第16話 すべては夢? 職場復帰!!
文字数 1,810文字
しばらくの間、座ったまま放心していた。
すると“閻魔”担当の名札をつけた厳つい男が現れ、ドスの効いた声で、
「白藤勇輝よ。お前のこれからの行き先は決まったな」
と勝手なことを言っていた。
一言文句を言ってやろうと一歩踏み出すと、その男は親指と中指で”パチン♪”と指を鳴らした。
その途端、足元に穴があき、あっという間に落下していった。
かなりのスピードで、落下していく。
しかも、いつまで続くのかと思うほど永い間、落下し続けた。
「あぁぁぁぁぁーーー 怖い! 恐ろしい!! し……死ぬ~~~」
と思わず、大声で叫んだ。
落ちていくほど、風景がどんどん暗くなっていく!
そして、寒くなっていくのだ。
あまりの恐怖に、とうとう気を失ってしまった。
*
気がつくと、生きていた時に働いていた会社 にいて、机の上にうつ伏せになって寝ていた。
『なんだ。いやにながかったが、今までのはやっぱり悪い夢だったんだ』
と気づき、ホッと胸をなでおろした。
『夢で良かったぁぁぁ! いやーーー、流石に冷や汗かいた』
ただ周りを見回すと知った顔が誰1人いないため、違和感はあったものの仕事に取り掛かる。
いつの間に降格したのか、また平社員になっていた。
『チッ! まぁ、いいさ。あんな変な夢より、ずっとマシだ。屈辱だか、また駆け上がってやる!』
と燃えてきた。
しばらく仕事をしていると職場の連中は、どいつもこいつも自分と同じような考えで、出世のためには手段を選ばない奴らばかりだと見抜いた。
『くそー。油断ならんな。しかし、絶対に負けてたまるか!』
と決意し、悪い噂を広めたり、告げ口で仕事の足を引っ張ったり、罠に嵌めたり、騙したりする日々に没頭していった。
周りも次々と罠を仕掛けてくるが、それを見抜き返り討ちにしてやった。
『どうだ! 自分に罠を仕掛けるなんて100年早い!!』
と鼻高々だ。
しかし、油断したため罠にかかり折角昇格したのに、また降格されてしまった。
『チキショー。絶対にあいつを痛い目に合わせてやる!』
と固く誓い、チャンスをうかがっていた。
時間はかかったが、取引先から賄賂を貰っているとの情報を握ることができた。
『よし! これで復讐してやる』
今までに培った手段を使い、相手を見事失脚させることに成功した。
『やったぜ! 思惑通り奴が堕ちていったぞ。気持ちイィーーー。快感だ!!』
と心底喜びを感じた。
そして、スリル満点の出世競争に更に没頭していった。
ちょっとした油断が、降格や失脚に繋がる。
一瞬も油断できない。
たまに、誰だか分からないが肩を叩いて話しかけてくる奴がいたが、
『罠か? 油断できないな』
と無視した。
そういう時は必ず、目の前で白いヒラヒラした服装の奴らが視界に入る。
『ん? 背中に羽根が付いているのか? 今どき、仕事中にコスプレする奴がいるかよ。くだらん』
と鼻で笑った。
白い奴らとは別に、茶色? オレンジ? まぁどっちだっていいさ。
そういった色の服装で、頭がつるっぱげな奴らも見える。
背中から頭の上にかけて、なんかヒラヒラしたものが付いていた。
『こっちは、スキンヘッドの坊さんかよ。今どき流行ないぜ。いくらコスプレでも、もうちょっと別のがあるだろうが!』
と思って無視した。
そういう奴らが、職場に潜入してきて周りの奴らにも話しかけているのが見えた。
すべて無視されており、
『ここでは、一瞬の油断が命取りなんだよ。邪魔するな!』
と思って見ていた。
本当は、
『邪魔なんだよ! 一刻も早くココ から出ていけ!!』
と怒鳴りたかったが、こういう変な奴らに何か言うと絡まれて、鬱陶しいし時間が勿体ないと思い放置した。
しばらくすると、いつの間にか居なくなっているので2回目からは完全無視と決め込んだ。
このように足の引っ張り合いが続くのだが、そのスリルが堪らなく刺激的でどんどん燃えてくる。
それこそ、時間の経過も気にならないくらい夢中になった。
*
ある時、ふと周りを見て永遠と繰り返される足の引っ張り合いの日々に、虚しさを感じるようになってきた。
時間を忘れるほど夢中になっていたため気づいたときには、すでに30年が経過していた……
段々と冷静になってきた。
そして、
「なんと無駄な日々を送っていたのだろう。もう30年もやっていたのか。実に馬鹿らしい」
と思えるようになった。
やっと、正気を取り戻したのだ。
すると“閻魔”担当の名札をつけた厳つい男が現れ、ドスの効いた声で、
「白藤勇輝よ。お前のこれからの行き先は決まったな」
と勝手なことを言っていた。
一言文句を言ってやろうと一歩踏み出すと、その男は親指と中指で”パチン♪”と指を鳴らした。
その途端、足元に穴があき、あっという間に落下していった。
かなりのスピードで、落下していく。
しかも、いつまで続くのかと思うほど永い間、落下し続けた。
「あぁぁぁぁぁーーー 怖い! 恐ろしい!! し……死ぬ~~~」
と思わず、大声で叫んだ。
落ちていくほど、風景がどんどん暗くなっていく!
