第79話 明けの明星

文字数 6,004文字

 アカデミーと止まり木での生活にも慣れて、孔雀は毎日忙しく過ごしていた。
日差しが明るく海風がよく入る学園都市は、開放感があり落ち着いていて、確かに心地いい。
天河がこの街から離れたがらないのも頷ける。
猩々朱鷺の計画で、孔雀は半期づつ無期限で修学すればよいという事になった。
敵の多い宮廷からの避難場所として用意してくれた姉弟子達の心遣いだ。
アカデミーは卒業がなく、入学してしまえばいつでも出入り出来る。
国籍、身分、何者か等関係なく学問を志す者に最高で自由な環境を、というのが信条。
孔雀が専攻したのは、公衆衛生、疫学、毒性学、環境学。
その中でも、動物学者のタシオニという女教授の研究室に惹かれて出入りしていた。
自分の気に入った教授が、いわゆる担任になるらしい。自分が専攻するしない関係なく。
鸚鵡と茉莉、黄鶲と瑠璃鶲のような師弟関係だ。
タシオニにはエマという十歳の娘がいて、彼女はすでにアカデミーに在籍を許されたという天才少女だ。何より嬉しいのは孔雀の友達にもなってくれた。
孔雀は資料から目を離し、立ち上がって伸びをした。
デスクの上の山のような資料が雪崩を起こして慌てて片付けた。
やらねばならない宿題がかなりあるのだ。
階下でガタガタという物音がして、孔雀は立ち上がった。
大嘴が戻ってきたらしい。
「おかえり、大嘴お兄様・・・」
帰りコンビニでアイス買ってきて、と頼んでいたのだ。
リビングには、天河とソファに転がされた兄弟子の姿があった。
兄弟子が酔いつぶれたらしいのに孔雀は唖然とした。
天河は疲れた様子でバケツのように大きなアイスクリームを孔雀に渡した。
「・・・まあ、天河様、申し訳ありません。・・・ちょっと、大嘴お兄様・・・」
お気に入りのラグに吐かれたら大変と慌てて孔雀は大嘴の手を引っ張った。
しかし、起きる様子もない。
「いつもの左岸の店で潰れた。あまり怒ってやるな」
と、天河が慣れた様子で言った。
今やオーナーが雉鳩の件の店だ。
孔雀は深々とお辞儀をした。
「明日、お店にお詫びに伺います」
本当にこの人、侍従の自覚あるんだろうか。
孔雀は、気合を入れて大嘴を担ぎ上げた。
他の家令もそうであるように孔雀もまた小柄な方ではないが、どちらかと言ったら屈強な部類に入る大嘴を持ち上げるのだから、やはり軍で鍛えられたのだろう。
緋連雀程ではないが、孔雀も馬鹿力だ。
孔雀は大嘴を部屋のベッドに落として、ペンで顔をパンダにするいたずら書きをすると、リビングに戻った。
「天河様、本当にご面倒おかけしました」
いつもこの調子だったのでは、天河を監視する事なんて不可能だったわけだ。
「・・・大嘴お兄様、昔っから天河様といると楽しくて、仕事忘れちゃうんだもの。付き合いいいタイプってあれだから」
しょうがないんだから。と孔雀はため息をついた。
「大嘴を待ってたのか?」
「いえ。宿題が終わらなくて・・・」
やってもやっても課題が終わらない。
しかし、課題を出して初めて試験を受ける許可が出るのだからして、とりあえずそこに漕ぎ着けなければならないのだが。
「・•・天河様、お腹空きませんか?」
キッチンから、カレーパンを持ってくる。
「さっき揚げたんです。・・・現実逃避で手間かかるもの作りたくなって」
大分追い詰められているのか。
天河はやたらうまいカレーパンを齧って、スパイスの香りのするミルクティーを飲んだ。
長年、翡翠と夜食を食べていたので夜中に腹が減るのもあるのだろう。
常にベタベタしているあの翡翠がよく孔雀のアカデミーへの入学を許したものだ。
それだけ、現在の宮城での彼女の立場の風向きが悪いと言う事だろう。
確かに、小学校中退という学歴に愕然としていたが、女官試験はパスしているし、殿試もそこそこであったらしいし、アカデミーの入学試験もパスしたのだから、白鷹と鸚鵡がしっかりと教育したと言う事なのだろう。
あの白鷹が教職を持っていたというのがもう信じがたいが、「白鷹お姉様、私が出来ないと物差しで叩くんです。ご飯抜きで物置に閉じ込められるからこっちも必死です」と孔雀が言ったのにやっぱりなあと思わざるを得ない。
「でも、お腹空いて物置で泣いてると、誰かしら食べ物持って来てくれるから、大丈夫だったんですよ」
白鷹もそれは知っていたが、放っておいてくれた。
孔雀が懐かしそうに言った。
天河がもう一個、とカレーパンに手を伸ばした。
「48個出来たからまだまだあります、どうぞ」
工場か、と引いたが、まあ、大嘴が起きたら一瞬で無くなるだろう。
あの大喰らいの食費を抑える為に、せめて一食は外食させるな、と雉鳩に言われているらしい。
なので、天河の侍従でもある大嘴は、天河の所有する部屋(フラット)の隣の部屋を宮城が買い上げて生活していたのだが、最近はこの"止まり木"でほぼ生活を移していた。
相変わらず落ちつかないひとだけど、腹が減ったら食べには帰って来るでしょう。嘴が長いから、と食い意地が張っていると揶揄(からか)うが、孔雀だって相当なものだ。
天河もここで食事を取る事が増えていた。
「天河様もいかがですか。お米一升炊いたんですよ」とか「3.5斤のパンを10本焼いたんですよ」等のパンチのある誘いを天河は首を傾げながらも断れなかった。
間違いなく大嘴の食費は抑制出来ているだろうが、遊興費は怪しい。
(くだん)の左岸の店でも、おかげで大嘴がデリバリーを取る事は減ったけれど。
「お願い、出前なんて頼まないでそんなに腹が減るならお弁当持ってって!いい格好したいなら、私がオードブルセット届けるから」と孔雀が泣きつく程ボラれていた。
信じがたいが、あの店は今やオーナーが雉鳩らしい。
大嘴にポイントカードを渡された時は愕然としたが。来店ごとに苺や林檎のスタンプが押されるらしい。孔雀に消しゴムで作らせたからと言われてまたもがっかり。
孔雀は「おまけとか記念品のグッズを作るのが大好きなので、楽しく作りました。天河様、あと、あのう、今後しっかりと保健衛生局も入りますし、福利厚生も力を入れましたので。サービスを提供する側もされる側もご安心くださいまし。あ、プライバシーは守りますので、はい」と笑顔で言ってきたのには、久しぶりにショックを受けた。
つまり、管理は孔雀と言う事だ。つつ抜けではないか。
「・・・家令業に、軍に、神殿に、アカデミー。兄弟子の副業の管理(マネジメント)。さらに城では陛下のご寵愛も厚い総家令。過労死するぞ」
心配そうな天河に孔雀が吹き出した。
「また、そんな」
いや、冗談ではない。
「天河様こそ。海兵隊(マリーン)から海軍(ネイビー)に移られませんか」
心配そうに孔雀が言った。
「今更もういいよ。せっかく慣れたのに」
再来月からまた軍に出向だ。
孔雀が負傷した一件で自分の立場を半公表せざるを得なかったが、それでもなお、海兵隊の面々と少しづつ打ち解けつつある今、今からまた別の場所でゼロから積み上げるのは面倒だし勿体無い気がする。
青鷺からも「ご身分を明らかにしてしまった以上、他に移籍という選択もありますし、実務から離れるというのも一案」と提案されたが、同じように意向を返すと、青鷺は、複雑な表情をした。
「天河様が貧乏性で良かったような、なんというか」と言い、他に言いようはないのかと、返す言葉もなかった。
「でも、海兵隊(マリーン)は実務が多すぎます。王族が海兵隊(マリーン)というのも異例です」
海軍(ネイビー)の待遇がやたらいいというの聞いたけどね」
