて、短期間だが金糸雀と結婚していたが、すぐに離婚。

金糸雀に半殺しにされて入院した経験がある。

留学中に伝統ある料理学校と三ツ星シェフの元で修行をしたオーベルジュでの勤務の経験もあるシェフでもある。

本名 百目木 円《どうめき まどか》


⁂大嘴《おおはし》   宮廷家令

聖堂《ヴァルハラ》の教皇座を出している家柄の出身の三男坊。

大嘴を家令にする事を条件に、梟によって、議会に置いて大戦で失われた大聖堂の再建予算案が通った。

空軍所属。聖堂《ヴァルハラ》の司祭。

付き合いがよく、上の世代に育児放棄されつつも孔雀と燕とガーデンで自活した経験がある。

翡翠の第二太子である天河《てんが》と共に、一時海外で共に生活をしていた。後に正式な侍従となる。

本名 英 三郎《はなぶさ さぶろう》

⁂燕《つばめ》   宮廷家令

宮廷家令。

母親が女家令であり梟の実妹の木ノ葉梟《このはづく》。

宮廷育ちで、幼い頃から宮廷で使い走りをしていた。

家令の教育期間であるガーデンに行った途端に、上の世代から育児放棄されて孔雀と大嘴と自活する。

実母も、周りの姉弟子兄弟子も強烈な為、家令の中でもマイペースな孔雀と大嘴との擬似家庭を結構気に入っていた。

⌘翡翠《ひすい》   王族・皇帝

琥珀女皇帝と継室であった椿《つばき》との間の第二太子。

叔父の瑪瑙の跡を継いで皇帝となる。

琥珀の時代の皇帝であった長兄の真珠帝が背信罪となり、琥珀帝と当時の総家令の白鷹により、侍従であった家令の川蝉《かわせみ》と共に、討伐の命を受けた。

アカデミーでドクターの資格を修めたが、臨床の経験はない。

王族の慣例に則り、十五で婚姻。正室である元老院筋の芙蓉《ふよう》皇后。第二妃として、ギルド筋の継室の木蓮《もくれん》、三妃として、議員筋の紅小百合《紅小百合》がいる。

それぞれの后妃との間に、皇太子の藍晶《らんしょう》、第二太子の天河《てんが》、皇女の紅水晶がいる。


孔雀を総家令に任命した。

孔雀の若さに注目した宮廷の人間から、特殊な性癖の持ち主なのかと噂される。

半分、妹である真鶴、翠玉皇女への当て付けで孔雀を総家令に任命して、伽に招いた。

残り半分の、都合の人事としての総家令任命であったが、徐々に孔雀との間に真摯な関係を結ぶようになる。

人々から愛隣王という称号で呼ばれるようになる。

外見の物腰が柔らかで繊細に見えるが、内面は結構雑

母親である琥珀にそもそもあまり親近感はない。

⌘藍晶《らんしょう》   王族・皇太子

翡翠と、芙蓉皇后の間の皇太子。

母が元老院筋の大貴族の出なので、元老院派の支持も篤く、またリベラル派でもあり若手議員からも信奉されている。

生来の貴公子であり、国内外からも人気がある。

社交界の華であり、数多くの浮名を流しているがそれもまた人気。

第一子、皇太子が後継とは限らない王朝において、琥珀帝によって生まれながらに皇位を約束された「幸福な王子」。

本来は十代半ばで婚姻を済ませているはずだが、不服としていたが孔雀により延期となり、また宮宰としてたち働く孔雀を、気の毒に思いながらも都合のよい総家令として満足している。

⌘天河《てんが》    王族・第二太子

翡翠と二妃・木蓮の間の第二太子。母親がギルド筋であり、特殊な案件で早逝した為、宮廷では冷遇されていた。

アカデミーで、宇宙物理学を専攻して、研究と共に教鞭にも立っている。

母親の死後、一時期、ギルド長を辞した祖母と、アカデミー教授であった祖父と共に海外で暮らしていた。

大嘴とは兄弟のように育つ、遊び仲間でもある。

少年の頃、孔雀を気に入り、母親である二妃と翡翠の侍従であった川蝉が宮廷に招こうとしていたが、孔雀が家令となり、総家令として宮廷に仕える事になったのを不服に思っていて、原因であり無神経な言動をする梟を恨んでいる。

