魚づくし【続々】真説・動物学大系  別役実

文字数 1,302文字

 解き明かされる「魚」の真実27編!

 あなたの常識が今日、揺らぐかもしれない?!

シーラカンスは雌、雄はヒーラカンス。
笑うでしょ?


学校の教科書か副教材、あるいは塾の国語の問題に出てきたんだ。目から鱗の真実だった。


あれ以来、これが誰の作品かが思い出せないまま年月が経ってしまってね、いろいろ探してようやくたどり着いたのがこの本だったというわけさ。

いやだって圭さん、ずっとこれ安部公房の作品だと思っていたんでしょ?
うぅ……そうなんだ。ずっと「安部公房 シーラカンス」で検索を続けてた。


これだけ検索技術が発達して情報が氾濫しているこの時代に見つからないのは何事か、と、思ってた(汗

まあ、『素顔同盟』だって安部公房の作品だと最近まで思っていたらしいしね。圭さんらしいよ(笑)
すまぬー。


自分の中の安部公房の位置付けって何なのだろうかと思うこの頃なりー。

でも、そんな状態でよくぞ『魚づくし』に辿り着けたよね。
これもやっぱりネットのおかげ。


ツイッターでぼやいていたら教えてもらったんだ。速攻でタイトルを密林の検索に放り込んだら中古本しかなく……すでに絶版していたということか。

絶版は残念だなあ……。
ほんとにねえ。


これほど面白い作品もないと思うんだよ。是非にも、是非にも、読んでもらいたい。


探したらうちの町の図書館にはあったから、お住まいの自治体の図書館で探してもらうか、古本に抵抗がないなら中古本を漁ってみてほしい。

ちなみに、この作品群の中では「シーラカンス」が1番なの?
必ずもそうではない。どれもこれも読みながらニヤニヤしちゃう話題で溢れかえっているよ。


それでも自分は「シーラカンス」への思い入れが強いから、何を挙げるかと言ったらやっぱり「シーラカンス」になってしまうかな。

シーラカンス、ヒーラカンス、なんて、よく思いついたよね。
そっからの展開がさらに凄いからね。我々がリアルで生きる社会そのものへの風刺が効きすぎてて身もだえしてしまう。
表面的には大真面目に大嘘ついているだけにも見えるのに……。
それがね、全部が全部嘘でもないところがこの作品の憎らしいところなんだよ。


だから、嘘だとはっきりわからないネタは一瞬だけ真実かもと騙される。でも、冷静に考えたらやっぱり大嘘なんだけどさ。


それに、言ってることは大嘘だけど、あながち間違いでもないんだ。

は? 何言ってるの?
うーむ、何て言ったらいいの? 嘘の剣(つるぎ)で真実を穿つ、的な? さっき「社会風刺」とも言ったけど、そんな感じだから社会や人間に対する皮肉がすごいの。
それだけを聞くと難しい小説なのかと身構えてしまう。
まったくそんなことはないから安心してほしい! 読めばわかる! 面白い!
でも、ほぼ嘘じゃん。騙されてる気になる。
馬鹿を言っちゃいけない。小説なんて所詮フィクションじゃないか! 真実が書いてあると思う方がどうかしている!


そこに文句を言ったら、「ファンタジー小説の世界に〇〇の存在はあり得ない」と批判している昨今のアレな人たちと同じレベルになっちゃうよ?

むぅ、確かにフィクションはフィクションか……。
小説の楽しみ方の一つだよ。日常を離れ、虚構の世界で遊ぶべし!
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

よろしくね!

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色