翡翠と孔雀の所属した海軍(ネイビー)は、配慮、忖度が発生していた。
海軍(ネイビー)の食事はおいしいカエルマークのケータリングで、軍属で太る者が出る始末。しかも、配偶者や恋人の記念日や誕生日にも休暇が取れて花束とスパークリングワインまで届く・・・」
天河がつらつらと述べた。
「スパークリングは翡翠様のアイディアですよ。お優しいから」
天河としてはたまったものではない。
孔雀と翡翠発案の記念スパークリングワインの事だろう。
いちいちラベルに、皇帝即位と総家令の就任の記念に・・と紹介文まで付いているのだ。
気に触る。勘に触る。癪に触る。
「あの、では。せめて仏法僧を同じ時期に派遣します。どうぞ、何かありましたらお申し付けくださいね」
仏法僧、と言われて、天河はまた複雑な表情をした。
孔雀がスカウトした議員上がりの異色の家令だ。
孔雀が殊の外可愛がり、皇帝すら嫉妬しているらしいと耳に入っていた。
何がそんなに気に入ったのかと翡翠に問われて、天然パーマが、と孔雀は答えたと、家令達は大笑い。
家令にはいないタイプの清潔感のある好青年ぶりが受けて、女官や官吏にも大人気らしい。
それをまた総家令が喜び連れ歩くので、城の人間は仏法僧に触れ合える機会が増えて楽しみにしているらしい。
ああ、明るくなってきちゃった、と孔雀がカーテンを開けた。
「明けの明星ですね。ほら、ルシフェル」
東の空に、明るく輝く星が見えて、天河も空を仰いだ。
「金星か。ヴィーナスだろ」
唐突にどうしたのだろうと天河は訝しんだ。悪魔の王の名前ではないか。
「明けの明星をルシフェルと言うんですよ。光り輝くもの、という意味で。元は神様の次に輝かしい天使だったそうです」
「ああ。ルシファーは元は天使だったからか」
堕天して悪魔の王になったのだ。
「天河様、天体物理学研究してらっしゃるんですよね?」
なぜ知らないの、と不思議そうに見上げられて天河は首を振った。
「・・・宇宙と神話は別だ。神話は本当にあったわけじゃないんだぞ。わかってるのか。大丈夫か。だいぶ偏った教育受けたのは知ってるけど。・・・地球が丸いのと、我々がホモサピエンスなのは知ってるのか」
半分冗談半分本気で尋ねると、孔雀は真剣な顔で頷いた。
兄弟子姉弟子に子供の頃からからかわれてきたので、たまに変な事を信じているのを指摘されて驚くのだ。
「・・・まことに勉強不足でお恥ずかしい話ですけど。私、お城に上がるまで山羊の毛が伸びると羊になると思っていたし。オタマジャクシがカエルになるのは目で見たから知ってたんですけど・・・」
それは知っていたのか、と天河はほっとした。
「昔。私、ガーデンで大嘴お兄様とオタマジャクシ捕まえに言って。水槽なんてないから、大きなジャムの瓶で飼ってたんです」
可愛くて、いつも眺めていた。
「一番日当たりがいい場所に置いておいたんです。で、しばらくしたら、全部カエルになってて、ぴょんぴょん出ていっちゃったんです。本当にカエルになった!って私びっくりして、全部飼おうと思って集めてたら、見つかって・・・。白鷹お姉様、カエル大嫌いだから、玄関まで走って逃げて。私、すごく怒られて。ものさしでお尻ぶたれたんです」
天河が吹き出した。
あの女家令が悲鳴を上げて逃げ回って当たり散らしている様子が目に浮かぶようだ。
孔雀もつられて微笑んだ。
「あとですね、大嘴お兄様と毎年秋になると今年の雪はどのくらい降るのか調べに行くんですけど」
「どうやって?なんか観測機飛ばすのか?」
「そんなこと出来ませんよ、子供だもの。カマキリって不思議で。豪雪の年は、高い所に卵産むんですよ。で、毎年、カマキリの卵を取ってくるんです。卵狩りっていう遊びです。ほら、桃狩りみたいな」
そんな遊び聞いた事はないからきっと勝手に作ったのだろう。
なんとなく話が見えてきて天河はおかしくて仕方がない。
「おかきの缶に入れておいて、私ころっと忘れたんです。・・・で、軍から戻ってきた白鴎お兄様がお風呂上がりにビール飲むって時、なんかつまみないのって言って、おかきの缶見つけて。・・・・時期が良かったらしくて全部孵化してて」
千を超える小さなカマキリに白鴎は絶叫して、雉鳩が手っ取り早く殺虫剤撒こうとするのを、かわいそうだからやめてと孔雀が泣いて止めたのだ。雉鳩がしょうがないな、と言って掃除機で全部吸ってくれた。その間、白鴎は気絶寸前で身動き出来なかった。その後、孔雀は小さなカマキリを全部山に放したのだ。
「そしたら白鴎お兄様、集合体恐怖症になっちゃって・・・。トライポフォビアというんですか。蓮の実とか、水玉模様がびっしり並んでる手拭い壁材とか。イクラとかタラコとか、しらすの目とかもダメなんです」
「和食の料理人じゃなくて良かったな」
「粒マスタードとキャビアの瓶開けられないですよ。あの粒々がダメって」
血圧が一気に下がって貧血になるそうだ。気の毒すぎる。
しかし、と天河は三つ目のカレーパンを食んでいる孔雀を見た。
家令になって。こちらとしては複雑な感情でいたのだが、孔雀は辛くはなかったのか。
「そうですね。小さい時は怒られて泣いてばかりでしたけど。姉弟子や兄弟子がいつもいて。私、寂しかったりはしなかったですよ。まあ、一時期育児放棄された時は、お腹すいて大変でしたけど」
しかし、孔雀と大嘴は驚くべき生活力で持って見事自活したというのだからたいしたものだ。
「あの、天河様は・・・僭越でございますし、失礼とも存じますけれど、大変な事もあったと思います」
孔雀に改めて言われて、天河はうーんと考え込んだ。
なんとも寄る辺なきような気分だった時期、というのは思うほど長くはない。
母の死というのは、その亡くなり方も含めて幼い自分は確かに衝撃であったが、亡くなってそう時間をおかず、海外の祖父母の元に移り生活していたのだ。
宮廷に上げた娘を亡くし、後悔の日々の祖父母ではあったが不思議とあまり恨み言は言わなかった。やはり廷臣であったのだろうと思う。
大嘴が度々派遣され、年が近いという事もあり、親友のように過ごしてきた。
宮廷での生活が遠いものに感じるほど、新鮮で穏やかだった。
そして、ある日突然、金糸雀が迎えに来たのだ。
瑪瑙帝が逝去、しかるのち数日のうちに宮城に戻られたし、と言う書類と共に。
祖母は宮城が用意した特別専用機を丁重に断り、ギルド所有の航空機を用意した。
そこでまたテロ事件に巻き込まれ散々ではあったが、金糸雀と大嘴という家令が2人同乗していたのが犯人の運の尽きであった。
「・・・私、お祖母様の鹿乃呼様にお写真見せてもらった事があります。お祖父様と、どこかの湖で飛行艇に乗っているところ」
まだ少年の天河が、大嘴と大きな犬と写っていた。
とても楽しそうだった。
「他人が思うほど、子どもの頃お互い不幸じゃありませんね」
ほっとしたように孔雀が明るい星を見上げながら言った。
空がもう明るいのに、星がこんなに輝いて見えるのか、と思うほどきらめいていた。
「そうだな」
天河もまた、不思議と胸のつかえが溶けていくような気分で。
それから孔雀は、兄弟子や姉弟子の散々な素行の話や、子どもの頃に読んだ絵本の話をした。
天河が知る絵本の知識に、兄弟子も姉弟子も知らないのに、あの人達桃太郎すら怪しいのに、と孔雀はとても喜んだ。
気づくと、天河はソファで寝てしまっていた。
天河を担ぐのは不敬だろうかとさすがに躊躇われ、孔雀は毛布を山のように持ってくると、天河の上に掛けた。
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登場人物紹介

