第7話 システム2のトレーニング

文字数 1,547文字

(システム2を使えるようにするトレーニング方法を考察します)


ある問題の解決方法を考える時、システム1とシステム2の関係が問題です。

1)学習レベルの問題

初心者:

システム1を使います。学ぶはまねぶ(真似をする)が語源という説もあります。

過去に成功したヒストリーを引用して、一部修正します。

ヒューリスティックな思考法が中心です。

上級者:

システム2を使います。ただし、上級者といえども、時間を短く制限すれば、システム1を使わざるをえません。これは、囲碁や将棋を考えればわかります。

まとめ:

システム2を使うためには、次の条件が必要です。

「利用者は、上級者で、システム1を封印して、システム2を使うのに十分な時間がとれる」

ここで、システム2を使うには、十分な時間を条件にしていますが、この他に、注意や意識を集中できることも必須です。痛み、恐怖などのストレスがあると、システム2は作動しません。

2)学習の課題

学習の課題とは、「システム1を使う初心者を、システム2を使う上級者にレベルアップする方法」のことです。

システム2の思考には、正解はありませんので、実戦を積むしか方法はありません。囲碁や将棋の対戦のように、議論やディベートで、システム2を使うことが必要です。

アルファ碁は、自分自身のシステムの中で対戦をして、強くなりました。上級者でレベルが上がれば、自分自身がつくった複数のビジョンを対戦させて、レベルアップをはかることも可能です。しかし、この方法は、初心者には無理でしょう。

日本の教育では、システム1の座学が中心で、講義を、聞くだけのスタイルが多くあります。

この方法であれば、国語力や読解力があれば、講義を聞く必要はありません。

英語力があれば、アメリカの大学の著名な講師の講義も動画で見ることができます。

よいテキストや動画教材があれば、システム1の学習は、自習で十分です。
モチベーションを高めるためには、進捗度評価のテストがあった方が良いですが、これも、IT教材で十分です。

システム1の学習において、大教室での座学は、時間とお金の無駄です。

アメリカの授業では、質疑応答や、議論が中心です。

講義を行わないで、講義は動画を見て済ませ、質疑応答を中心に進める逆授業も行われています。

まとめると、アメリカの授業は、システム2のトレーニングを目指している場合が多いですが、日本の授業は、システム1のトレーニングに止まっています。

もちろん、誰もが、囲碁の上級者になれないように、教育によって誰もが、システム2を使いこなせるようにはなれません。しかし、少なくとも、高等教育においては、システム2を使えるようにすることを目標にすべきだと考えます。あるいは、習熟可能なレベルによって、カリキュラムを分岐させるべきかもしれません。

日本の教育が、システム1に偏重してきた結果、学生によっては、システム2のトレーニングは教育ではないと考えています。教育とは、学校にいって、講義室に座って講義を聞くことであると考えている学生も多くいます。システム1に偏重したこの方法は、非効率で、資源の無駄使いなので、カリキュラムを再構築すべきでしょう。

ただし、再構築には、IT素材をふんだんに組み込むことになりますので、今までの教育界で実績があったヒストリアンの手に余ることになります。この問題は、複雑なので、ここでは、これ以上論じませんが、10年後の日本経済は、現在の教育の反映ですから、既に、改革の適期は過ぎています。現在の日本経済の落ち込みの主要因の一つに、カリキュラム改革の遅れがあることは確かだと考えます。

最後に、繰り返しますが、今までの教育界で実績があったヒストリアンは、カリキュラム改革ができません。専門家の再定義が必要です。
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