王族に見られる、異能の龍現の生まれとされるが特に何か特別な才能は見られない。

父親である翡翠と逆で、見た目は鷹揚だが、中身が神経質なところがある。


母親が亡くなった宮城から距離を取って成長し、更に孔雀が総家令になった事で更に足が遠のいていたがアカデミーで問題行動を度々起こしていたが、孔雀が歩み寄った事で、徐々に宮廷や家令達と関わるようになる。

浮世離れたした人間の多い宮廷においては数少ない常識人であり、その点から苦労性である。

⁂鵟《のすり》    宮廷家令

本名・篠山 茜《しのやま あかね》。高校生。母親と母親の夫、その妹と暮らしていた。実父は死亡。家庭環境としては恵まれたものではなかった。

父方の曽祖父が宮廷家令であるとの事で、スカウトされ、了承する。

戸惑いながらも、少しずつ家令としての生活に希望と自意識を見出す。

家令としての孔雀に興味を持ち、あれこれと物語を聞かされる事になる。

⁂黄鶲《きびたき》    宮廷家令

川蝉《かわせみ》の妻であり、尉鶲《じょうびたき》の実母。

翡翠により宮廷の終身典医としての地位を与えられている。

二妃が死亡し、他の同世代の家令達が宮城から放逐された時も、終身典医の地位の為に守られた。

アカデミーの医局に勤めるドクターでもある。

前線で医療行為を行うNPO法人も運営している。

趣味は保護猫の去勢。

若かりし頃に一時期、翡翠と関係があった。

宮廷で、青鷺《あおさぎ》、鷂《はいたか》、猩々朱鷺《しょうじょうとき》、木ノ葉梟《このはずく》と共に、妖精《フェアリー》と呼ばれた世代。陰では小鬼《ゴブリン》と揶揄されていた。