⁂孔雀《くじゃく》  宮廷家令

十歳で問答無用で宮廷家令に召し上げられる。元は継室候補群十一家のうちの棕梠家の生まれ。(実績が低いので宮廷での信用は低い)。 本名は棕梠 杏花春雨《しゅろ きょうかしゅんう》。

皇帝である翡翠帝により、十五歳で宮宰である総家令を賜る。

実家は、ギルド筋と言われる商業経済活動を生業とする立場にある。砂糖商から身を起こし現在は製菓業。異種多種経営で建築資材、水産加工品、食品流通等様々であるが、今も昔もカステラが一番有名。通称カエルマーク。

国を超えて経済活動をするギルド筋の人間には珍しくないが、どこかで外国の血が混ざっていて、青菫色の瞳をしている。

棕梠家は双子が多く生まれる家で、孔雀はいわゆるバニシングツイン(周産期で双子が一人になってしまう。生き残り)。

その場合、名前を二人分つけるという習慣があり、杏花・春雨という変わった名前になっている。

海軍所属。十二歳から軍属に就く。

金糸雀、緋連雀と共に女官試験にパスしているので、宮廷では三人官女と呼ばれている。(陰ではゴーゴン姉妹と揶揄されている)。

小さな頃から軍で働いていたので、自国ではヒヨコちゃんやフラッフィー等と呼ばれていたが、後に悪魔の王《ルシファー》という渾名で敵国から認識されるようになる。

神殿の神祇官。大神官になれる素養があるとされる。

異能を持つ天眼(結構いる)の生まれ。

個性の強い大人に振り回されて奮闘中。

実用性のみの特技はいろいろあるが、マグロの解体が出来る。

頑健な者ばかりの他の家令より多少虚弱でよく寝込む。

⁂金糸雀《カナリア》  宮廷家令

母親が女家令の青鷺《あおさぎ》。父親が梟《ふくろう》。生まれながらの宮廷家令の身分。

海外の寄宿舎育ちで、幼少から天才少女と誉高く、家令の身分ながら、官僚試験の殿試を二位である榜眼《ぼうがん》でパスしている。また女官試験もパスしているので、孔雀、緋連雀と共に三人官女と呼ばれている。(裏ではゴーゴン姉妹と揶揄されている)

