第12話

文字数 1,062文字

 国際陸上競技連盟が定める基準では、フルマラソンと同じ42.195キロを6区間で走るとされている。これだけを取ってみても箱根駅伝10区間217.1キロは特別と言える。箱根駅伝は厳しい駅伝大会だ。

 先ずは性別ではなく『関東の大学』に限定しているところから考察してみる。


 日本のお正月の風物詩とも言える箱根駅伝だが、100回目を迎える節目2024年で『全国化』への一歩を踏み出す。2023年秋に開催される予選会に、関東以外の大学が出場できることになった。
 ここに『関東の大学』の壁が崩される一歩目が踏み出される。

 関西には、『全日本大学駅伝』で優勝経験がある京産大のほか、大経大、関学大、立命大といった実力校がいる。関東以外で箱根出場を狙えるとすれば、関西の実力校と、東海地区から『全日本大学駅伝』の常連となった皇学館大といったところか……しかし『全日本』は8区間106.8キロ。1区間平均約13.4キロ。最長区間は8区の19.7キロとなり、ハーフマラソンよりも短い。 
 一方で、箱根の予選会は、1大学10~12人がハーフマラソンを走り、上位10人の合計タイムで競う。このため、関東の大学はハーフマラソンに対応できる選手を数多く育成していく。

 関東以外ではもっと短い距離、トラック種目を中心に強化していくため、ハーフマラソンで力を持つ選手が少ない。


 次に『性別』という資格制限。

 参加資格にある34分以下で10000メートルを走りきることは女性において難しい。それぞれ学生の10000メートルの日本記録はというと……。

男性 27分38秒31
女性 31分30秒92

 箱根駅伝の区間は2倍の約20キロのため、単純に2倍すると10区間を8分ずつ遅れて走ることになる。

 交通事情等の観点からも条件が厳しくなり、また体脂肪率を抑えて体重増加をさせないようにすると生理が来なくなってしまったり無月経や骨粗しょう症を引き起こす危険性もあり体調を崩す恐れも男性よりリスクが高い。
 運動界には『痩せれば速くなる』という考え方が根強くある。

 更には女子の長距離選手は、高校卒業後は大学へ進学せず、企業へ就職し実業団に入る選手が多い傾向もあって進学して陸上競技を続けたいという女性が少ない、という現状。


 それでも似た条件が設けてある高校野球では、2021年甲子園球場で初めて女子硬式野球の決勝戦が行われた。
 いつかきっと箱根駅伝も『関東の壁』を手始めに、高校硬式野球の女子が甲子園に立つ夢がかなったように、お正月に華を添えてくれる日が来て欲しい。
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