第156話 信頼の積み木 6 Bパート

文字数 7,743文字


 それから少しの時間机に向かった後、今はお母さんが運転する車で病院に向かっている最中。
「愛美のその顔は本当にきれいに治るのよね」
「一番初めの診察の時に先生がそう言ってくれていたよ。実際痛みだけは無くなってきているし」
 今から病院に向かうからか、今まで全く気にして来なかったお母さんがしきりに、頬にガーゼやらが貼ってある私の顔を気にしてくれる。
 他に色々考える事や、気になる事もあるんだろうけれど、どうして今になってと思わない事もない。
「それなら良いけど……こんな時にまでお母さんのお弁当は嫌だって、そうするくらいなら愛美の作ったおにぎりの方がまだましだって言い出すのよ」
 そうか。慶のワガママが引き金になったのか。
「じゃあ明日から慶のお昼におにぎりを作ればどうなの?」
 確かに昨日の事でも慶にお礼は言ったけれど、それとあのおにぎり、お弁当は全く別の話なのだ。特にお弁当はもう作らないって決めてしまったんだから。
「そんな事したら慶久の栄養も偏るし、またお小遣いって騒ぎ出すじゃない」
 まあ、慶ならそうなってもおかしくないかも知れない。
「とにかく、愛美は治るまで慶久に文句を言われても、ゆっくりしててくれたら良いから」
 昨日の慶の言い方からすると、ちゃんと耳を傾ける言い分はあるんだろうけれど、この件だけは私の中に慶の話を聞く気は無かったりする。


 病院からの帰り道、往時の時の空気とは大きく変わっている。
「それにしても愛美のそのケガも早く治りそうで良かったわね。やっぱりこれも優希君の愛の力なのかしらね」
「ちょっとお母さん?!」
 本当に別人かと思うくらい生き生きとしている。しかも何が愛の力なんだか。先生が、若いから治りが早いだろうって言われたんだって、何回も言っているのに全く聞く耳を持たないお母さん。
 結局私の話なんて聞くつもりは無いんじゃないのか……まあ。昨日とは違って、お母さんが笑顔で喜んでくれているから、良いんだろうけれど。
「何しらばっくれようとしてるのよ。優希君にキス。頬や口にたくさんしてもらったんでしょう?」
「なん――で話を勝手に作るのよ!」
 おかしい。あの時は誰にも見られない様に、“雲一つない青空”の中でしたはずなのに、どうしてバレているのか。もう少しで“何で知っているの?!”って聞き返してしまう所だった。
「愛美? 正直に白状するなら今の内よ?」
 運転中にもかかわらず、咲夜さんのような目をしたお母さんが私を射抜いて来る。こう言う姿はやっぱりお父さんそっくりだ。
「そ、そんなのお母さんに言う訳ないし!」
 私の事を気にするくらいなら、慶に彼女が出来るようにアドバイスでもしてやった方がよっぽど喜ぶと思うのに。
「……あの日。家を出る時の愛美の顔は、包帯やガーゼで白かったのに、帰って来た時には優希君からの頬へのキスで邪魔になったからって、全部取り払ってたじゃない」
 見た訳でも無いのに、あたかもその場で見たかのような言い方する知らないはずのお母さん。
「そんなの雨の中歩いたんだから、途中で湿って捨てただけだよ」
 だけれど、あの時周りには誰もいなかったし、お母さんがカマをかけている事くらいは、私にでも分かる。
 それくらいには私と優希君の二人だけの秘密。決してお母さんには知られるわけにはいかない。
「そうなのね。愛美は最後まで白状する気はないのね。愛美はあの日、優希君とキスをするためにリップを塗った。そしてキスをしたからそのリップが取れた。大方優希君の唇に移ったのかしらね」
 ありえない。私は自分の体温が上がるのを感じる。
「そ、それだってあの雨でリップが流れたのかもしれないじゃない」
「傘をさして行ったはずなのに、リップクリームが流れる程濡れたの? 優希君は愛美を濡らしてしまう程、気の利かない男の子――」
「――そんな訳ないよ! 優希君はいつだって私を優……先……」
 反射的にお母さんに言わされたって気づくも、時すでに遅し。お母さんからのこれ以上の追及をかわすために一人で帰るにもお母さんが運転する車。外に飛び出す訳にもいかないし、何よりも診察帰りの色々と貼り付けてあるこの顔で、外なんて歩けない。
 どうにもいよいよ追い込まれた感が強い。
「それとね愛美。リップクリームは元々唇の荒れを防止するのが目的なんだから、油分が入ってるに決まってるじゃない」
 本当にあの日机の上に出しっぱなしにしてしまっていた、リップクリーム一本でのせいでここまで赤裸々にされてしまうだなんて、予想出来る訳がない。
「いい愛美。お母さんも同じような事をして来てるんだから、愛美の行動くらいすぐに分かるのよ」
 そんなに娘の恋愛事情を赤裸々にするのが楽しいのか、なし崩し的に、そのほとんどがバレてしまった気がする。
「大丈夫よ。愛美を大切にしてくれる男の子ならお母さんはちゃんと応援するわよ」
 違う。そう言う話をしているんじゃない。母娘(おやこ)で彼氏、恋愛話をするのが恥ずかしいのだ。なのにその先の話まで作り上げようとするお母さん。
「もう分ったから! 私と優希君の事はそっとしておいてよ!」
「愛美は今、本当に青春(あおいはる)なのね。そう言う事は二人だけの秘密が良いのよね」
 そこまで自分の娘をいじって楽しいのか。
「私の病院の為に、本当にお父さん車無くて良かったの?」
 お母さんの情熱は私に向けるんじゃなくて、お父さんに向けるものだと言葉にするも
「優希君が愛美を大切にしてくれるように、お母さんを大切にしてくれないお父さんなんてこんな対応で十分なのよ。どうせお父さんにとってお母さんは怖いだけなんでしょうし」
 そう言えば二人は今、喧嘩中だった。


