第1話 告白1

文字数 1,163文字

 目の前に、同じ高校の制服を着た少女が立っている。
 下駄箱の靴の下に置いてあった手紙に、
「放課後、学校近くの居会出(いあいで)公園で待っています」
 と書いてあったので、素直に来てみたのだ。

 少女は、顔を真っ赤にして一生懸命に勇気を振り絞ろうとしているのが分かる。
 まぁ自分は慣れているのだが、わざと照れているように見せている。
 少女の印象は、大人しそうで内気な感じだ。
 いかにも真面目そうで、黒髪のショートヘアが良く似合う。
 眼鏡をかけてはいるが、まあまあ可愛い。
 自分の身長が185cmだから、だいたい155cmってところか。
『この子なら、別れる時にあと腐れなく出来るタイプだな』
 過去の経験から勘が働く。

『しかし、なかなか踏ん切りがつかない様だな。助け舟を出してやるか』
「あのさ。それで何の用かな」
 と白々しい言葉が口から出る。

 すると、呼び水が効いて覚悟が決まったらしい。
「私!1年C組の清水里実(きよみずさとみ)と言います。あ、あの! 白藤先輩のことが、前からずっと……ずっと、すぅ、好きなんです」
 と真っ直ぐな目で、見つめながら伝えてきた。

『何で?』とか、『何処が?』なんて、野暮なことなど聞かない。
 その子の目を見つめながら、
「ありがとう。勇気を出して言ってくれたのが、凄い伝わってきたよ。嬉しいな」
 と言うと、パッと顔が明るくなった。
『素直な子だな。これなら大丈夫そうだ』
 と確信を得た。

 すると、
「わ、私とお付き合いして下さい。お願いします」
 と告白してきた。
「自分なんかで、本当に良いのかな」
 と謙虚に出てみる。
「先輩が、いいんです。お、お願いします」
 とお辞儀までしてきた。
「じゃ、こちらこそよろしく」
 爽やか笑顔で答えると、
「本当に本当ですか! 嬉しい。私、幸せです」
 と涙を流しながら伝えてきた。
「だけどさ。付き合っていることを皆んなに知られると恥かしいから、学校では秘密にしたいんだ。我がままな話だけど、良いかな?」
「は、はい!私も恥かしいので、それで良いです」
 と予想通りの答えが返ってきた。
『ちょろい!』
 と心の中でガッツポーズをしていた。

「ありがとう。とりあえず、連絡先やRAIN(レイン)を交換しようか」
 と提案し、早速(そうそう)に交換した。
 その日は、
「家の近くまで、送っていくよ」
 と言って送っていった。

 簡単には、手を繋ぐなどのボディタッチはしない。
 軽いとか、身体(からだ)目的とか思われてはいけないのだ。
 そうすると、別れる時に厄介だ。
 あくまでも純愛の末でなければいけない……

『さて今、付き合っている美波(みなみ)とは別れるか。頂けるものは頂いたから頃合だな、もういいや』
『いやー。しかし、これで何人目だろう』
 爽やかイケメンに産んでくれた親に大感謝だ。
 髪も、地毛が明るい茶色のため染める必要もない。
 お陰で、女に困らない。
 心の中で、高笑いした。
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