ぬくもりにさようなら #2

文字数 420文字

 市街地と言っても駅も小さいし、大きなビルもない。

 商店街ではほとんどの店がシャッターを降ろしている。

 少し歩くと十字路の角に【オムライス】と大きく書かれたのぼりを見つけた。

 ここならゆっくり過ごせそうだ。

 古めかしい木の扉を開けると、カランカランと鐘の音が響いた。

「こんにちは」

 誰もいない店内に小声で挨拶をして、おずおずと中へ入る。

「おばあちゃーん! お客さーん!」

 びっくりした! どこ? どこから声がするの?

 唐突に男の子の声が響き、奥から優しい笑顔を携えた女性が姿を見せた。

「まあ、いらっしゃい」

 おばあちゃんにしては随分若く見える。四十代後半くらいだろうか。

 そういえばのぼりは出ていたけれど、準備中だったのかな。

「こんにちは。今の時間って営業されてますか?」

「ええ、大丈夫よ。ちょうど孫が遊びに来ててね。騒がしくてごめんなさい。どうぞ好きなとこに座って」

「ありがとうございます」

 本当におばあちゃんなんだ。ちょっと驚いた……。

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