stage3 加羅巣多山 山中

文字数 1,520文字

Chapter3

 加羅巣多山(からすたやま)()

そろそろかな

♪《ベベンッ》

止まりなそこの人間

こんな黄昏時(たそがれどき)に山をうろつくのは、賊か妖怪くらいなモンだ。どちらにしてもロクなもんじゃねえ

さっきからうろうろしてる輩じゃないか。とんだブーメランだな

彼らは一応(みやこ)の者だ。魔獣だが人間の味方だよ

ここ加羅巣多山(からすたやま)には妖怪が多いからね。こういった手合が(みやこ)へ侵入しないよう、警備員がいるのさ

なんだ、テメエら(みやこ)に行くつもりかァ?

生憎、今の(みやこ)厳戒態勢(げんかいたいせい)だ。観光気分の馬の骨にゃあお帰り願うぜ

知っている。近々鬼城(きじょう)への総攻撃が始まるんだろう?

それに向けて(みやこ)では地方から兵を募っていると、吉備守参謀官(きびもりさんぼうかん)触書(ふれがき)を見て知った。我々はそれでやってきたんだ

あお? なんだァ? テメエら志願兵かよ?

ならまァいいだろう

……って言いたいとこだが、テメエらみてえな辛気臭いヤツに兵役が務まるたァ思えねェ! ここで俺たちがテストしてやるよ!

通りかかったが運の尽き! 我ら三獣士のライブ、とくと堪能していけ!

結局!?


 ━━━━ 戦闘 & 撃破


うおっ、やるじゃねーか!

まったく。コイツらもあんたが作りだした人物なんだろう? なんで攻撃してくるんだ

それは私が知りたい……

いい暇つぶしになった。通っていいぞ!

がんばれよ!

そ、そうかい。じゃあ遠慮なく

待ってくれ。また落ちてる。ほら、これ

また錠前か。今度はあいつらが落としたのか? 何なんだいったい?

三獣士(さんじゅうし)加羅巣多山(からすたやま)をなわばりとして気ままに生活する三匹の魔獣。


もともとは通りかかる人間や山に住む草食動物をカモにし、時には襲って食らいながら生きてきた、いわゆる無法者(むほうもの)である。


あまりにも好き勝手が過ぎたため、山の神に咎められたが、それでもなお心を入れ替えなかった結果、名前に加えて感覚をひとつずつ奪われてしまった。今はそれぞれ犬耳(いぬみみ)鳥目(とりめ)猿轡(さるぐつわ)と名乗っている。


最終的には山を追い出されてしまい途方にくれた3匹だったが、知恵を寄せ合い思いついた。


『こうなったら人間になりすまし、都会へ行って、人間共にきゃあきゃあ言われる大人気楽師(がくし)にでもなってやろう』


幸い鳥目(とりめ)に多少の三味線の心得があったので、残りの2人は稚拙ながらにそれを真似した。そして人通りの多い朱桐大橋(しゅとうおおはし)で、満を辞して路上楽師(ろじょうがくし)として鮮烈なデビューをした。結果は「毎日うるさい」と通行人からクレームが入り、無許可であったため朝廷からも目をつけられ、見事皇李命(すめらぎのりめい)に討伐されることとなった。


魔獣ならではの素早さと精神を揺さぶる三味線の音色を生かした連携攻撃はなかなか手強いものだった。


李命(りめい)にもその実力を買われ、敗北した後は『デバイス』という感覚補助装置で失った感覚を取り戻すことと引き換えに皇李命(すめらぎのりめい)の鬼退治に協力する。


平時は回楼京(かいろうきょう)の西の門、加羅巣多山(からすたやま)の関にて妖怪や不審者が(みやこ)に侵入しないよう、門番役をやっているようだ。


非常に刹那的かつ即物的で、いかなるときも深刻さのない気楽な彼らは、物語の狂言回しでもある。

……消えた

錠前を開けると人物評が書かれた紙片が現れ、読み終えると消える……さっきと同じだな。これに何の意味があるのか、あんたもわからないのか?

ごめん。でも多分、これと同じものをあと何回か拾うことになると思う

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色