第12話 嬉しいか?
文字数 1,680文字
「ほんとかい? 逆三角形のマッチョだな。しかし、蒲、女に興味がない割には、詳細に知っているな」
「小さい頃から一緒だからな。あいつは、拒絶か容認の二通りしかない。決して自分を差し出さないし奪われるのは嫌いだ」
【殆どの人がそうじゃないの】
「自分の思い通りに、生きられる人間なんていないけど、夏梅は究極さ。すべては夏梅のものだけど、彼女が望んだものじゃなく。変えようがない。選択がない」
「言っている、意味がわからないな?」
「たいがいの人は、自分の持つ能力を伸ばす努力は、出来るだろうな、でも生まれ持った資質は変えようがない。先天的なものは変えられない」
「あそこで、からだにフィットしたインナーにブラジャーとレギンス姿で、ソファベットで寝ている奴の話しだろ?」
「あいつに関わったストレートも大変だよ」
「どんな人生になるの?」
「さあな、全くストレートな相手だと、気が気じゃないだろうな。いつも他の男が狙っている状態で、オレのマタタビを誰にもわたさないと、常に他の男をけん制しながら、一年中SEXするだろうな。他の男から、自分の女が監視され拘束され、ストーカーされる。並みの男なら下手すれば、所有欲や支配欲が高じて、夏梅に暴力をふるうだろ。最悪、殺されるかもな」
「あり得るな…。よっぽど精神的にも、肉体的にも、強い男じゃないともたないだろうな。憧れて、言い寄っている時も、全神経を夏梅に向けないとならない。モノにできても男は疲れるな…。二十四時間ぴったり張り付いていないと、いけない」
「夏梅は強い男より、天十郎みたいに、感受性が強くて優しすぎる奴が好きだし、自分の思い通りにしようとする奴は、大っ嫌いだから決して穏やかな生活は出来ないだろうな」
「そうか、愛情のひとかけらもなく、本能や本性を揺さぶるから、ただじゃすまないな」
「俺たちだと、あいつのフェロモンに振りまわされても、相手がいるから、俺たちの負担は少ない」
「そうかな?」
「天十郎はオレ一筋だろ。だから夏梅にのめり込まないだろ。もし万が一夏梅にのめり込んだらどうするか、わかっているだろう。必ず殺すぞ」
天十郎は嬉しそうに笑うと
「雄の嫉妬は半端じゃない、殺しあうまでやるからな」
「嬉しいか?」
「ああ、殺したいくらい俺の事を愛しているなら」蒲は天十郎の頭を撫でた。
僕はこの二人の会話に苛立った。
天十郎の無邪気さも、蒲の底知れぬ思惑も、僕には十分すぎるほどだ。警戒心が強くなるのを覚えていた。
【でも、そんな危険な奴とどうして一緒にいるの?】
天十郎は蒲に聞いた。
「大家だから」
「ここを借りているの?実家はどこ?」
「となり」
天十郎はリビングの外に見える隣の豪邸を見た。
「蒲の家ってあそこ?」
蒲は頷きもせず淡々と
「おお、高校の時に父親から相続でもらった」
「そこに居ればいいだろ?」
「広すぎるからな」蒲が僕を見た。
「なんで、この家に居候している?」
「居候なんかしてないさ、家賃と生活費を払って住んでいる」
「シェアハウスか?」
「それとも違う」
「夏梅は一人なのか?」
「両親が今年の三月に亡くなった」
「一年経っていないのか?」
「ああ、交通事故でな」
「他に親戚がいないのか?」
「いない」
「そうか、でもなんでお前が面倒見ている?」
「小学生くらいから長くこのうちで過ごすことが多かったからな」
「小さい頃から一緒だったのか?」
「親のところにいるより、ここに居る方が楽だったからかな」
「ふーん、そんなに長い付き合いなのか?」
「さほどでもないけどな、だけど夏梅と男の取り合いは長いかも。中学生に入ってどんどん女らしくなってきて、お互いの好みが一致しているから、男の取り合いで、よくケンカになった。あいつから奪いたくてな」
「となりにお母さんがいるのか?」
「いないよ、どっか好きな所で暮らしている。あそこは今、賃貸にだして俺たちの生活費と家賃に充てている。だからお前がここで一人増えても問題はないぞ。遥かに向こうの家賃収入の方が多いからな」
「ふーん」
【夏梅はどんなタイプが好きなの?】