そして、寒くなっていくのだ。
あまりの恐怖に、とうとう気を失ってしまった。
*
気がつくと、生きていた時に
『なんだ。いやにながかったが、今までのはやっぱり悪い夢だったんだ』
と気づき、ホッと胸をなでおろした。
『夢で良かったぁぁぁ! いやーーー、流石に冷や汗かいた』
ただ周りを見回すと知った顔が誰1人いないため、違和感はあったものの仕事に取り掛かる。
いつの間に降格したのか、また平社員になっていた。
『チッ! まぁ、いいさ。あんな変な夢より、ずっとマシだ。屈辱だか、また駆け上がってやる!』
と燃えてきた。
しばらく仕事をしていると職場の連中は、どいつもこいつも自分と同じような考えで、出世のためには手段を選ばない奴らばかりだと見抜いた。
『くそー。油断ならんな。しかし、絶対に負けてたまるか!』
と決意し、悪い噂を広めたり、告げ口で仕事の足を引っ張ったり、罠に嵌めたり、騙したりする日々に没頭していった。
周りも次々と罠を仕掛けてくるが、それを見抜き返り討ちにしてやった。
『どうだ! 自分に罠を仕掛けるなんて100年早い!!』
と鼻高々だ。
しかし、油断したため罠にかかり折角昇格したのに、また降格されてしまった。
『チキショー。絶対にあいつを痛い目に合わせてやる!』
と固く誓い、チャンスをうかがっていた。
時間はかかったが、取引先から賄賂を貰っているとの情報を握ることができた。
『よし! これで復讐してやる』
今までに培った手段を使い、相手を見事失脚させることに成功した。
『やったぜ! 思惑通り奴が堕ちていったぞ。気持ちイィーーー。快感だ!!』
と心底喜びを感じた。
そして、スリル満点の出世競争に更に没頭していった。
ちょっとした油断が、降格や失脚に繋がる。
一瞬も油断できない。
たまに、誰だか分からないが肩を叩いて話しかけてくる奴がいたが、
『罠か? 油断できないな』
と無視した。
そういう時は必ず、目の前で白いヒラヒラした服装の奴らが視界に入る。
『ん? 背中に羽根が付いているのか? 今どき、仕事中にコスプレする奴がいるかよ。くだらん』
と鼻で笑った。
白い奴らとは別に、茶色? オレンジ? まぁどっちだっていいさ。
そういった色の服装で、頭がつるっぱげな奴らも見える。
背中から頭の上にかけて、なんかヒラヒラしたものが付いていた。
『こっちは、スキンヘッドの坊さんかよ。今どき流行ないぜ。いくらコスプレでも、もうちょっと別のがあるだろうが!』
と思って無視した。
そういう奴らが、職場に潜入してきて周りの奴らにも話しかけているのが見えた。
すべて無視されており、
『ここでは、一瞬の油断が命取りなんだよ。邪魔するな!』
と思って見ていた。
本当は、
『邪魔なんだよ! 一刻も早く
と怒鳴りたかったが、こういう変な奴らに何か言うと絡まれて、鬱陶しいし時間が勿体ないと思い放置した。
しばらくすると、いつの間にか居なくなっているので2回目からは完全無視と決め込んだ。
このように足の引っ張り合いが続くのだが、そのスリルが堪らなく刺激的でどんどん燃えてくる。
それこそ、時間の経過も気にならないくらい夢中になった。
*
ある時、ふと周りを見て永遠と繰り返される足の引っ張り合いの日々に、虚しさを感じるようになってきた。
時間を忘れるほど夢中になっていたため気づいたときには、すでに30年が経過していた……
段々と冷静になってきた。
そして、
「なんと無駄な日々を送っていたのだろう。もう30年もやっていたのか。実に馬鹿らしい」
と思えるようになった。
やっと、正気を取り戻したのだ。