きっとまた、未来で……

文字数 449文字


 ―― 遠い未来 ――


 ――神社の境内に、笑い声が響く。

「ねえ、はやく食べさせてあげなよ」

「ちょっと、急かさないでよ」

 串焼きを両手に持ち、わたしはちょっぴり声に怒りを混ぜた。

「ごめんね。輪廻(リンネ)が降りてくれなくてさ」

 もう、と思いながらも、彼の口元に串焼きを持っていく。

「あーあ、いちゃついてくれちゃって。なんだか今日は暑いわね」

「てかよ、お前の猫のせいだろ」

 口元に差し出した串焼きにがぶりとかぶりつき、彼は言った。

「うん、うまい。お祭りで食べる串焼きは最高だね!」

 それを見て、食べさせてあげてよかったと思うわたし。

 ほうっと安堵のため息をつくと、大きな音と共に、夜空に七色の花火が上がる。

「あ、花火だー!」

 わたしの親友は、相変わらず元気なんだから。


 五人で肩を並べて、色とりどりの夜空を見上げる。

 その手には、それぞれ色違いのヨーヨーがぶら下がっている。

 わたしはなんだか嬉しくなって、みんなに言った。


「ねえみんな! 来年も再来年も、またこうして一緒に花火観ようね!」





 夜空へ虹の架け橋を/了




ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み