第34話 『グレースの履歴』を探偵しましたのぢゃ!【1】

文字数 976文字

 このシリーズは、今年の3月~5月に書いたものですのぢゃ

【1】

 予告編で、主人公の人妻がハンドルを握る愛車を目にして、「おっ!」と俄然興味をそそられ、「まあ、恋愛ドラマだったら、途中で止めればいいわい」とたいして期待もせずに観はじめた『グレースの履歴』ぢゃった。

 作中、その車は、持ち主が名付けた“グレース”と云う愛称で呼ばれておったがの、無論その2シータ・オープン・スポーツカーの正式名称ではない訳ぢゃ。
 「そりゃまあ、NHKなんぢゃから、商品名を出す訳きゃないよな」と、したり顔の儂ぢゃったが、画面の車を凝視していて、ふと妙な事に気づいた。
(ぢゃ!で終わらず、体言止めで終わってカッコつけてみる)

 そのオープン・スポーツカーは、儂が若い頃から憧れていた車でな、希少性の高い名車&旧車ぢゃったから、普通の中古車市場には流通しておらず、若造の儂には手の届かない高嶺の花ぢゃった。
 で、その代わりに、後年サラリーマン時代に年収1千万円を超えて(とわざわざ書いて見栄を張る)余裕ができた頃に、当時、ホンダが久々に開発した、2シータ・オープン・スポーツカーである、“Beat”(ビート)の中古車をセカンドカーとして手に入れましてな、3年ほど乗り回したことがありますのぢゃ。
 
 おっと、脱線から話を戻しましてな、で、ドラマに登場する名車&旧車の2シータ・オープン・スポーツカーの姿を、儂は写真でした見たことがなかったのでな、テレビ画面のなかで、ピカピカに輝いている車体や内装に目を凝らし、実際に走行する勇姿とエンジンの爆音に胸を躍らせておったのぢゃがな、よくよく凝視しておるとぢゃな、車体正面のフロントグリルに取り付けられたメーカー・エンブレムが、実際のメーカーであるホンダの「H」マークのままだったのぢゃ。

 普通ならNHKのドラマに登場する車のメーカー・エンブレムは、上から架空のマークを貼り付けられて隠されておるものぢゃが、この『グレースの履歴』に登場する車は、フロントグリルはおろか、ステアリングのホーンボタンの「H」ボタンまで、堂々と露出しておる始末。

 「ふーむ。こりゃ何かあるな」と、眼光鋭く睨んだ儂は、本編のストーリーに加えて、その「NHKなのにメーカー名を隠さない謎」に惹かれて、次回も心待ちするように、このドラマの沼にハマっていきましたのぢゃ。

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