聖堂《ヴァルハラ》の司祭。

⌘芙蓉《ふよう》   王族・皇后

 元老院筋の大貴族から入宮した翡翠の正室、皇后。

皇太子である藍晶の母。

後宮の螺鈿《らでん》宮の主。

以前は青鷺が侍従として仕えていた。


前元老院長の親族であり、養女と言う形での入宮であったが、実は、真珠帝と皇后出会った薔薇《そうび》との娘である碧玉公主。

⁂青鷺《あおさぎ》   宮廷家令

金糸雀の実母、梟の元妻。

宮廷で最も思慮深く上品で教養のある女家令と言われている。

芙蓉皇后の侍従として仕えていた。

二妃が亡くなった際、不手際を咎められて白鷹から宮城から放逐されたうちの一人。

孔雀が総家令に就任した際に、恩赦として復位を賜ったが、以来、宮城には戻っていない。

海兵隊所属。

現在、海兵隊の責任者として前線に勤務している。

外見も物事も淑やかなのだが、やはり凶暴な面があり、家令達からはお上品機雷と呼ばれている。

渾名はワイバーン。

黄鶲、猩々朱鷺、鷂、木ノ葉梟と共に、妖精《フェアリー》、小鬼《ゴブリン》と呼ばれた世代。

⁂鷂《はいたか》    宮廷家令

神殿《オリュンポス》の神祇官。

陸軍所属。

父親が大戦で戦死した家令の青鵐《あおじ》。母親が西の副修道院長。

聖堂《ヴァルハラ》の元枢機卿(大嘴の長兄)と深い中になり、問題となった為に現在、海外の機関に出向中、と言う事になっている。

二妃が亡くなった際に、責任を問われて城から放逐された一人。

黄鶲、青鷺、猩々朱鷺、木ノ葉梟と共に、宮廷で妖精《フェアリー》、小鬼《ゴブリン》と呼ばれた世代。

真珠帝の公式寵姫でもあった。

⁂瑠璃鶲《るりびたき》   宮廷家令

翡翠の祖父にあたる黒曜帝の総家令代理を務めた。

黒曜帝が退位後は、宮城から離れアカデミーにて研究の日々に戻った。

元アカデミー長。現在は医聖の称号を得て、アカデミーの精神的支柱。

⁂猩々朱鷺《しょうじょうとき》 宮廷家令

現アカデミー長。美貌で知られる女家令。

母親は巫女秋沙であり、緋連雀は娘。

母親が黒曜帝の公式寵姫であった事から、猩々朱鷺はその娘ではないかと言われている。

(女家令から生まれた者は生まれながらに家令の身分なので、父親の存在は不問でありあまり頓着されない)

陸軍所属。渾名はワイバーン。

聖堂《ヴァルハラ》所属の司祭。


かつて翡翠の第二妃であった木蓮付きであったが、彼女の死の責任を追及されて宮城から放逐された世代の1人。

後、アカデミーで天河を支えた。


真珠帝と大鷲総家令の時代に宮廷で、青鷺、黄鶲、鷂、木ノ葉梟と共に、妖精《フェアリー》、小鬼《ゴブリン》と呼ばれた。

大嘴以上の大喰らいである。

⁂木ノ葉梟《このはずく》 宮廷家令

梟の実妹。

王立図書文書館統括司書。

翡翠の二妃の死によって責任を問われて宮城から放逐された世代の末妹。

空軍所属。聖堂《ヴァルハラ》の司祭。

燕の実母。

白鷹所有の別荘で燕を産んだ。

家令には珍しく小柄だが、1番血の気が多く、小型爆弾と呼ばれている。


真珠帝と大鷲総家令の時代に、青鷺、黄鶲、猩々朱鷺、鷂と共に、宮廷で妖精《フェアリー》、小鬼《ゴブリン》と呼ばれた。

⁂鸚鵡《おうむ》 宮廷家令

本名、五百旗頭《いおきべ》 綾《あや》。

元は宮廷近衛兵、禁軍である軍閥の生まれ。母親が前女官長であったので、姉である現女官長と、白鷹の離宮に出入りを許されていた。真鶴のファン。真鶴が家令の身分に処される時に自らも家令になってしまった。