軍事法廷専門の弁護士。

陸軍所属。十ニ羽の五色鶸《トゥェルブ・ゴールドフィンチ》部隊を率いる。

渾名は、人食いワニ《マンイーター》。

宮廷では、報道官を務め、また後宮内の服飾の管理、軍の装備品の開発を担当している。

神殿《オリュンポス》の神祇官。

ボウルルームダンスのチャンピオン保持者であり、アスリートタイプ。

真鶴に唆されて、白鴎と一ヶ月だけ結婚していた。結婚生活は正味十日程度。

白鴎の浮気に激昂して、白鴎を半殺しにして病院送りにして、一人で新婚旅行を楽しみ現地でデートクラブを経営して荒稼ぎしていた。

結婚式の準備と離婚のお詫び行脚を丸投げされた孔雀から恨まれている。

⁂緋連雀《ひれんじゃく》 宮廷家令

母親が女家令の生まれながらの宮廷家令の身分。三代続く女家令。

祖母は大戦の折に戦歴を称えられ、当時の黒曜帝の公式寵姫でもあった美貌の女家令、巫女愛紗《みこあいさ》。

母親は、アカデミー長の猩々朱鷺《しょうじょうとき》。

宮廷で育った為、自他共に認める美貌と教養を鼻にかけている節があり、「宮廷育ちの根性曲がり」と陰口を叩かれている。

少女の頃から宮廷画家であり人間国宝の画聖・淡雪を師匠に日本画を修練し、雅号を持つ逸材。

宮廷に関わる男を手玉に取り一財産築きつつある。

孔雀、金糸雀と共に、女官試験もパスしているので、三人官女とも呼ばれる。(裏では、ゴーゴン姉妹と揶揄されている)

海軍所属の出世頭。渾名は、火喰蜥蜴《サラマンダー》。

聖堂《ヴァルハラ》所属の司祭。

バレエのエトワールであり、招かれて海外公演もこなす。

第二太子の天河曰く、「殺し屋のようなオデット姫」。

外見は華やかな美貌であるが、中身は中年男性に寄りがちな食生活と生活態度であり、軍隊の猛者がドン引く程の下ネタが得意。

⁂白鷹《はくたか》   宮廷家令

翡翠帝の母親である琥珀女皇帝の総家令であった。

現在は離宮で琥珀のもとに仕えているが、宮廷での影響力は未だ健在。

若き時代、皇女であった琥珀と共に大戦の前線を駆け抜けた強者であり、大戦で多くの家令が戦死した中で、数少ない生き残り。王族のうちでも皇統下位であった琥珀の帝位簒奪に尽力した。

