第16話 現代の不思議を探偵しましたのぢゃ!【5】

文字数 1,526文字

【5】

 毒舌放言がウリだったこの閑話で、なぜ儂が“UFO”の話をしているのぢゃろう? と思いつつも乗りかかった舟なので話を続けますわい。

 現在では、もう誰もが「3機のUFOが回転しながら飛んでいました」などと平然と言っておるのぢゃが、これはもう、“UFO”=“宇宙船”と認識しているから「3機」と言っておるわけぢゃな。
 しかし! “UFO”は、“未確認飛行物体”、英語では“アンアイデンティファイド・フライング・オブジェクト”なのであって、必ずしも宇宙人の“宇宙船”を指す言葉ではないのぢゃ。

 そして、儂は“UFO”を、なんらかの現象や物体としての存在は肯定するが、“宇宙人が操縦して宇宙からやってきた宇宙船”だとは思っておらん!
 なぜかと言うに、

◆“UFO”は、瞬間移動するのが特徴だが、その瞬間移動の加速度に生物の肉体は耐えることができない。

◆恒星間移動では、光の速度で移動しても数年単位、もしくは数十年単位の時間が必要なのに、そこに生命体を乗せて移動することが可能なのか? また必要なのか?
 そして、恒星間移動に必要な“光速”を発生させるエネルギーや推進装置のシステムを構築することは可能なのか?

◆仮に地球外生命体が地球の調査を行うとしたら、恒星間移動に際して、地球外生命体が宇宙船を操縦するリスクより、宇宙船を無人の探査機にする方が合理的。
 
 そんで、〈そんな苦労してまで、地球外生命体が地球にわざわざやって来なければならない理由があるのぢゃろうか?〉と思ってしまう訳ぢゃな。ふむ。

 そのように理屈っぽく考えると、“タイムマシーン”や“瞬間移動装置”はどうなのか? という話になってくるが、儂は、この“SF小説二大便利装置”も実現することはないぢゃろうと考えておる。
 まず、“瞬間移動装置”ぢゃがな……、

◆皆の衆、プラスチック容器に、生卵を5個ほど割り入れると思うてくれ。
 それを電子レンジに入れて、スイッチを押せば数分後には目玉焼きになっておるな。

◆では、それを“瞬間移動装置”に入れて、どこか遠くに瞬間移動させるためには、“瞬間移動装置”は
次のような作業を行う訳ぢゃ。

 ①生卵とプラスチック容器を分子レベルにまで分解する
 ②分解した分子を何らかのエネルギーに変換して無線で送信する
 ③なんらかのエネルギーで送信されてきた生卵の分子を受信する
 ④受信した生卵と容器の分子を原形のように再構成する

◆上記の作業に、次のような疑問が湧くわけぢゃ。

①生卵とプラスチック容器を分子分解する際に、生卵とプラスチックの分子が交じり合ってしまわないのか? 
 また、生卵5個それぞれの分子は別々に認識できて、あとで5個別々に再生できるのか?

②物質を分解して分子化したものを電波、もしくは何らかエネルギーに変換できるのか? 
 変換できたとして、その変換によって分子が変質しないのか?

③物体を分子化したエネルギーを送受信するには、膨大なエネルギーと時間がかかるのではないのか? 
 また、それは送信する距離に比例するので、遠距離の送信はかなり困難を伴うのではないか?

④エネルギーの形で受信した分子を、元の姿のまま再生できるのか?
 生卵なら仮に失敗して一緒になって再生されても、5個分の溶き卵が出来るだけぢゃが、人間5人を“瞬間移動装置”で移動させ、再生で失敗したら……、5人の人間が溶け合って融合した“溶き人間”というモンスターが出来上がってしまうのぢゃ。
 そして、その“溶き人間モンスター”が生きていたら……、悲惨じゃぞい。

 儂はこんなことばかり考えるから、SF小説がなかなか書けんのぢゃ……。
 この話、また龍田が嗅ぎつけて、あやつの小説のネタにしそうぢゃな……。
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