 往路とは全く違う復路の雰囲気の中、家に帰って来た私たちは少し早い目のお昼をした後、私は改めて机に向かう。
 どっちにしても私は今年受験生なのだ。
「……中条さん?」
 完全に集中して少しした頃合い。学校が昼休みになったからか中条さんから電話がかかって来る。
『岡本だけれどどうしたの? 珍しいよね』
 昨日の彩風さんに続いての後輩からの珍しい電話。話したい事、聞きたい事なんかも多いけれどまずは中条さんの話を聞いてからだ。
『愛先輩大丈夫ですか? 昨日の朝礼で雪野の友達に殴られた事件があったって聞いてから、やっと今日繋がったんですよ』
 そう思った矢先のこの言葉。中学期(なかがっき)の頭に“可愛くない後輩二人”にキツく注意をしてもう一回雪野さんの事をお願いするってお願いしたはずなのに。
『学校の発表では暴力事件があったってだけで、誰がどうとかは言ってないんじゃないの?』
 実祝さんが、何も言ってくれない教えてくれないと言っていたのだから、いくら担任の先生が落ち込んでいたとしても、色んな人からの電話でそこは間違っていないと思うのに。
『……なんか愛先輩の事を心配してるのに、言葉からトゲを感じるんですけど』
『トゲも何も、中条さんも私のお願い聞いてくれていなかったの?』
『愛先輩の言いたい事は大体分かりますけど、最近あーしらに冷たくないですか?』
 なのに私からのお願いを了承してくれたにもかかわらず、全て棚に上げてしまっている“可愛くない後輩”
『私の言いたい事が分かるなら言ってみなよ』
 私の話もお願いも聞いてくれないのに、私の言いそうな事だけ分かるなんて都合の良いようには思えない。
『雪野が何かをした訳でも無いのに、雪野を責めるなって言いたいんですよね』
 なのに私の言いたかった事の大筋を理解している中条さん。つまり私のお願いをちゃんと理解した上で、電話での冒頭の発言。ある意味、私が想定していた態度より悪いんじゃないのか。
『愛先輩の考え方を理解してるはずなのに、今度は呆れられたんですか? あーし』
 その証拠と言うか、電話口で悪態をつく“可愛くない後輩”。
『私を慕ってくれている“可愛くない後輩”なら、私のお願いを聞いてくれていると信じていただけに、残念だっただけだよ』
 だから私も遠慮なく自分の気持ちを口にさせてもらう。
『可愛くないって……今までは可愛いって言ってくれてたのに、何で愛先輩の事を心配してそんな言われ方しないといけないんですか? 大体浮気の副会長から彩風もそう言われたみたいで、相当ショックを受けてましたよ』
『ちょっと待ちなって。何で優希君の呼び方がそんなに失礼になってんの? 悪いけれど私の彼氏に対して失礼な言い方をしたんだから、きっちりと納得させてもらうよ』
 中条さんが男の人に浮気をされて、不信感を抱く気持ち自体は理解できるけれど、それを優希君と一緒にすんなって話で。
『昨日くらいからまた副会長が、愛先輩がいないのを良い事に雪野と昼メシしてんのを知らないからそんな事が言えるんです。彼女が傷ついて学校休んでるのを良い事に、また雪野とイチャつき始めてるんですよ』
 その上、中条さんの方が私との約束を反故にしているにもかかわらず、“いくらやましい気持ちが無いからって言っても、自分の彼女が傷ついてる時に、他の女とイチャついてるのは駄目なんじゃないんですか”と、好き勝手な事を口にし始める。
