Ending:これから始まる物語 2
文字数 1,160文字
多分、
吉備守みたいな人間の方が多数派なんだろうな……ていうか
皇李命、やっぱちょっとズレてるなあいつ
失礼。鬼が紛れ込んだのかと思ったぞ。覗き見とは感心しない
ええと、
鬼城から持ち帰った種子のことですが……
皇大将は、鬼達との
和睦を考えていらっしゃるのですか
ただ何故そのようなことをお考えになったのか、聞かせていただけませんか?
先ほども別の者と同じ話をしたところだ。やはり皆の理解を得るのは難しいらしいな
いえ。私はむしろ
皇大将のお考えに賛同します
ただ私は、大将の御心の内が知りたいのです。世界のためだとか"かくあるべきだ"というようなお話ではなく、あなた自身の望むことが
あの物語の中の
皇李命にはそんなものはなかったかもしれません。彼はそういう人でした。けれど今のあなたにならきっとあるはずです
すまない。そなたが何を言っているのかよくわからないが、しかし……
私は誰も傷付かず、傷つけることもない世界を望む。できることなら鬼も妖怪も人も。難しいことは承知している。それでも目指すことをやめたくはない
弱き者が虐げられない、飢えに苦しむ子供がいない、皆が笑顔でいられる、それが当たり前の世であって欲しいと心から思う
た、例えば! 今仰ったような世界が実現したとしたら、その世界で大将はまず何がしたいですか?
父の畑で採れた野菜で母が作った飯を食べて、李の山に出る獣たちと戯れながら、穏やかに過ごしたい。幼い時のように
ふふ、私は今でこそこうして侍を名乗っているが、元々山奥から出てきた大田舎者なのだ
近くの山にグリズリーアオカブトというとてつもない大きさの熊が住んでいた。決闘して私が勝ったことで大人しくなったのだが、ひどく凶暴な奴で
だがかなわぬ夢だろう。
人鬼の溝を、私が生きている間には埋めることは叶わないかもしれない
あなた自身も幸福になってもらわなくては、大団円にはなりませんから
私の望みですか? 改めて聞かれると……そうだな、平和な世界、ですかね
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