45:私の所属する部
文字数 1,204文字
「奏恵、大丈夫だった?!」
部活に戻った瞬間、流歌にものすごい勢いで飛びつかれたけれど、頭は大して痛くなかった。それに続くようにして、同級生や後輩、先生が心配の声をかけてくれた。
「本当、最低ですよね」
「ネットぐらい張ってからやればいいのに」
私のいる部活は、仲間思いで団結力が強い方だと思う。だから、今回私が鼻血を出した事に対しても、それなりに怒りをためているらしかった。
でも、今回の事は本当にただの事故だ。髙﨑くんだけが悪いのではなく、ボールが来てもおかしくなかったあの場所でぼうっとしていた私も悪い。どちらかが悪い訳ではないのだ。
「大丈夫だよ、相手も当てようと思ってやったわけじゃないんだし。それより、練習しよ?」
「本当に大丈夫? 卓球して平気?」
まだ心配そうな流歌に頷いて、ラケットを片手に台に入る。部長の声を合図に、高いピンポン球の音が聞こえ出した。
私の部活――――もとい、女子卓球部の雰囲気はまあまあ緩い。学年関係なくとりあえず仲が良いし、これといって問題児がいるわけでもないので、いつも和気あいあいとして部活動を行っているのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――
「片付けー」
「はーい!」
部活動終了のチャイムの音が聞こえ、すべての部活動が片付けに入る。隣の男バスも、ボールをしまって、モップをかけていた。
「木原、ちょっとこっち来て」
球が隣に入って行ってしまうのを防ぐフェンスを片付けに行った時、広重くんが手招きしているのが見えた。傍にはボールをぶつけてしまった髙﨑くんが立っている。
フェンスを1年生に頼んで駆け寄ると、髙﨑くんは一歩前に出て、深く頭を下げた。
「さっきは、本当にすみませんでした!」
「え、あ、うん………」
思ったよりもしっかりと、大きな声で謝罪してきたので驚いてしまい、思わず曖昧な声が出た。髙﨑くんは、私がまだ怒っていると思っているのか、頭を上げようとしない。広重くんも「ごめん」と、何も悪くないのに謝ってくれた。
「もう痛くないから大丈夫だよ。あそこにぼうっと突っ立ってた私も悪かったしね、ごめんね」
慌ててそう言うと、「本当にすみません………」ともう一度謝罪しながら髙﨑くんはやっと頭を上げた。心なしか、彼の目が涙目に見える。
「髙﨑くん、あんまり気にしなくていいよ?」
フォローのつもりだったけれど、何故かかえって驚かせてしまったらしい。「え?」と彼は目を見開いたた。
「なんで名前………」
あぁ、そういう事か。
「体操服の刺繍見ればわかる。赤糸で名前縫ってあるじゃん」
言おうとした事をすべて広重くんに持っていかれたので、開いた口をそのまま閉じた。髙﨑くんは急いで自分の体操服を見る。
「あ………」
たった今気がついたらしく、恥ずかしそうに髙﨑くんは刺繍に触れた。その行動に、笑みがこぼれた。
その後、お互いにもう一度だけ謝り、片付けに戻った。
部活に戻った瞬間、流歌にものすごい勢いで飛びつかれたけれど、頭は大して痛くなかった。それに続くようにして、同級生や後輩、先生が心配の声をかけてくれた。
「本当、最低ですよね」
「ネットぐらい張ってからやればいいのに」
私のいる部活は、仲間思いで団結力が強い方だと思う。だから、今回私が鼻血を出した事に対しても、それなりに怒りをためているらしかった。
でも、今回の事は本当にただの事故だ。髙﨑くんだけが悪いのではなく、ボールが来てもおかしくなかったあの場所でぼうっとしていた私も悪い。どちらかが悪い訳ではないのだ。
「大丈夫だよ、相手も当てようと思ってやったわけじゃないんだし。それより、練習しよ?」
「本当に大丈夫? 卓球して平気?」
まだ心配そうな流歌に頷いて、ラケットを片手に台に入る。部長の声を合図に、高いピンポン球の音が聞こえ出した。
私の部活――――もとい、女子卓球部の雰囲気はまあまあ緩い。学年関係なくとりあえず仲が良いし、これといって問題児がいるわけでもないので、いつも和気あいあいとして部活動を行っているのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――
「片付けー」
「はーい!」
部活動終了のチャイムの音が聞こえ、すべての部活動が片付けに入る。隣の男バスも、ボールをしまって、モップをかけていた。
「木原、ちょっとこっち来て」
球が隣に入って行ってしまうのを防ぐフェンスを片付けに行った時、広重くんが手招きしているのが見えた。傍にはボールをぶつけてしまった髙﨑くんが立っている。
フェンスを1年生に頼んで駆け寄ると、髙﨑くんは一歩前に出て、深く頭を下げた。
「さっきは、本当にすみませんでした!」
「え、あ、うん………」
思ったよりもしっかりと、大きな声で謝罪してきたので驚いてしまい、思わず曖昧な声が出た。髙﨑くんは、私がまだ怒っていると思っているのか、頭を上げようとしない。広重くんも「ごめん」と、何も悪くないのに謝ってくれた。
「もう痛くないから大丈夫だよ。あそこにぼうっと突っ立ってた私も悪かったしね、ごめんね」
慌ててそう言うと、「本当にすみません………」ともう一度謝罪しながら髙﨑くんはやっと頭を上げた。心なしか、彼の目が涙目に見える。
「髙﨑くん、あんまり気にしなくていいよ?」
フォローのつもりだったけれど、何故かかえって驚かせてしまったらしい。「え?」と彼は目を見開いたた。
「なんで名前………」
あぁ、そういう事か。
「体操服の刺繍見ればわかる。赤糸で名前縫ってあるじゃん」
言おうとした事をすべて広重くんに持っていかれたので、開いた口をそのまま閉じた。髙﨑くんは急いで自分の体操服を見る。
「あ………」
たった今気がついたらしく、恥ずかしそうに髙﨑くんは刺繍に触れた。その行動に、笑みがこぼれた。
その後、お互いにもう一度だけ謝り、片付けに戻った。