 だったら優希君は私のお願いを聞いてくれているんだから、ここは私が今度は誠意を見せる番だ。
『嘘は言うなって。優希君は雪野さんとイチャついてなんてないでしょ。誰かさんが全く協力もお願いも聞いてくれないから雪野さんが孤立しているのを見かねて、優希君がフォローに入ってくれているんじゃないの?』
『孤立って……大体雪野に反省の色なんて全く見えないじゃないですか。二年の大体の生徒は雪野の友達が何をしたのか知ってますよ』
 あれだけ同調圧力に流されたら駄目だって、倉本君の考え方と共に統括会の見解を伝えたのに。
『それは雪野さんの友達であって、雪野さん自身には何の関係もない、何の過失も無いって何回言えば分かんの? それから中条さんや彩風さんの代わりにフォローに入ってくれている優希君への訂正の言葉は?』
『なんですかそれ。まるであーしらのせいで副会長が浮気してるみたいな言い方じゃないですか。どんな理由があるにしても浮気した方が悪いって分かって貰えたんじゃないんですか?』
 何回言えば優希君は浮気なんてしていないって分かんのか。それに私たち女側も男の人言う事に耳を貸さないといけないって事も言って来てるのに。いつまで経ってもお互いの意見が平行線なまま何も変わらない“可愛くない後輩”。
『もう一回言うね。私は中条さんや彩風さんが私からのお願いを全然聞いてくれないから、孤立が深まる雪野さんのフォローをお願いしたんだよ。そこんところ分かってんの?』
 彩風さんと言い、中条さんと言い。教頭先生の課題がなかったらこの二人には匙を投げていたかもしれない。本当にあの教頭先生はどこまで何を考えた上で、私に無理難題を吹っかけて来ているのか。
 それに中条さんももっともらしい事を言っているつもりなのかもしれないけれど、これも一歩間違えなくても集団同調――無視――と同じなんじゃないのか。気付けば一時の蒼ちゃんと状況が酷似している。
 だとしたら同じ轍を二度は踏まない。
『なんですかそれ。そうやって愛先輩も男の浮気を容認するんですか? それにあーし前に言ったじゃないですか。二年の中じゃあの戸塚って言う男子やサッカー部自体に良い印象を持ってる女子は少ないって』
 もうあったま来た。
 それでなくても今の発言を優珠希ちゃんが聞いたら絶対に暴れる。
『中条さん。最もらしい事言っているつもりかも知れないけれど、中条さんのしている事はれっきとした“イジメ”だからね。私の言いたい事が分かるなら、この後の事も分かるよね』
 だったらハッキリと突き付ける事にする。こんなにバラバラの状態でどうやって九月末までに全員仲直りをさせたら良いのか全く分からないけれど、これを見て見ぬフリをしてしまったら、今度こそ蒼ちゃんに顔向け出来なくなってしまう。
『なんなんですかそれ。何でそこまで言われないといけないんですか? それにあーしらだって、何とか雪野と接触しようとした事も聞いてくれないで、何であーしらばっかり責められないといけないんですか?』
 何でそう言う嘘を言うのか。こっちはちゃんと雪野さんから優希君を通して、二人ともその行動が変わっていない事は耳にしているのに。
『中条さん。私が登校した時、今度は注意じゃなくて説教ね。中条さんにも次はかなり厳しく行くよ。それが嫌なら、優希君

