第22話 探偵小説を探偵しましたのぢゃ!【6】

文字数 563文字

【6】
 
 テレビドラマのワンシーンが似ているからと言うてな、何も儂しゃ、「犬神家の一族」が、「エンドハウスの怪事件」を下敷きにしておると、強弁する積もりは毛頭ございませんのですがの、しかしながらですな……、本邦推理小説の巨匠、江戸川乱歩や横溝正史の作品群と、世界的巨匠、コナン・ドイルやアガサ・クリスティの作品群を、その気になって丹念に読み込んでいきますとですな、やはり、興味深い事柄が浮かび上がってくる訳ですぢゃ。

 ここでは、ポアロ物からは少しばかり離れて、横溝正史の傑作長編「八つ墓村」を取り上げますがの、この本邦伝奇ミステリー小説の金字塔とも云える作品も、ドイルやクリスティーらの推理小説の影響を受けておるように見受けられますのですわい。

 「八つ墓村」の、一見明確な関連性が無く、まるで八つ墓明神の祟りのように思える連続殺人事件のトリックが、坂口安吾の「不連続殺人事件」と、アガサ・クリスティの「ABC殺人事件」からヒントを得たものである事は著者も認めておる有名な話ぢゃがな、物語全体のプロットは、コナン・ドイルの「バスカヴィル家の犬」を下敷きにしたものではないかと、儂しゃ密かに思うとりますのぢゃ。

 双方とも、主人公は「突然、莫大な遺産を相続する事になり、奇怪な伝承の残る不気味な村にやって来るはめになった若者」ぢゃ。

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