第3話 仮面ライダーを探偵しましたのぢゃ!【3】
文字数 1,827文字
【3】
50年前に登場しました『仮面ライダー』は、テレビ企画ありきの原作漫画でしたのでな、ドラマ版と漫画版では、様々な相違点があったようですぢゃ。
で、最大の相違点はですな、本郷猛の変身後の姿である仮面ライダー体が、
①「完全変態後の生身の姿」
なのか?
②「変態後の生身に、強化スーツとヘルメットを装着した姿」
なのか?
と云う、変身特撮SFとしては看過できない重要な問題だったようですな。
原作者の石ノ森章太郎先生は、当初「完全変態後の生身」の姿であると設定したかったそうなのですがな、テレビドラマ版の仮面ライダー体のプロトタイプを見せられて、
「なんじゃ、こりゃぁ?
これじゃ、服とフルフェイス・ヘルメットじゃん!
しかも本郷の髪出てるし……」
と愕然とし、「まあ、しゃ〜ね〜な〜」と漫画版の設定変更したらしいのですわい。
そんなこんなで、原作漫画版では、仮面ライダーの姿が「ヘルメット&強化スーツ」であることが次第に明らかになっていくのですがな、その記念すべき第一作『PART1 怪奇くも男』の仮面ライダー初登場シーンは、あのライダーの姿は「完全変態後の生身の姿」なのでは? と思わせるような描かれ方がされておるのぢゃよ。
そのあらすじはこうぢゃ。
①肉体改造を終え、脳改造直前に目を覚ました本郷猛は、ショッカー基地の火災に乗じて、緑川博士を伴って基地から脱出する。
(その際、本郷猛はパンツ一丁の裸体で靴さえ履いていない)
②基地を抜け出した二人は、緑川博士が(都合よく)茂みに隠していたサイクロンに乗り込み、サイクロンを追うショッカーの車とのカーチェイス逃亡劇を繰り広げる。
③緑川博士を乗せ必死にサイクロンを運転する本郷猛だったが、くも男が仕掛けた地雷に触れ爆発、本郷猛はサイクロンに乗ったまま崖下の海へ転落し水没。
サイクロンから振り落された緑川博士は、くも男に捕らえられて首を絞められその命は風前の灯。
④とそこに、崖の上に敢然と姿を現したのは、あの仮面ライダーの雄姿。
(ヘルメットもスーツもおなじみの姿で、マフラーまでしている)
ざっとこんな初登場シーンなのぢゃがな、50mはあろうかと云う崖下の海にバイクごと転落して水没しているのに、間髪を入れずに仮面ライダーの姿となって、崖の上に飛び上がってくるのぢゃから、これはどう考えたって、
「んん? これって、落ちた海中で、サイクロンの座席の下からヘルメットとライダースーツとブーツを取り出して、水中で着用して、そんで、秒で海から崖に飛び上がってきたって言うの?
そりゃなんでも無理だろ。
これやっぱ、改造人間として、完全変態後の生身の姿として登場したと考えるのが妥当だべ」
と思わずにはいられない疑問と矛盾だらけの初登場シーンなのぢゃ。
儂が勝手に推測するに、やはり当時の石ノ森先生は、「仮面ライダーの姿とは完全変態後の生身の姿であって欲しい!」とのメッセージと云うか、ささやかな抵抗としてこの初登場シーンを描いたのではないかのう。
庵野大先生監督の「シン・仮面ライダー」の基本プロットは、原作漫画版をベースにしていると云われておるようぢゃが、映画版の「シン」のライダー登場シーンは、テレビドラマ版のオマージュでしたがの、やっぱ漫画版の不可解な登場シーンは、「物理法則を無視している」のが嫌な庵野大先生なので、流石に使えなかったのでしょうなぁ。
しかし、テレビ版をオマージュした登場シーンも、庵野大先生力作のCGシーンも、かなり「物理法則を無視している」と儂には見えますがのう。
石ノ森先生の、「変身とは完全変態後の生身の姿」と云うこだわりは半端ないようで、ライダー第四作目の「仮面ライダー アマゾン」では「完全変態後の生身の姿」を強調したライダーの姿になったし、イナズマンでは、イナズマンという成虫超人に変身するためには、一度サナギマンという蛹 になる必要がある、と云う手の込んだ二段変身を設定したりしておりましたからのう。
で、そんな石ノ森先生の意を汲んだ極め付きは、「真・仮面ライダー」の、もうまるで「バッタ人間のミュータント」と云えるようなリアルで一見おぞましいような姿ですがの、これはまさに、
「バッタと人間を掛け合わせた改造人間の、完全変態後の姿はこれしかない!」
と納得させられる姿でしたのう。
リアリティ重視の儂は、この「真・仮面ライダー」の姿とスタイルがけっこうお気に入りでしたわい。
50年前に登場しました『仮面ライダー』は、テレビ企画ありきの原作漫画でしたのでな、ドラマ版と漫画版では、様々な相違点があったようですぢゃ。
で、最大の相違点はですな、本郷猛の変身後の姿である仮面ライダー体が、
①「完全変態後の生身の姿」
なのか?
