第2話 別れ

文字数 822文字

 翌日、付き合っている伊達美波(だてみなみ)を放課後に呼び出した。
 嬉しそうに息を弾ませて、走ってくる。
 黒髪ロングの似合う綺麗系の美人だ。

 息を整えてから、
「どうしたの? 放課後に急に呼び出すなんて珍しいね」
 と優しげな表情で言葉をかけてきた。

 そこへ苦渋の表情を作り頭を下げ、
「突然でゴメン! 別に好きな子が出来たんだ……だから、この先は付き合いを続けていけない」
 と告げた。
 呆然と、脱力して彼女は立っていた。
 そして、
「勇輝くん。ど……どうして。私、何がいけなかった?」
「気に入らないところは直すから、もう一度考えて!お願い」
 と懇願してきた。
「違うんだ。君は何も悪くない! 自分が勝手に冷めてしまい、他の子に惹かれただけなんだ。ゴメン」
 と色々な問答を繰り返し、やっと渋々別れることを納得してもらえた。

『さて、いつものセリフを伝えるか』

「美波と付き合えたことは、短かったけど一生の宝だよ。ファーストキスも初めても、相手は君だった。一生忘れないよ」
「大切だからこそ真剣に付き合えないのは、君に失礼だと思うんだ。だから、本当にゴメン」
 と深々と頭を下げた。
 すると彼女は、涙を流しながら去っていった。

『ふぅ。今回も時間が経てばいい思い出として残るだろう』
『こういう時、付き合っていることを学校では秘密にしておくと楽でいい』
 別れる時にトラブったこともあるが、あと腐れのない別れ方と言うのを学んだ。
 お陰で、随分と上手になった。

 そのため、自分にもルールを設けている。
 まずは、暴力は絶対に使わない。
 女性に手をあげるのは、男として最低だと思っているし恨みを買う。
 そして、二股はしない。
 これは、面倒事を避けるためだ。
 労力も要るし、付き合っている時には真剣、と思ってもらえないと後が困ると言う面もある。
 あとは、学校では”勉強が大変だから”と言って、女性と付き合った経験はないことにしている。

『今度の彼女とは、どれくらいで別れるかな』
 と考えていた。
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