錆びた空から落ちる雨 #2

文字数 328文字

 今日はついてない。

 どうして悪いことって重なるんだろう。

 咄嗟にカバンで頭を隠し屋根のある場所を求めて走り始めたが、真夏の激しいゲリラ豪雨に敵うはずもなく、すぐにわたしは頭からバケツの水を被ったくらいずぶ濡れになっていた。

 こんな恰好でお客さんのとこに行くわけにはいかないし、どうしよう!? でもこのまま会社に戻ったら、また怒られるだろうし。あぁ、もうどうすればいいの!?

 どうしようもない状況に、焦りばかりが募る。

 もういやだ……。

 走る足は徐々にその速度を緩めていく。

 なんで、わたしが、こんな……。

 大雨の中、ついにわたしの足はそれ以上前に出なくなってしまった。

 わたしだけのせいじゃないのに……。

 様々な思考が脳内を駆け巡り、感情のタガが外れた。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み