第3話

文字数 296文字

「お母さん、何で?」

 酒臭い息から逃れるように、やっと座った母親と小田原のおばさんの方へと身を移すと聞いてみる。
 小田原のおばさんは

「さぁ? 何でかしらね? お節には意味があるけど……」

「なんだ、分からないのか?」

 希に逃げられた父親が上機嫌で勝ち誇る。その大手の父親と目を合せた小田原も勝者の表情を浮かべて話を引き継ぐ。

「お節は『日持ち』するが刺身は『足が速い』からだよ」

 座布団十枚得たかのような満面の笑みと共に酒を煽る。そして再び

「おじさんたちも沿道から希ちゃん、旗振って応援するからね」

 と希に無責任な言葉を掛けた……なぜなら……その後希は知った。



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