Stage5 鬼ヶ島 地下道

文字数 1,193文字

Chapter5

 和邇(わに)の世界

古き物資輸送路は鬼城(きじょう)二の丸へと繋がる

泣く子も黙るとうたわれた

おそろしき鬼の()むところ



 

驚いた。まさか鬼との戦に同行することになるとは

すまなかった。勢いで勝手に君まで志願兵ということにしてしまった

けれど君はこの世界の核に触れようとしているんだろう? ならば鬼についても知っておくべきだと思う。彼らは回楼京(かいろうきょう)の侍と並んで、間違いなくこの世界の中心にいる存在だ

問題ない。むしろあんたの機転に感心してるさ

驚いたのは、よく京の侍連中が俺たちの志願を信じて受け入れたなってことだ

今度はうまくいって良かった。嘘は得意なんだ

ま、白状すると君の強さのおかげなんだけどね。君の力を将軍も高く評価しているらしい

褒められるいわれはないんだがな。

そういえば、あんた、弓使いの男とは話せたのか?

少しだけね。でも収穫はなかった

そうか

なんだ? 前方が騒がしい

だ、誰か来る!

......


 ━━━━ 戦闘 & 撃破


追い返したか?

……今のは?

こりゃ死屍累々だな

……

あれが鬼か。

子供のように見えるが、単独でこの数を?

……人間だね

僕を殺しに来たの?

いいや

では兄様を?

ここまでやって来てこんなことを言うのはどうかと思うが、俺は人間の兵士として鬼を討伐することはしない。正確には“できない”んだ

かといってあんた達鬼の味方をするつもりもない。この戦局に影響するような行動自体、できる限り控えなくてはならない。それが“異界渡り”だ

だが小僧、あんたが俺に攻撃してくるなら躊躇(ためら)わず応戦する。その許可は得ているからな

長良。聞いてのとおりだ。俺にはこの鬼を殺すことはできない。とどめが必要だと感じたら、あんたがやれ

……あ、あ……

腹をくくれよ。その場しのぎの嘘とはいえ、兵隊になった以上こういう状況が来ることくらい予想していただろう。自分の命は自分で守れ

わわわわ、和邇(わに)……様? なんで……?

………どうした?

……僕があなたたちを仕留めなければ、あなたたちは兄様の元へ行くでしょう?

させないよ。あなたたち有象無象(うぞうむぞう)は、数で攻めれば兄様を倒せると思っている。鬼王(きおう)キリコは孤独な王様だからと

でも違う。僕がいる。僕も戦う。兄様をひとりになんてしない! おまえたちは全員、ここでおしまいだ!


 ━━━━ 戦闘 & 撃破


……う、っ

和邇(わに)様! 何故ここに! どうして鬼なんかになってしまっているのですか!

く、くそ……

逃げたか

無事か?

ああ。だがここにいた子供の鬼が逃げた。名は“和邇(わに)”と

和邇(わに)だと? 鬼王(きおう)宇羅部(うらべ)キリコの義弟だ。奴がここにいたのか?

吉備守(きびもり)殿

ええ、ええ。言われなくても

まだ遠くにはいっていないはずだ。追うぞ。宇羅部(うらべ)ともども、和邇(わに)も仕留める

……いったい、何が起こってるんだ?

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色