「さっき言っただろ、好みは俺と同じ。天十郎」
「?オレ?」
「小さい頃から一緒だからな。あいつは、拒絶か容認の二通りしかない。決して自分を差し出さないし奪われるのは嫌いだ」
【殆どの人がそうじゃないの】
「自分の思い通りに、生きられる人間なんていないけど、夏梅は究極さ。すべては夏梅のものだけど、彼女が望んだものじゃなく。変えようがない。選択がない」
「言っている、意味がわからないな?」
「たいがいの人は、自分の持つ能力を伸ばす努力は、出来るだろうな、でも生まれ持った資質は変えようがない。先天的なものは変えられない」
「あそこで、からだにフィットしたインナーにブラジャーとレギンス姿で、ソファベットで寝ている奴の話しだろ?」
「あいつに関わったストレートも大変だよ」
「どんな人生になるの?」
「さあな、全くストレートな相手だと、気が気じゃないだろうな。いつも他の男が狙っている状態で、オレのマタタビを誰にもわたさないと、常に他の男をけん制しながら、一年中SEXするだろうな。他の男から、自分の女が監視され拘束され、ストーカーされる。並みの男なら下手すれば、所有欲や支配欲が高じて、夏梅に暴力をふるうだろ。最悪、殺されるかもな」
「あり得るな…。よっぽど精神的にも、肉体的にも、強い男じゃないともたないだろうな。憧れて、言い寄っている時も、全神経を夏梅に向けないとならない。モノにできても男は疲れるな…。二十四時間ぴったり張り付いていないと、いけない」
「夏梅は強い男より、天十郎みたいに、感受性が強くて優しすぎる奴が好きだし、自分の思い通りにしようとする奴は、大っ嫌いだから決して穏やかな生活は出来ないだろうな」
「そうか、愛情のひとかけらもなく、本能や本性を揺さぶるから、ただじゃすまないな」
「俺たちだと、あいつのフェロモンに振りまわされても、相手がいるから、俺たちの負担は少ない」
「そうかな?」
「天十郎はオレ一筋だろ。だから夏梅にのめり込まないだろ。もし万が一夏梅にのめり込んだらどうするか、わかっているだろう。必ず殺すぞ」
天十郎は嬉しそうに笑うと
「雄の嫉妬は半端じゃない、殺しあうまでやるからな」
「嬉しいか?」
「ああ、殺したいくらい俺の事を愛しているなら」蒲は天十郎の頭を撫でた。
僕はこの二人の会話に苛立った。
天十郎の無邪気さも、蒲の底知れぬ思惑も、僕には十分すぎるほどだ。警戒心が強くなるのを覚えていた。
【でも、そんな危険な奴とどうして一緒にいるの?】
天十郎は蒲に聞いた。
「大家だから」
「ここを借りているの?実家はどこ?」
「となり」
天十郎はリビングの外に見える隣の豪邸を見た。
「蒲の家ってあそこ?」
蒲は頷きもせず淡々と
「おお、高校の時に父親から相続でもらった」
「そこに居ればいいだろ?」
「広すぎるからな」蒲が僕を見た。
「なんで、この家に居候している?」
「居候なんかしてないさ、家賃と生活費を払って住んでいる」
「シェアハウスか?」
「それとも違う」
「夏梅は一人なのか?」
「両親が今年の三月に亡くなった」
「一年経っていないのか?」
「ああ、交通事故でな」
「他に親戚がいないのか?」
「いない」
「そうか、でもなんでお前が面倒見ている?」
「小学生くらいから長くこのうちで過ごすことが多かったからな」
「小さい頃から一緒だったのか?」
「親のところにいるより、ここに居る方が楽だったからかな」
「ふーん、そんなに長い付き合いなのか?」
「さほどでもないけどな、だけど夏梅と男の取り合いは長いかも。中学生に入ってどんどん女らしくなってきて、お互いの好みが一致しているから、男の取り合いで、よくケンカになった。あいつから奪いたくてな」
「となりにお母さんがいるのか?」
「いないよ、どっか好きな所で暮らしている。あそこは今、賃貸にだして俺たちの生活費と家賃に充てている。だからお前がここで一人増えても問題はないぞ。遥かに向こうの家賃収入の方が多いからな」
「ふーん」
【夏梅はどんなタイプが好きなの?】
「さっき言っただろ、好みは俺と同じ。天十郎」
「?オレ?」