後進に対して教育熱心であるが、性格は非常に自分勝手で激しいものがある。

大戦当時の神殿の神官長でもあった王族に、弟弟子である大鷲《おおわし》が監禁されていたのを不服に、報復の為に神殿を焼き討ちした過去があり恐れられている。

人肉を屠るダキニ、人肉を喰らうダキニと呼ばれている。

子供の孔雀に目をつけて、問答無用で召し上げた。

現在も家令達を統率している。

神殿《オリュンポス》の神祇官。

⁂梟《ふくろう》   宮廷家令

翡翠の叔父、琥珀の弟に当たる瑪瑙帝の総家令。

白鷹と共に、孔雀を宮廷家令に召し上げた。

金糸雀の実父であり、青鷺の元夫。

大戦の折に、若くして従軍した生き残り。

聖堂《ヴァルハラ》の司祭。

武闘派の白鷹に対して、梟は陰険な策謀家で知られていて、宮廷ではその情報を掌握して恐れられている。

渾名は死神。

⁂雉鳩《きじばと》    宮廷家令

父親が王族、母親が琥珀帝の父親である黒曜帝の総家令の白雁《はくがん》と黒曜帝の皇妹の娘。

宮廷では緋連雀と共に美貌を知られている。ウェストは緋連雀より細い。

アカデミーで医師の資格を取っているが精神科医で臨床経験はない。

海軍所属。渾名は大海蛇《シーサーペント》。

聖堂《ヴァルハラ》の司祭。

書道の大家。

本名 羽黒山 稼頭男《はぐろやま かずお》

自分の美意識に合わず、本名を隠したがる。


⁂白鴎《はくおう》    宮廷家令

ギルド筋出身。金融業を生業とする、ギルド長を務める百目木《どうめき》家の次男坊。

金融、マスコミ、宗教関係は正室、継室共に入宮は出来ない規則があり、継室候補群ではない。

海外に留学中に己の悪徳の致すところで勾留の憂き目に遭い、父親が梟に泣きつき、裁判にて無罪となる。

家令にする事を条件とされていた為に、放免後そのまま宮廷家令の身分となる。

陸軍所属。作戦中に部隊がほぼ壊滅状態となり、軍属から離れている。

聖堂《ヴァルハラ》の司祭。

真鶴に唆されて、短期間だが金糸雀と結婚していたが、すぐに離婚。

金糸雀に半殺しにされて入院した経験がある。

留学中に伝統ある料理学校と三ツ星シェフの元で修行をしたオーベルジュでの勤務の経験もあるシェフでもある。

本名 百目木 円《どうめき まどか》


⁂大嘴《おおはし》   宮廷家令

聖堂《ヴァルハラ》の教皇座を出している家柄の出身の三男坊。

大嘴を家令にする事を条件に、梟によって、議会に置いて大戦で失われた大聖堂の再建予算案が通った。

空軍所属。聖堂《ヴァルハラ》の司祭。

付き合いがよく、上の世代に育児放棄されつつも孔雀と燕とガーデンで自活した経験がある。

翡翠の第二太子である天河《てんが》と共に、一時海外で共に生活をしていた。後に正式な侍従となる。

本名 英 三郎《はなぶさ さぶろう》

⁂燕《つばめ》   宮廷家令

宮廷家令。

母親が女家令であり梟の実妹の木ノ葉梟《このはづく》。

宮廷育ちで、幼い頃から宮廷で使い走りをしていた。

家令の教育期間であるガーデンに行った途端に、上の世代から育児放棄されて孔雀と大嘴と自活する。

実母も、周りの姉弟子兄弟子も強烈な為、家令の中でもマイペースな孔雀と大嘴との擬似家庭を結構気に入っていた。

⌘翡翠《ひすい》   王族・皇帝

琥珀女皇帝と継室であった椿《つばき》との間の第二太子。

叔父の瑪瑙の跡を継いで皇帝となる。

琥珀の時代の皇帝であった長兄の真珠帝が背信罪となり、琥珀帝と当時の総家令の白鷹により、侍従であった家令の川蝉《かわせみ》と共に、討伐の命を受けた。

アカデミーでドクターの資格を修めたが、臨床の経験はない。

王族の慣例に則り、十五で婚姻。正室である元老院筋の芙蓉《ふよう》皇后。第二妃として、ギルド筋の継室の木蓮《もくれん》、三妃として、議員筋の紅小百合《紅小百合》がいる。

それぞれの后妃との間に、皇太子の藍晶《らんしょう》、第二太子の天河《てんが》、皇女の紅水晶がいる。


孔雀を総家令に任命した。

孔雀の若さに注目した宮廷の人間から、特殊な性癖の持ち主なのかと噂される。

半分、妹である真鶴、翠玉皇女への当て付けで孔雀を総家令に任命して、伽に招いた。

残り半分の、都合の人事としての総家令任命であったが、徐々に孔雀との間に真摯な関係を結ぶようになる。

人々から愛隣王という称号で呼ばれるようになる。

外見の物腰が柔らかで繊細に見えるが、内面は結構雑

母親である琥珀にそもそもあまり親近感はない。

⌘藍晶《らんしょう》   王族・皇太子

翡翠と、芙蓉皇后の間の皇太子。

母が元老院筋の大貴族の出なので、元老院派の支持も篤く、またリベラル派でもあり若手議員からも信奉されている。

生来の貴公子であり、国内外からも人気がある。

社交界の華であり、数多くの浮名を流しているがそれもまた人気。

第一子、皇太子が後継とは限らない王朝において、琥珀帝によって生まれながらに皇位を約束された「幸福な王子」。

本来は十代半ばで婚姻を済ませているはずだが、不服としていたが孔雀により延期となり、また宮宰としてたち働く孔雀を、気の毒に思いながらも都合のよい総家令として満足している。

⌘天河《てんが》    王族・第二太子

翡翠と二妃・木蓮の間の第二太子。母親がギルド筋であり、特殊な案件で早逝した為、宮廷では冷遇されていた。

アカデミーで、宇宙物理学を専攻して、研究と共に教鞭にも立っている。

母親の死後、一時期、ギルド長を辞した祖母と、アカデミー教授であった祖父と共に海外で暮らしていた。

大嘴とは兄弟のように育つ、遊び仲間でもある。

少年の頃、孔雀を気に入り、母親である二妃と翡翠の侍従であった川蝉が宮廷に招こうとしていたが、孔雀が家令となり、総家令として宮廷に仕える事になったのを不服に思っていて、原因であり無神経な言動をする梟を恨んでいる。

王族に見られる、異能の龍現の生まれとされるが特に何か特別な才能は見られない。

父親である翡翠と逆で、見た目は鷹揚だが、中身が神経質なところがある。


母親が亡くなった宮城から距離を取って成長し、更に孔雀が総家令になった事で更に足が遠のいていたがアカデミーで問題行動を度々起こしていたが、孔雀が歩み寄った事で、徐々に宮廷や家令達と関わるようになる。

浮世離れたした人間の多い宮廷においては数少ない常識人であり、その点から苦労性である。

⁂鵟《のすり》    宮廷家令

本名・篠山 茜《しのやま あかね》。高校生。母親と母親の夫、その妹と暮らしていた。実父は死亡。家庭環境としては恵まれたものではなかった。

父方の曽祖父が宮廷家令であるとの事で、スカウトされ、了承する。

戸惑いながらも、少しずつ家令としての生活に希望と自意識を見出す。

家令としての孔雀に興味を持ち、あれこれと物語を聞かされる事になる。

⁂黄鶲《きびたき》    宮廷家令

川蝉《かわせみ》の妻であり、尉鶲《じょうびたき》の実母。

翡翠により宮廷の終身典医としての地位を与えられている。

二妃が死亡し、他の同世代の家令達が宮城から放逐された時も、終身典医の地位の為に守られた。

アカデミーの医局に勤めるドクターでもある。

前線で医療行為を行うNPO法人も運営している。

趣味は保護猫の去勢。

若かりし頃に一時期、翡翠と関係があった。

宮廷で、青鷺《あおさぎ》、鷂《はいたか》、猩々朱鷺《しょうじょうとき》、木ノ葉梟《このはずく》と共に、妖精《フェアリー》と呼ばれた世代。陰では小鬼《ゴブリン》と揶揄されていた。

