第7話 寂しさを慰める

文字数 1,572文字

 炊事洗濯が嫌いな私。音楽を聴きながら用事をする。その音楽は、そのときの気分しだい。クラシックや演歌などのジャンルは特にない。聴いて良ければ、その曲が好きになるだけ。
 最近に聴いていたのは、昭和の青春歌謡。ヒット曲集ね。聴いていると、しみじみとなる。
 「ああ、あの頃の私。あんなんこんなんでねえ」
 なんてね、思い出しているのよ。
 音楽は素晴らしい。過ぎた日の記憶を呼び起こし、自分を見つめるきっかけとなる。
 いや、ちょっと大袈裟に書いてしまったわ。「ああ、私ってあほや」という程度の話ね。
 その音楽が流行っていた頃に、私がやってしまった大失敗を思い出すこともある。自分が情けなくてたまらず、恥ずかしい過去を悔やむ。嫌なことは思い出したくないね。
 しかし、音楽は慰めてもくれる。
 とても辛いときに聴いていると、心の痛みが和らぐ。どの曲やアーティストが慰めてくれるかは、その悩みの内容によるわね。
 若いときの私、失恋状態が続いていた。どうしてか、未だに分からん。もう、「私は女失格」という気持ちになったわよ。
 「私、壁の花にもなれなかった」
 そう自嘲したい。だって、バイト先での飲み会に、私は誘って貰えなかったもん。私は男に縁がない、という哀しい現実を見せ付けられた。冷たくされ、何で嫌われたのかも分からない状況だった。
 「数撃ちゃ当たる」、これもなかったのよ。けっこう撃ったけど、全てが外れ。参加賞さえも貰えなかった。
 私のある時期は、苦い思い出となっている。良いのよ、気にしない。あれから、かなりな時間が過ぎたしね。
 前置きが長くなったわ。
 そう、言いたかったのは、音楽がモテない私を慰めて力付けてくれた話。
 中島みゆきさん、あの頃から素晴らしいです。
 『夜風の中から』は切なさが身にしみいった。『見返り美人』の歌詞には、ほんと共感したなあ。この歌詞と同じことを、私は真剣に考えていたわ。綺麗になって自分を振った男を見返すのよ。今度は私が足蹴にしてやる、ってね。しかし、残念だった。私は美人になれなかった。
 吉田拓郎さん、今でも慰めて下さいます。失恋に限らず、人間関係に悩むときに聴きたくなる。
 『明日に向かって走れ』はそれでも、前向きだと思うのです。心は悲しむだけではない。それだから、素晴らしい。
 クラシックなら、やはりオペラのアリア。オペラに詳しくないけど、自分が知っている範囲では好きなものが多い。
 『衣装をつけろ』
 これはレオンカヴァッロの『道化師』のなかで歌われています。有名ですね。
 主人公の道化師は妻の不貞を知りました。深い悲しみのなかにいても、舞台には出なければなりません。
 舞台の化粧をする場面で、『衣装をつけろ』が歌われます。
 『道化師はひとを笑わせるのがつとめ』
 哀しい笑いを漏らし、壮絶な思いを道化師は歌う。素晴らしい。
 クイーンの『The Show Must Go On』は、タイトルからして素晴らしい。
 『ボヘミアン・ラプソディ』の映画は四、五回観たはず。何回観たのか、もう忘れてしまった。何回観ても感動。私が高校生のときに、『キラー・クイーン』が流行った。そんな懐かしさもあって感激したのだと思う。
 また、映画の『ムーラン・ルージュ』にも使われている。自分の死期を悟ったヒロインと、その周囲の人々がこの曲を歌う場面がとても良い。劇場のオーナーの歌声が心に迫ります。
 それに、ニコール・キッドマンがとても美しいです。

 音楽の話になったら、止まらなくなった。そんなには詳しくないけど、とにかく音楽が好き。
 寂しいとき、悲しいとき。音楽が慰めてくれる。
 ところが最近は、以前ほど音楽を聴かなくなった。私はどうしたのかな。ウォークマンの充電が面倒だから、音楽を聴かなくなったのかも。無感動になりつつあるなら、大変だな。
 
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