アカデミーの医学部出身で、茉莉のもとで東洋医学を納めた。

真鶴の為に家政学部も通信で卒業。


現在、前線の野戦病院勤務。

⁂川蝉《かわせみ》  宮廷家令

翡翠の元侍従。離宮に移った瑪瑙帝と梟総家令の時代、当時皇太子であった翡翠と宮城に残り、総家令代理を務めた。

翡翠と共に真珠帝追討の指揮を執った。

ニ妃の死の責任を負い、宮城を放逐された世代。軍中央《セントラル》所属であったが軍属、更に聖堂《ヴァルハラ》の司祭の立場も解かれた。

家令の特殊運用組織であるエトピリカに出向し海外での勤務に当たる。


⁂真鶴《まづる》  宮廷家令

美貌と知性が抜群で、人を惹きつける魅力があり本人もそれは十分自覚している。

なんでもできるし、なんでもやる。

女神のような、または悪魔のようなと評される。

面倒見が良く、弟妹弟子からも慕われている。

人類に貢献する程の研究《ナンバリング》を多数所有。

アカデミー特別委員の1人。

海軍所属。演習で人喰い羆を仕留めた事から、渾名は羆殺し、レディ・タイガー。

神殿《オリュンポス》の神祇官と聖堂《ヴァルハラ》の司祭どちらも務める。


本来は琥珀帝が離宮で産んだ最後の娘であり、翠玉皇女の身分であった。

後見人であった長兄の真珠帝が背信で処された煽りをくって、家令の身分から家令となる。

家令の生活を本人は割と気に入っている。


⁑茉莉《まつり》  

家令の父親とそうではない母親を持ち、家令にはならない事を決めた"蝙蝠"《こうもり》と呼ばれる存在。

家令名は、千鳥《ちどり》。

父親は大戦の生き残りで戦後復興に尽力した唐丸《とうまる》。母親は貴族筋の女官で琥珀帝に仕えた。

翡翠の友人。

アカデミーで東洋医学を研究して学位を取り、教育に力を入れている。鸚鵡も教え子の一人。

家令と反目する軍中央《セントラル》に所属している。

⁂尉鶲《じょうびたき》 宮廷家令見習い

黄鶲と川蝉の息子。

10歳になり、宮城や離宮で家令見習いとして使い走りを始めたばかり。

現在、家令の中で1番の年少者。


§淡雪《あわゆき》  宮廷画家

本名 東雲《しののめ》淡雪

アカデミーに所属する画家。

アカデミー特別委員。

人間国宝、画聖の称号を持つ。

翡翠の学友。

緋連雀の師匠。

作品は宮廷でも人気がある。

継室が欲しがった作品を白鷹も欲しがり、琥珀が倍の値段で買い上げ白鷹に与え騒動になった逸話がある。

本人はあまり物事にこだわらないたちなので、人間関係に巻き込まれる事もなく生きている癒し系。

放浪癖があり、あちこちスケッチ旅行に出かけては戻って来ない。

宮廷画家として大聖堂修復の指揮を執った。

§路峯 隼 《ろほう はやと》 

元老院次席であり、父は元老院長であった。

翡翠の正室、皇后の芙蓉を出した大貴族であり屈指の名門出身。

父の後妻として雉鳩の母が路峯家に入っている。

翡翠の学友。

皇太子である藍晶を支持している。

議員派と親しい皇太子を危惧している。

⌘鈴蘭《すずらん》   皇太子正室

元老院派 比嘉家の二の姫。

孔雀の推薦で、藍晶の正室として後宮に入宮した。

快活で朗らかであり、皇太子宮である象牙宮の若き女主人を務めている。


§揚羽《あげは》    女官長

本名、済 更紗《わたり さらさ》。

旧姓 五百旗頭《いおきべ》。

祖母、母と女官長を三代務める。

宮廷軍閥、五百旗頭家の出身。鸚鵡の姉。

女官は、上位五役までが蝶の名前を戴く。

最も高位の女官長 揚羽。

母もまた女官長であった事もあり、鸚鵡と共に子供の時から琥珀の離宮に出入りしていた。

真鶴とは幼馴染。

⌘紅小百合《べにさゆり》 王族•第三妃

翡翠の三妃。継室候補群議員派の出身。

本名 渡良瀬 香織《わたらせ かおり》

リベラル派だった瑪瑙帝の推薦で入宮した。

紅水晶皇女の母。

正室の地位を望んでいる。

身近に家令を置く事を好まない。

正室、ニ妃が不在につき国内外でファーストレディとして活躍。

⌘木蓮《もくれん》 王族•第二妃