聖堂《ヴァルハラ》の司祭。

⌘芙蓉《ふよう》   王族・皇后

 元老院筋の大貴族から入宮した翡翠の正室、皇后。

皇太子である藍晶の母。

後宮の螺鈿《らでん》宮の主。

以前は青鷺が侍従として仕えていた。


前元老院長の親族であり、養女と言う形での入宮であったが、実は、真珠帝と皇后出会った薔薇《そうび》との娘である碧玉公主。

⁂青鷺《あおさぎ》   宮廷家令

金糸雀の実母、梟の元妻。

宮廷で最も思慮深く上品で教養のある女家令と言われている。

芙蓉皇后の侍従として仕えていた。

二妃が亡くなった際、不手際を咎められて白鷹から宮城から放逐されたうちの一人。

孔雀が総家令に就任した際に、恩赦として復位を賜ったが、以来、宮城には戻っていない。

海兵隊所属。

現在、海兵隊の責任者として前線に勤務している。

外見も物事も淑やかなのだが、やはり凶暴な面があり、家令達からはお上品機雷と呼ばれている。

渾名はワイバーン。

黄鶲、猩々朱鷺、鷂、木ノ葉梟と共に、妖精《フェアリー》、小鬼《ゴブリン》と呼ばれた世代。

⁂鷂《はいたか》    宮廷家令

神殿《オリュンポス》の神祇官。

陸軍所属。

父親が大戦で戦死した家令の青鵐《あおじ》。母親が西の副修道院長。

聖堂《ヴァルハラ》の元枢機卿(大嘴の長兄)と深い中になり、問題となった為に現在、海外の機関に出向中、と言う事になっている。

二妃が亡くなった際に、責任を問われて城から放逐された一人。

黄鶲、青鷺、猩々朱鷺、木ノ葉梟と共に、宮廷で妖精《フェアリー》、小鬼《ゴブリン》と呼ばれた世代。

真珠帝の公式寵姫でもあった。

⁂瑠璃鶲《るりびたき》   宮廷家令

翡翠の祖父にあたる黒曜帝の総家令代理を務めた。

黒曜帝が退位後は、宮城から離れアカデミーにて研究の日々に戻った。

元アカデミー長。現在は医聖の称号を得て、アカデミーの精神的支柱。

⁂猩々朱鷺《しょうじょうとき》 宮廷家令

現アカデミー長。美貌で知られる女家令。

母親は巫女秋沙であり、緋連雀は娘。

母親が黒曜帝の公式寵姫であった事から、猩々朱鷺はその娘ではないかと言われている。

(女家令から生まれた者は生まれながらに家令の身分なので、父親の存在は不問でありあまり頓着されない)

陸軍所属。渾名はワイバーン。

聖堂《ヴァルハラ》所属の司祭。


かつて翡翠の第二妃であった木蓮付きであったが、彼女の死の責任を追及されて宮城から放逐された世代の1人。

後、アカデミーで天河を支えた。


真珠帝と大鷲総家令の時代に宮廷で、青鷺、黄鶲、鷂、木ノ葉梟と共に、妖精《フェアリー》、小鬼《ゴブリン》と呼ばれた。

大嘴以上の大喰らいである。

⁂木ノ葉梟《このはずく》 宮廷家令

梟の実妹。

王立図書文書館統括司書。

翡翠の二妃の死によって責任を問われて宮城から放逐された世代の末妹。

空軍所属。聖堂《ヴァルハラ》の司祭。

燕の実母。

白鷹所有の別荘で燕を産んだ。

家令には珍しく小柄だが、1番血の気が多く、小型爆弾と呼ばれている。


真珠帝と大鷲総家令の時代に、青鷺、黄鶲、猩々朱鷺、鷂と共に、宮廷で妖精《フェアリー》、小鬼《ゴブリン》と呼ばれた。

⁂鸚鵡《おうむ》 宮廷家令

本名、五百旗頭《いおきべ》 綾《あや》。

元は宮廷近衛兵、禁軍である軍閥の生まれ。母親が前女官長であったので、姉である現女官長と、白鷹の離宮に出入りを許されていた。真鶴のファン。真鶴が家令の身分に処される時に自らも家令になってしまった。