“浮気の副会長”の事を謝って、雪野さんのフォローと、雪野さんの友達と雪野さん自身は全く別物だって認識させて。この件はちゃんと優希君から聞かせてもらうから』
 倉本君が彩風さんを見ようとしない気持ちが分かってしまう。これじゃあ見ようとしても見られないんじゃないのか。
 どこの世界に自分の話を聞いてくれない同性・異性問わず、他人を好意的に見る人がいるのか。
 この話をしたら優希君と喧嘩になるのは分かってはいるけれど、やっぱり優希君に私のお願いを、理由をきっちり説明した上で聞いてもらわないといけない気がする。
『……この前の放課後の教室でもそうでしたけど、浮気は病気だって言葉もあるくらいなのに、何で男が浮気してないって信じ切れるんですか? 適当に理由を作って雪野とイチャついてるだけかもしれないじゃないですか』
 私の説教予告に何か思う所があったのか、中条さんの雰囲気が変わる。
『私が優希君を信じているから。私に対してたくさん“好き”を見せてくれるから』
 もちろんこの他にも妹さんの前での宣言の事もあるし、あの朱先輩からも何の連絡もない。つまり男の人に厳しい朱先輩も問題無いって判断した事になる。
 ただし、いずれも私と優希君、優希君と優珠希ちゃん。それぞれの信頼「関係」での話だから私から詳細を語るような真似はしない。
『恋愛マスターの愛先輩がそう言うならそうなんでしょうけど、雪野は一体どうしたら良いんですか? あーしだって本当に雪野と接点は持とうとしたんですよ。なのにため息を吐かれたりするのはあーしも心外です』
『だったらせめて雪野さんの友達と雪野さんの件は全くの別物だって言う事くらいは言えるよね。それから彩風さんは信用出来ないから「っ!」例え優希君と喧嘩になっても倉本君とも協力するって彩風さんに伝えておいてくれる? それから近々優希君が中条さんに協力のお願いをしてくれると思うから、ちゃんと優希君のお話を聞いてね』
 その代わり私は次の一歩に踏み込む。蒼ちゃんの時の二の舞だけは絶対に踏まない。
『それだと彩風が――』
『――その分、中条さんがフォローしてあげて。分かった?』
 私だって優希君に信用して貰うために今まで以上に、優希君に誠意を見せないといけない。
『……分かりましたけど、一度愛先輩と会いたいです』
『分かったよ。ただし、さっきの私のお願いをちゃんと聞いてくれたらね。そうしないとかなりきつい説教には変わりないよ』
『……分かりました』
 確認に対する返事を受けたところで、昼休みが終わるのか通話が終わる。
 こうなったら何とかして優希君に私の気持ちを分かって貰って、何とか二人で雪野さんを守る知恵を絞り出さないといけない。
 それに中条さんの事もそうだ。男の人にどう言う浮気のされ方をしたのか、さすがに聞けないけれど、彩風さん同様あまりにも感情に振り回され過ぎている。
 何度言っても中々分かって貰えない二人……一人にため息をついて気分を取り直して机に向かおうとして、
「愛美! 先生から電話よ」
 今度は先生から二日続けての電話だって言う。


