第13話

文字数 599文字

「なぁ……千風ってどこの高校受けるんだ?」
「きっと……希姉と同じ聖和大付属だと思うけど?」
「俺たちも……進路どうすんだ?」

 次第に茜空へと変わりゆく時間の流れと重ねるように、その将来を見据える。時は絶え間なく流れる。特に青春の時間の流れはその体感より輝きを放つ。


「俺、千風と同じ高校へ進みたいんだ」
「光は……死ぬ気で頑張らないと、難しいよ?」
「おぉ、俺は千風のためなら死ねる」
「素直にそう言える光がすごいよ」

「谺……お前もそうなんだろ……?」
「…………???! ……俺も聖和高を受験するよ」
「……そっか……勉強、教えてくれよな」
「勉強だけはみんなの中でビリだもんな、光は」
「俺は今までどんな『勝負』にだって負けたことは無ぇ!」
「今まで『勉強』で勝負して来なかっただけじゃないか」


「……(うっ)ちゃんも……かな?」
「恐らく、そうだろうね……」
「何だ……中学とちっとも変り映えしないじゃねーか?!」
「変わらないまま……で済むのかな?」

 谺の放った言葉はそのまま宙を泳いで弾けて消えた。光が応えなかった理由も谺には解る。双子のシンクロでなくても感じ取れてしまう胸の内の想いは、兄弟のことは掬い取れても他人のことまでは分からない。


 千風は……好きな人いるのかな……?


 光は一卵性と二卵性の違いは有れど、自分たちと同じ双子であるなら空木は千風の心を、自分たち以上に読み取ることができるのか? なんて考えてしまう。
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