②「変態後の生身に、強化スーツとヘルメットを装着した姿」
なのか?
と云う、変身特撮SFとしては看過できない重要な問題だったようですな。
原作者の石ノ森章太郎先生は、当初「完全変態後の生身」の姿であると設定したかったそうなのですがな、テレビドラマ版の仮面ライダー体のプロトタイプを見せられて、
「なんじゃ、こりゃぁ?
これじゃ、服とフルフェイス・ヘルメットじゃん!
しかも本郷の髪出てるし……」
と愕然とし、「まあ、しゃ〜ね〜な〜」と漫画版の設定変更したらしいのですわい。
そんなこんなで、原作漫画版では、仮面ライダーの姿が「ヘルメット&強化スーツ」であることが次第に明らかになっていくのですがな、その記念すべき第一作『PART1 怪奇くも男』の仮面ライダー初登場シーンは、あのライダーの姿は「完全変態後の生身の姿」なのでは? と思わせるような描かれ方がされておるのぢゃよ。
そのあらすじはこうぢゃ。
①肉体改造を終え、脳改造直前に目を覚ました本郷猛は、ショッカー基地の火災に乗じて、緑川博士を伴って基地から脱出する。
(その際、本郷猛はパンツ一丁の裸体で靴さえ履いていない)
②基地を抜け出した二人は、緑川博士が(都合よく)茂みに隠していたサイクロンに乗り込み、サイクロンを追うショッカーの車とのカーチェイス逃亡劇を繰り広げる。
③緑川博士を乗せ必死にサイクロンを運転する本郷猛だったが、くも男が仕掛けた地雷に触れ爆発、本郷猛はサイクロンに乗ったまま崖下の海へ転落し水没。
サイクロンから振り落された緑川博士は、くも男に捕らえられて首を絞められその命は風前の灯。
④とそこに、崖の上に敢然と姿を現したのは、あの仮面ライダーの雄姿。
(ヘルメットもスーツもおなじみの姿で、マフラーまでしている)
ざっとこんな初登場シーンなのぢゃがな、50mはあろうかと云う崖下の海にバイクごと転落して水没しているのに、間髪を入れずに仮面ライダーの姿となって、崖の上に飛び上がってくるのぢゃから、これはどう考えたって、
「んん? これって、落ちた海中で、サイクロンの座席の下からヘルメットとライダースーツとブーツを取り出して、水中で着用して、そんで、秒で海から崖に飛び上がってきたって言うの?
そりゃなんでも無理だろ。
これやっぱ、改造人間として、完全変態後の生身の姿として登場したと考えるのが妥当だべ」
と思わずにはいられない疑問と矛盾だらけの初登場シーンなのぢゃ。
儂が勝手に推測するに、やはり当時の石ノ森先生は、「仮面ライダーの姿とは完全変態後の生身の姿であって欲しい!」とのメッセージと云うか、ささやかな抵抗としてこの初登場シーンを描いたのではないかのう。
庵野大先生監督の「シン・仮面ライダー」の基本プロットは、原作漫画版をベースにしていると云われておるようぢゃが、映画版の「シン」のライダー登場シーンは、テレビドラマ版のオマージュでしたがの、やっぱ漫画版の不可解な登場シーンは、「物理法則を無視している」のが嫌な庵野大先生なので、流石に使えなかったのでしょうなぁ。
しかし、テレビ版をオマージュした登場シーンも、庵野大先生力作のCGシーンも、かなり「物理法則を無視している」と儂には見えますがのう。
石ノ森先生の、「変身とは完全変態後の生身の姿」と云うこだわりは半端ないようで、ライダー第四作目の「仮面ライダー アマゾン」では「完全変態後の生身の姿」を強調したライダーの姿になったし、イナズマンでは、イナズマンという成虫超人に変身するためには、一度サナギマンという
で、そんな石ノ森先生の意を汲んだ極め付きは、「真・仮面ライダー」の、もうまるで「バッタ人間のミュータント」と云えるようなリアルで一見おぞましいような姿ですがの、これはまさに、
「バッタと人間を掛け合わせた改造人間の、完全変態後の姿はこれしかない!」
と納得させられる姿でしたのう。
リアリティ重視の儂は、この「真・仮面ライダー」の姿とスタイルがけっこうお気に入りでしたわい。