『毎日電話してすまんな。明日の夕方岡本の家で今までのいきさつと、一応あいつらの言い分、全15人の処分の説明に伺う事になった。その時に昨日の話の続き、月森の話もするつもりだから……ありがとうな』
 今年受験生なんだから、少しは勉強させて欲しいと思いながら取った電話でまさかの一言。
『……』
 驚いた私がお母さんの方を見やると、少し照れた表情を見せるお母さん。
『じゃあ明日全部……私も聞かせてもらえるんですか?』
『もちろんだ。それと明日伺う時に、岡本の第一志望だった公立の“推薦”の願書も合わせて持って行くから、そのつもりもしておいてくれ……岡本のご両親は本当に岡本想いの良いご両親なんだな』
『――っ! はい! ありがとうございますっ!』
「――?!」
 こんなにも失礼な事ばかりを言い続けた両親の事を褒めてもらえて、嬉しくない訳がない。
 その上、今の辛く重い空気であろう教室内において、私の希望した学校――朱先輩の通う学校の事も覚えていてくれた先生。本当に先生が担任で良かった。
『その時に月森の事だけじゃなくて、教室内の夕摘の事と天城の事も説明するからな』
 極めつけは、私の友達の事も気にかけてくれている事だ。
 何となく明日は普段着じゃ駄目な気がするけれど、バレたら優希君に叱られるかもしれない。
『じゃあ明日お待ちしていますねっ』
『あ……ああ。じゃあまた明日な』
 思いがけないサプライズに気分よく電話を切って、
「お母さんも私のお願いを聞いてくれてありがとうっ! ってどうしたの?」
 お母さんの方を振り返ると、びっくりした表情を浮かべている。
「いえ。先生が来てくれるの本当に嬉しいのね。これじゃあ優希君もうかうかしてたら大変な事になるわね」
「それは違うよ。お母さんが私のお願いを聞いてくれたからだよっ――先生の話をちゃんと聞いてくれて本当にありがとうっ!」
 なんだかんだ言ってお母さんはちゃんと私の話を聞いてくれる。ここがお父さんと決定的に違う所だ。
「……それは、愛美と慶久がお母さんに子供の時の気持ちを思い出させてくれたからよ」
 そして優しい表情を浮かべるお母さん。
「ありがとうお母さん。それと、昨日は酷い事言ってごめんなさい」
「……いいのよ。むしろ不甲斐ないお母さんに愛美の気持ちを教えてくれてありがとう」
 女二人だけの家の中、少しだけお母さんに甘えさせてもらう。
 辛い事もしんどい事も多いけれど、こういう些細なところで幸せを感じられる、良い事もちゃんとあるんだと温もりを感じながら。本当に昨日はあれ以上余計な事を言わなくて良かった。もし言ってたら絶対にお互いが後悔していたと思うと胸に刻みながら。

―――――――――――――――――次回予告―――――――――――――――――
   なんだかんだ言いつつも、主人公の話を聞き入れてくれたお母さん。
           その中で、二回目となる病欠中のデート

           その中で見せる優希君の先見の考え。
    それは後輩二人を想いやるもので、主人公との意見の齟齬が出てしまう。

        しかも、可愛くなくても主人公にとっては大切な後輩。
          協力の結果得られる信頼「関係」伝えようとすると、
           どうしても倉本の影がちらついてしまって……

        『そんなに……そんなに、あの空木が良いのか?』

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