アカデミーの医学部出身で、茉莉のもとで東洋医学を納めた。

真鶴の為に家政学部も通信で卒業。


現在、前線の野戦病院勤務。

⁂川蝉《かわせみ》  宮廷家令

翡翠の元侍従。離宮に移った瑪瑙帝と梟総家令の時代、当時皇太子であった翡翠と宮城に残り、総家令代理を務めた。

翡翠と共に真珠帝追討の指揮を執った。

ニ妃の死の責任を負い、宮城を放逐された世代。軍中央《セントラル》所属であったが軍属、更に聖堂《ヴァルハラ》の司祭の立場も解かれた。

家令の特殊運用組織であるエトピリカに出向し海外での勤務に当たる。


⁂真鶴《まづる》  宮廷家令

美貌と知性が抜群で、人を惹きつける魅力があり本人もそれは十分自覚している。

なんでもできるし、なんでもやる。

女神のような、または悪魔のようなと評される。

面倒見が良く、弟妹弟子からも慕われている。

人類に貢献する程の研究《ナンバリング》を多数所有。

アカデミー特別委員の1人。

海軍所属。演習で人喰い羆を仕留めた事から、渾名は羆殺し、レディ・タイガー。

神殿《オリュンポス》の神祇官と聖堂《ヴァルハラ》の司祭どちらも務める。


本来は琥珀帝が離宮で産んだ最後の娘であり、翠玉皇女の身分であった。

後見人であった長兄の真珠帝が背信で処された煽りをくって、家令の身分から家令となる。

家令の生活を本人は割と気に入っている。


⁑茉莉《まつり》  

家令の父親とそうではない母親を持ち、家令にはならない事を決めた"蝙蝠"《こうもり》と呼ばれる存在。

家令名は、千鳥《ちどり》。

父親は大戦の生き残りで戦後復興に尽力した唐丸《とうまる》。母親は貴族筋の女官で琥珀帝に仕えた。

翡翠の友人。

アカデミーで東洋医学を研究して学位を取り、教育に力を入れている。鸚鵡も教え子の一人。

家令と反目する軍中央《セントラル》に所属している。

⁂尉鶲《じょうびたき》 宮廷家令見習い

黄鶲と川蝉の息子。

10歳になり、宮城や離宮で家令見習いとして使い走りを始めたばかり。

現在、家令の中で1番の年少者。


§淡雪《あわゆき》  宮廷画家

本名 東雲《しののめ》淡雪

アカデミーに所属する画家。

アカデミー特別委員。

人間国宝、画聖の称号を持つ。

翡翠の学友。

緋連雀の師匠。

作品は宮廷でも人気がある。

継室が欲しがった作品を白鷹も欲しがり、琥珀が倍の値段で買い上げ白鷹に与え騒動になった逸話がある。

本人はあまり物事にこだわらないたちなので、人間関係に巻き込まれる事もなく生きている癒し系。

放浪癖があり、あちこちスケッチ旅行に出かけては戻って来ない。

宮廷画家として大聖堂修復の指揮を執った。

§路峯 隼 《ろほう はやと》 

元老院次席であり、父は元老院長であった。

翡翠の正室、皇后の芙蓉を出した大貴族であり屈指の名門出身。

父の後妻として雉鳩の母が路峯家に入っている。

翡翠の学友。

皇太子である藍晶を支持している。

議員派と親しい皇太子を危惧している。

⌘鈴蘭《すずらん》   皇太子正室

元老院派 比嘉家の二の姫。

孔雀の推薦で、藍晶の正室として後宮に入宮した。

快活で朗らかであり、皇太子宮である象牙宮の若き女主人を務めている。


§揚羽《あげは》    女官長

本名、済 更紗《わたり さらさ》。

旧姓 五百旗頭《いおきべ》。

祖母、母と女官長を三代務める。

宮廷軍閥、五百旗頭家の出身。鸚鵡の姉。

女官は、上位五役までが蝶の名前を戴く。

最も高位の女官長 揚羽。

母もまた女官長であった事もあり、鸚鵡と共に子供の時から琥珀の離宮に出入りしていた。

真鶴とは幼馴染。

⌘紅小百合《べにさゆり》 王族•第三妃

翡翠の三妃。継室候補群議員派の出身。

本名 渡良瀬 香織《わたらせ かおり》

リベラル派だった瑪瑙帝の推薦で入宮した。

紅水晶皇女の母。

正室の地位を望んでいる。

身近に家令を置く事を好まない。

正室、ニ妃が不在につき国内外でファーストレディとして活躍。

⌘木蓮《もくれん》 王族•第二妃

翡翠のニ妃。継室候補群ギルド派出身。

天河の母。

本名 縞野 乃衣美《しまの のえみ》。

母がギルド長、父がアカデミーの教授で外国人であった為、海外で生まれ育った。

天河が10代のうちに宮城で亡くなった。

⌘撫子《なでしこ》   皇帝四妃

本名 一宮 絲子《いちみや いとこ》

元老院筋の貴族の正室候補群である一宮家から翡翠に入宮した。

翡翠帝以外も、皇太子の藍晶の正室、継室、第二太子天河の正室、といずれの縁談にも名前が挙がる程の名家。

食が細く、厨房を預かる白鴎と、孔雀を悩ませている。

§紋白《もんしろ》   副女官長

本名 鏡 華《かがみ はな》

女官の五役の一人。

没落貴族の出身で、女官試験を受けて登用された。

結婚時に一度城を下がったが、その後離婚して復職した。

子供が宮城内のキンダーガルデンで育ち、同じ宮城内にある舎宅に暮らしている。

当初は孔雀に反感を持っていたが、現在では好意的。

同じ貴族出身の四妃に複雑な感情を抱いている。

§銀椋鳥《ぎんむくどり》 宮廷家令

本名 エマ•ダミニ•タシオニ 

母親はアカデミー教授のキーヴァ•タシオニ。

10代でアカデミーに入学を許された天才少女。孔雀が母親のタシオニと親しくなり、孔雀とも友達になる。

家令逹のアカデミーでの宿舎である"止まり木"にもよく出入りをしていた為、天河や大嘴とも親しくなった。

大嘴に憧れて17歳で家令になった。

真鶴を強く意識している。

茜が家令になってくれて嬉しく思っている。

§ヤドヴィカ・タシオニ  アカデミー教授・動物学者

アカデミーで動物学、獣医学を研究、教鞭をとる教授。エマの母親。

アカデミー特別委員の1人。

優秀で、トリッキーなところがある。

アカデミーでの孔雀の師となる。

エマに家令になればいいのにとアドバイスをし、心配だと渋る孔雀を説得した。

⁑ ヘルムート・ネイガウス  A国将校

アカデミーに属するA国将校。

天河の友人。