翡翠のニ妃。継室候補群ギルド派出身。

天河の母。

本名 縞野 乃衣美《しまの のえみ》。

母がギルド長、父がアカデミーの教授で外国人であった為、海外で生まれ育った。

天河が10代のうちに宮城で亡くなった。

⌘撫子《なでしこ》   皇帝四妃

本名 一宮 絲子《いちみや いとこ》

元老院筋の貴族の正室候補群である一宮家から翡翠に入宮した。

翡翠帝以外も、皇太子の藍晶の正室、継室、第二太子天河の正室、といずれの縁談にも名前が挙がる程の名家。

食が細く、厨房を預かる白鴎と、孔雀を悩ませている。

§紋白《もんしろ》   副女官長

本名 鏡 華《かがみ はな》

女官の五役の一人。

没落貴族の出身で、女官試験を受けて登用された。

結婚時に一度城を下がったが、その後離婚して復職した。

子供が宮城内のキンダーガルデンで育ち、同じ宮城内にある舎宅に暮らしている。

当初は孔雀に反感を持っていたが、現在では好意的。

同じ貴族出身の四妃に複雑な感情を抱いている。

§銀椋鳥《ぎんむくどり》 宮廷家令

本名 エマ•ダミニ•タシオニ 

母親はアカデミー教授のキーヴァ•タシオニ。

10代でアカデミーに入学を許された天才少女。孔雀が母親のタシオニと親しくなり、孔雀とも友達になる。

家令逹のアカデミーでの宿舎である"止まり木"にもよく出入りをしていた為、天河や大嘴とも親しくなった。

大嘴に憧れて17歳で家令になった。

真鶴を強く意識している。

茜が家令になってくれて嬉しく思っている。

§ヤドヴィカ・タシオニ  アカデミー教授・動物学者

アカデミーで動物学、獣医学を研究、教鞭をとる教授。エマの母親。

アカデミー特別委員の1人。

優秀で、トリッキーなところがある。

アカデミーでの孔雀の師となる。

エマに家令になればいいのにとアドバイスをし、心配だと渋る孔雀を説得した。

⁑ ヘルムート・ネイガウス  A国将校

アカデミーに属するA国将校。

天河の友人。

お互い前線を挟み睨み合う仮想敵国の立場だが、アカデミーでは政治的思惑は不問の為、複雑ながら親交は深い。

A国は皆徴兵制がある為、少年の頃から兵役の経験がある。

軍人一家であり、海軍に在籍している。

◇戴勝《やつがしら》

元敵国•現仮想敵国のQ国母后。

本来は家令の戴勝。

一時、神殿《オリュンポス》で大神官を目指して潔斎に入っていたが、放り出して戦場に戻る。

大戦中に戦死したと記録されているが、実際はQ国で拘束され殺されたとされた目白と共に幼い王の義母として活躍し辣腕を奮っていた。

大神官を目指した事から、"神の花嫁"とも呼ばれ、また、“地獄の門番“とも呼ばれた。

梟曰く、"海賊や山賊のような女家令"。

◇目白《めじろ》

元敵国•現仮想敵国のQ国大宰相。

本来は家令の目白。

大戦中に大司教であったが、停戦の斥候としてQ国を来訪した際に拘束されて処刑されたとされていた。

実際は幼い王の宰相として、義母の立場の母后(やはり家令の戴勝)と共に活躍。

数年前に没。

◇鶍《いすか》

元敵国•現仮想敵国のQ国の太政官。

本来は家令の鶍。

元アカデミー長。

Q国の高官未亡人と出会い、亡命した先で戦死した筈の弟妹弟子の戴勝と目白に再会。

身分保証を約束され大いに貢献。

5人の妻、12人の子供、25人の孫を得た。

20年程前に没。

鵟の曽祖父に当たる。

セリム•リド•ユク

Q国王。

大戦中、宮殿で、冷遇されついた少年時代に、囚われていた目白、勝戴と、家令による"悪魔の契約"を結び、支援を受けて兄3人を葬って即位し、国は大躍進を遂げた。

後宮《ハーレム》に多くの妃がおり、多数の子を持つ。


死んだはずの兄弟子姉弟子が生きていると知った白鷹が差し向けた猩々朱鷺と関係を持った、らしい。緋連雀の父親に当たる。


⌘紅水晶《べにすいしょう》 皇女

翡翠と紅小百合の娘。

母親の意向で家令とはある程度遠ざけられ育った。

Q国皇太子と婚約が決まった。

§五百旗頭 紬然《いおきべ ゆうぜん》

宮廷軍閥、禁軍近衛兵の竜騎士。

