第2話 言動不一致

文字数 1,572文字

 本を読まないで、漫画やゲームに夢中になっていた私。あるとき、読書は大切だと思い知った。
 今から四年ほど前、文章教室に通うことにしたのよ。読書をあまりしてなかったせいやね。文章作法をきれいに忘れていた。自分でびっくりしたわ。改行したら最初のひとますを空ける、そんな基本的なことも忘れていたの。文章教室で、先輩受講生にそれを指摘された。いい歳して情けないよね、私。日頃に本を読んでいたら、もう少しは文章作法を分かっていたと思った。
 一から勉強したわ。と言っても、なかなか覚えられないのよ。
 「三回注意してもまだ直らないから、morecharmy0915さんの提出作品は読みません」
 講師にはっきり言われたわ。
 まあ、他にもいろいろあってね、三ヶ月足らずでその教室はやめた。残り三ヶ月分の授業料は捨てたわよ。その金額は一万円也。ああ、勿体ない。
 しかし、それで得た教訓がある。
 学ぶことについて何も分かっていない段階のときは、ハイレベルな教室に行っちゃいけないのよ。私は無教養をさらけ出し、一部の受講生に笑われて滅入ってしまった。
 それに、授業中に私を怒鳴り付けたひとがいた。なんと、講師も知らんぷり。
 私が書いたエッセイのテーマが分からなかったみたい。うん、ゲームについて書いたの。ゲームを知らないひとがいた。
 「こんなん、分からへん。あんたはオタクや」って、そのひとは叫んだわ。
 やはり、自分に似合わないところへ行った私がバカなんだと思った。文章作法もろくに知らないで、あんな一流の文章教室を大胆にも受講したんだから。何て言うか、私は場違いだったのよ。
 おまけに私、読書もサボっていたからね。バカにされても仕方ない。
 もちろん、悔しかったよ。でもね、素晴らしいエッセイを書いて、彼らを見返す自信なんて全然なかった。

 次に行ったのは、やはり有名な文章教室。私は懲りないのよねえ。でも、最初の教室で教えて貰ったことは、本当に私を助けてくれた。有難い話よ。
 それを活用しながら、私は授業を受けようと思っていた。
 ただ、講師にやる気がない。テキストや資料もなく、受講生同士で作品の批評もしない。講師のお話が長かったの。授業と関係ない話がね、とにかく長いのよ。思ったわよ。
 「高い授業料と交通費、返して」
 二回だけ行って、それっきり。
 三つ目の文章教室ではお世話になったと思う。一年半ほどでやめたけど。
 私が文章教室に行ったのは、エッセイを書きたかったから。でも、この教室では小説も書いた。理由は、講師が小説に熱心だったから。クラスの皆に小説を勧めていた。そんなわけで、私も小説を書いたの。枚数からいえば、掌編小説になるのかな。
 そしたら、酷いのよ。私の小説を読んだ講師の批評。
 「 morecharmy0915さんの書いた小説は面白くないのです」
 いや、自分の暗い経験を書いたのよ。これじゃエッセイだと言われたわ。しかも、話に盛り上がりがなかったみたいよ。だから面白くないって。
 あのときは、「先生、はっきり言い過ぎやん」と講師を恨んだ。その批評を貰えて良かったと、講師を恨んだことを今は反省している。大切なことは、後から分かるもんなんやね。
 熱心に教えて貰えたとは思う。でも、私はなんやかんやで休みがち。そんなこともあって、一年半でやめた。恥ずかしながら、実は復帰を考えたことも。それが、コロナ禍で休講となった。
 あれから文章教室には行っていない。行きたいのよ、ほんとは。自分が書いた文章の欠点やミスを指摘してほしい。かといって、通信教育は苦手。
 近くに良い文章教室はないかな。ときどきはネットで調べてはいる。調べるだけ、ぜんぜん動かない。
 いい加減な性格だと、たまに自分が嫌になる。周りのひとも、私をそう思ってるかも。
 私は言動不一致、分かってる。
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