お互い前線を挟み睨み合う仮想敵国の立場だが、アカデミーでは政治的思惑は不問の為、複雑ながら親交は深い。

A国は皆徴兵制がある為、少年の頃から兵役の経験がある。

軍人一家であり、海軍に在籍している。

◇戴勝《やつがしら》

元敵国•現仮想敵国のQ国母后。

本来は家令の戴勝。

一時、神殿《オリュンポス》で大神官を目指して潔斎に入っていたが、放り出して戦場に戻る。

大戦中に戦死したと記録されているが、実際はQ国で拘束され殺されたとされた目白と共に幼い王の義母として活躍し辣腕を奮っていた。

大神官を目指した事から、"神の花嫁"とも呼ばれ、また、“地獄の門番“とも呼ばれた。

梟曰く、"海賊や山賊のような女家令"。

◇目白《めじろ》

元敵国•現仮想敵国のQ国大宰相。

本来は家令の目白。

大戦中に大司教であったが、停戦の斥候としてQ国を来訪した際に拘束されて処刑されたとされていた。

実際は幼い王の宰相として、義母の立場の母后(やはり家令の戴勝)と共に活躍。

数年前に没。

◇鶍《いすか》

元敵国•現仮想敵国のQ国の太政官。

本来は家令の鶍。

元アカデミー長。

Q国の高官未亡人と出会い、亡命した先で戦死した筈の弟妹弟子の戴勝と目白に再会。

身分保証を約束され大いに貢献。

5人の妻、12人の子供、25人の孫を得た。

20年程前に没。

鵟の曽祖父に当たる。

セリム•リド•ユク

Q国王。

大戦中、宮殿で、冷遇されついた少年時代に、囚われていた目白、勝戴と、家令による"悪魔の契約"を結び、支援を受けて兄3人を葬って即位し、国は大躍進を遂げた。

後宮《ハーレム》に多くの妃がおり、多数の子を持つ。


死んだはずの兄弟子姉弟子が生きていると知った白鷹が差し向けた猩々朱鷺と関係を持った、らしい。緋連雀の父親に当たる。


⌘紅水晶《べにすいしょう》 皇女

翡翠と紅小百合の娘。

母親の意向で家令とはある程度遠ざけられ育った。

Q国皇太子と婚約が決まった。

§五百旗頭 紬然《いおきべ ゆうぜん》

宮廷軍閥、禁軍近衛兵の竜騎士。

鸚鵡と更紗の父親。前女官長の夫。

翡翠への背信疑いとして、元老院除籍、蟄居の処分となっていたが、鸚鵡が名誉回復した事で、自分も許され復籍した。


近衛兵は皇帝の近侍兵であり、大戦中は戦場にはあまり足を向けなかった黒曜帝の以降で実戦闘には関わらなかったのを、白鷹や梟から恨みに思われている。

かつて少年時代に軍神寵姫と称えられていた巫女秋沙に憧れていた。

⁂巫女秋沙《みこあいさ》 宮廷家令

西の修道院長。

猩々朱鷺の母、緋連雀の祖母に当たる。

大嘴の母違いの姉。

かつての黒曜帝の公式寵姫であり、白鷹曰く"ちょっと見てくれがいいのを鼻にかけた緋連雀が逆立ちしたって敵わない美貌"であった。

また軍でも手腕を発揮し、大戦中は軍神寵姫と呼ばれた。

長い間、弟の大鷲の安否が知れず心配していた。翡翠に頼まれて、真珠帝の首を保管していた。

現在家令の中で1番の年長。

長生きのコツは"何もしないこと"。

§真榊 鮎子《まさかき あゆこ》

西の副修道院長。

鷂の母に当たる。

かつて神殿《オリュンポス》に仕えた巫女であった。

大戦中、勝戴の指示で西の修道院に逃れた。

生活能力の低い家令の巫女秋沙の代わりに修道院では様々に実務に携わっている。

⌘瑪瑙《めのう》

琥珀の弟。真珠帝の死後、皇帝位に就いた。

リベラルで知られ、議員を支持していた。

遅くに皇帝となった事もあり、継室は持たずに離宮を好んで過ごす事が多かった。

⌘真珠《しんじゅ》

琥珀と正室の薔薇《そうび》との皇太子。

琥珀の後に皇帝位に就いた。

総家令の大鷲と共に大戦後の明るく豊かで自由な時代を反映するかのような宮廷を作り上げた。

表向きは事故死とされたが、琥珀や旧勢力から背信罪で討たれる。

琥珀に命じられて指揮したのは翡翠。

死罪より重い記録抹消剤となり、宮廷のあらゆる公式文書から名前を消去される。

⁂大鷲《おおわし》  宮廷家令

真珠帝の総家令。

巫女秋沙の母違いの弟。

母親は、大戦で戦死した家令の雷鳥《らいちょう》。

天眼であり、優秀な神官でもあった。

下の世代の家令からの信頼も厚く、面倒見が良かった。

真珠帝が討たれた際に行方不明となった。

⌘琥珀《こはく》帝    女皇帝

白鷹と共に大戦中、前線を走り回った歴戦の女皇帝。

長兄から皇位を簒奪し、皇帝に就いた。

正室との間に真珠、継室との間に翡翠、父親は公表されないままだが翠玉(真鶴)を産んだ。

白鷹を伴い早くに離宮に移った。

革新派の真珠とぶつかり、背信罪で真実を訴追。

宮城に戻る事なく離宮で亡くなった。

§済 武衛《わたり ぶえい》 

宮廷軍閥 禁軍 近衛兵

女官長の揚羽(更紗)の夫。

元老院籍はないが、五百旗頭《いおきべ》家に次ぐ軍閥の名門。

藍晶の護衛官。

⁂仏法僧《ぶっぽうそう》  宮廷家令

元議員 本名 眞弓《まゆみ》如意《にょい》

若手の世襲上院議員だったが、皇太子の恋人に唆された先輩議員と共に総家令である孔雀を襲撃し返り討ちにされた事がきっかけで家令にスカウトされる。

家令には居ない常識人ぶりと爽やかさで、宮廷の女官と官吏に大人気。

海兵隊所属

神殿《オリュンポス》所属

⁂太蘭鳥《たいらんちょう》 宮廷家令


本名 棕櫚《しゅろ》麗《うらら》

孔雀の双子の娘。

アカデミーに入学予定。

生まれてから一度も同じ年頃の子供と団体生活をした事がないので非常にマイペース。

ほぼ雉鳩に育てられた。

後見人は、元皇女の翠玉。真鶴。

⁂金襴鳥《きんらんちょう》 宮廷家令


本名 棕櫚《しゅろ》朧《おぼろ》

孔雀の双子の娘。

アカデミーに入学予定。

生まれてから一度も同じ年頃の子供と団体生活をした事がないので非常にマイペース。

ほぼ雉鳩に育てられた。

後見人は、元皇女の翠玉。真鶴。

⁂菫金剛《すみれこんごう》  宮廷家令

孔雀の息子。

ほぼ大嘴《おおはし》が育てている。


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