鸚鵡と更紗の父親。前女官長の夫。

翡翠への背信疑いとして、元老院除籍、蟄居の処分となっていたが、鸚鵡が名誉回復した事で、自分も許され復籍した。


近衛兵は皇帝の近侍兵であり、大戦中は戦場にはあまり足を向けなかった黒曜帝の以降で実戦闘には関わらなかったのを、白鷹や梟から恨みに思われている。

かつて少年時代に軍神寵姫と称えられていた巫女秋沙に憧れていた。

⁂巫女秋沙《みこあいさ》 宮廷家令

西の修道院長。

猩々朱鷺の母、緋連雀の祖母に当たる。

大嘴の母違いの姉。

かつての黒曜帝の公式寵姫であり、白鷹曰く"ちょっと見てくれがいいのを鼻にかけた緋連雀が逆立ちしたって敵わない美貌"であった。

また軍でも手腕を発揮し、大戦中は軍神寵姫と呼ばれた。

長い間、弟の大鷲の安否が知れず心配していた。翡翠に頼まれて、真珠帝の首を保管していた。

現在家令の中で1番の年長。

長生きのコツは"何もしないこと"。

§真榊 鮎子《まさかき あゆこ》

西の副修道院長。

鷂の母に当たる。

かつて神殿《オリュンポス》に仕えた巫女であった。

大戦中、勝戴の指示で西の修道院に逃れた。

生活能力の低い家令の巫女秋沙の代わりに修道院では様々に実務に携わっている。

⌘瑪瑙《めのう》

琥珀の弟。真珠帝の死後、皇帝位に就いた。

リベラルで知られ、議員を支持していた。

遅くに皇帝となった事もあり、継室は持たずに離宮を好んで過ごす事が多かった。

⌘真珠《しんじゅ》

琥珀と正室の薔薇《そうび》との皇太子。

琥珀の後に皇帝位に就いた。

総家令の大鷲と共に大戦後の明るく豊かで自由な時代を反映するかのような宮廷を作り上げた。

表向きは事故死とされたが、琥珀や旧勢力から背信罪で討たれる。

琥珀に命じられて指揮したのは翡翠。

死罪より重い記録抹消剤となり、宮廷のあらゆる公式文書から名前を消去される。

⁂大鷲《おおわし》  宮廷家令

真珠帝の総家令。

巫女秋沙の母違いの弟。

母親は、大戦で戦死した家令の雷鳥《らいちょう》。

天眼であり、優秀な神官でもあった。

下の世代の家令からの信頼も厚く、面倒見が良かった。

真珠帝が討たれた際に行方不明となった。

⌘琥珀《こはく》帝    女皇帝

白鷹と共に大戦中、前線を走り回った歴戦の女皇帝。

長兄から皇位を簒奪し、皇帝に就いた。

正室との間に真珠、継室との間に翡翠、父親は公表されないままだが翠玉(真鶴)を産んだ。

白鷹を伴い早くに離宮に移った。

革新派の真珠とぶつかり、背信罪で真実を訴追。

宮城に戻る事なく離宮で亡くなった。

§済 武衛《わたり ぶえい》 

宮廷軍閥 禁軍 近衛兵

女官長の揚羽(更紗)の夫。

元老院籍はないが、五百旗頭《いおきべ》家に次ぐ軍閥の名門。

藍晶の護衛官。

⁂仏法僧《ぶっぽうそう》  宮廷家令

元議員 本名 眞弓《まゆみ》如意《にょい》

若手の世襲上院議員だったが、皇太子の恋人に唆された先輩議員と共に総家令である孔雀を襲撃し返り討ちにされた事がきっかけで家令にスカウトされる。

家令には居ない常識人ぶりと爽やかさで、宮廷の女官と官吏に大人気。

海兵隊所属

神殿《オリュンポス》所属

⁂太蘭鳥《たいらんちょう》 宮廷家令


本名 棕櫚《しゅろ》麗《うらら》

孔雀の双子の娘。

アカデミーに入学予定。

生まれてから一度も同じ年頃の子供と団体生活をした事がないので非常にマイペース。

ほぼ雉鳩に育てられた。

後見人は、元皇女の翠玉。真鶴。

⁂金襴鳥《きんらんちょう》 宮廷家令


本名 棕櫚《しゅろ》朧《おぼろ》

孔雀の双子の娘。

アカデミーに入学予定。

生まれてから一度も同じ年頃の子供と団体生活をした事がないので非常にマイペース。

ほぼ雉鳩に育てられた。

後見人は、元皇女の翠玉。真鶴。

⁂菫金剛《すみれこんごう》  宮廷家令

孔雀の息子。

ほぼ大嘴《おおはし》が育てている。


ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み