Stage6 鬼城 天守
文字数 2,469文字
Chapter6 和邇 の世界
━━━━ 戦闘 & 撃破
私が私自身を救うためだけについた苦し紛れの嘘。あの物語もそのうちのひとつに過ぎない。でも和邇 様はそんなものを、私よりずっと愛してくれていた。『もしこの物語が現実だったら』『登場人物達が本当に存在したら』『自分が登場人物のひとりになったら』そんな風に想像の中で、世界に色をつけてくれていたのですね
━━━━ 戦闘 & 撃破
身体が弱く小さかったため針山に捨てられた天涯孤独の鬼。ナキマは自分を捨てた家族を恨みながらも、家族というものに憧れた。
同時に強い鬼にも憧れていた。鬼の社会は強さこそが正義であり、力なき者は何も成すことができない。ナキマはそれでも何かを成したいと思った。
強くなりたい。それが無理なら、仲間が欲しい。弱い自分でも見捨てずに守ってくれる家族がほしい。そんな誰かがいてくれたら、自分もその誰かのことを精一杯支えるから。できることはあまりないけれど、その代わりできることはなんでもやるから。
でもこの鬼ヶ島にそんな鬼はいないのだ。ましてやこんな、求めるばかりの手前勝手な願望だ。その悪臭は鬼でなくても鼻をつまむ。わかっている。だからこの世で一番強い鬼にたまたま出会えた時、殺されることを覚悟で、いっそこんな鬼になら殺されてもいいという思いで縋ったのだ。自分を舎弟にしてほしいと。
その鬼、
ナキマはその瞳の奥にある孤独を感じとった。こんなに強くて偉い鬼なのに、どこか自分に似ていると思ったのだ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)
(ログインが必要です)