【登場人物】

文字数 2,994文字

 新編 辺境の物語 第四巻 シュロスの異邦人 前

  登場人物

 バロンギア帝国 シュロス月光軍団
 フィデス・ステンマルク 副隊長   
 ナンリ  部隊長 フィデスの部下
 フラーベル  副隊長 文官 
 トリル、マギー、パテリア 隊員

 スミレ・アルタクイン 東部州都軍務部所属  
 ミユウ 州都軍務部 スミレの部下
 ササラ 図書館員      
 ニコレット・モントゥー 元ローズ騎士団文官

 ルーラント公国 カッセル守備隊
 アリス 隊長  
 カエデ 副隊長
 ベルネ、スターチ、リーナ 隊員
 レイチェル、マーゴット、クーラ 隊員
 ロッティー 城砦監督
 エリオット メイド長  
 マリア・ミトラス ルーラント公国第七王女 
 アンナ 王女のお付き
 レモン メイド
 エルダ 前司令官(故人)
 マルシアス・ハウザー 新任の司令官  

 ラウトリッジ ロムスタン城砦領主
 ニミュエ   参謀

 グリア共和国 女神戦隊
 アンジェリカ・ノーマン 隊長  
 ケイニー 参謀
 シェリー  副将 
 リンネル 参謀補佐官
 サクラ  部隊長
 ナーニャ 隊員
 
 フェルナンド 城砦の研究者
 ジェイン 警備員
 CZ46

       ***
 
 ここまでのあらすじ(第一巻から)

 XX歴1450年ごろ、大陸ではバロンギア帝国が勢力を拡大し、隣国の小国、ルーラント公国は国境を引いて守りを固めていました。
 ルーラント公国カッセル守備隊の隊員レイチェルは変身能力があり、指揮官のエルダも身体に秘密を抱えていました。
 バロンギア帝国のシュロス月光軍団とルーラント公国カッセル守備隊が一戦を交え、この戦いではレイチェルの変身能力を利用した守備隊が勝利を収めます。守備隊のエルダは月光軍団の副隊長フィデスを捕虜にし、二人は互いに惹かれ愛し合う仲になりました。
 一方、月光軍団は大敗してシュロスの城砦へ退却を余儀なくされました。そこへ王宮からローズ騎士団がやってきたのですが、騎士団は山賊に襲われ、惨めな姿でシュロスにたどり着きました。騎士団のビビアン・ローラはこれに怒って月光軍団のナンリやフィデスを監禁、投獄してしまったのです。州都軍務部のスミレやミユウも騎士団を止めることはできません。そして騎士団はカッセル守備隊と決着を付けようとします。
 ローズ騎士団はカッセル守備隊の奇襲攻撃によって、いったんは降伏したものの、フィデスを人間爆弾に仕立てて反撃を試みます。それを見て守備隊のエルダが助けにきたのですが、爆弾を抱えたレイチェルは木っ端微塵に吹き飛んでしまいました。ローラはエルダを襲って殺害しました。ところが、エルダの機械仕掛けの身体から発射された稲妻に撃たれます。それでも騎士団はバロンギア帝国皇帝旗を持ち出して守備隊を威圧しようとします。そこへカッセル守備隊のマリアお嬢様隊員が現れ、実はルーラント公国の第七王女であると明かしたのです。これによって騎士団はやむなく王宮へ引き揚げることになりました。しかし、スミレは騎士団のローラを州都へ連れて行くと見せかけて殺害しました。こうしてシュロスの城砦は騎士団の手から解放されました。
 月光軍団のフィデスは残されたエルダの右手を抱きしめるのでした。

 第四巻 シュロスの異邦人 前 はカッセルの城砦に新司令官が赴任するところから始まります。そして物語の舞台は過去から現代に移ります。城砦の研究をしているフェルナンドは遺跡から発掘された不思議なレンガの存在を知りました。ある夜、フェルナンドの研究室に女が訪れて・・・

・時代設定について
 新編 辺境の物語は架空の時代、架空の地域という設定にしてあります。第一巻の書き出しの部分は「××暦1450年頃」とし、「西暦」ではないということを示しておきました。
 そのため、一部の記述では、西暦に照らし合わせると時代的には事実ではないことも含まれています。
 たとえば、活版印刷は西暦1450年頃に金属活字が発明されたことによって広まり、20年ほどのちには欧州各地に普及したと言われています。
 この第四巻でシュロスの城砦の図書室の描写をした際、ベラム装丁の本に混じって、「処刑台のニセ王女」などの手軽な読み物のことに触れてあります。これは西暦1450年には絶対にあり得ません。また、「小説文化」の誕生も一般的には西暦16世紀末とされているので、これらのことから、書物に関しては、「××暦1450年頃」とは、西暦でいえば100年後くらいに相当することになります。
 同様に小銃の使用時期も史実には即していません。

 しかしながら、第四巻で舞台が現代になり、そこでは過去の歴史をあたかも西暦に則って記述している箇所もあります。この辺りは、エンターテイメント小説としてお許しください。

 ・ニーベルングの指環について
 この第四巻では、ワーグナーが作曲したオペラ「ニーベルングの指環」が出てきます。
 「ニーベルングの指環」は「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」「神々の黄昏」の四つのオペラで成り立っています。四作で合計15時間を越える超大作です。
 【遺跡で・・・】の章の中で、フェルがワープするときに、カンカンという金槌の音が聞こえてくるという記述があります。この金槌を叩くような音は、「ニーベルングの指環」の中の「ラインの黄金」から採用しました。

 「ラインの黄金」のストーリーを簡単に紹介します。

 神々の長であるヴォータンは巨人族にヴァルハラ城の建設を依頼します。完成した暁には女神フライアを渡すと約束したのですが、いざとなるとその約束を破棄してしまいます。これより前、地下のニーベルハイムに住むアルベリヒは、ラインの河底から黄金を奪い、世界を支配できる指環を作っていました。ヴォータンは、火の神ローゲから指環や黄金の話を聞き、これを盗んでフライアの代わりに差し出すことにしました。ヴォータンと火の神ローゲはニーベルハイムに行き、アルベリヒを騙して指環と黄金を手に入れます。しかし、その指環は巨人族に奪われてしまいます。

 カンカンという金槌の音は、ヴォータンと火の神ローゲが地下のニーベルハイムに降りて行くときに聞こえてくる音楽です。
 シュロスの異邦人【遺跡で・・・】で、フェルは「金属部品を奪いに行く」ことを、指環を盗みに行くことと重ね合わせていて、そこで、このオペラのことを思い出すという設定です。

 実はこれまでにも、ところどころに「ニーベルングの指環」の世界を潜り込ませておきました。
 登場人物の名前にエルダを使ったり、また、地下帝国の生き残りもニーベルとしておきました。カッセル守備隊や月光軍団、ローズ騎士団はみな女性だけの軍隊で、これはワルキューレの見立てです。
 さらに、レイチェルが変身するときに人の生き血が欠かせないというのは、ジークフリートが大蛇の血を舐める場面に由来しています。ジークフリートはそれによって小鳥のさえずりが人の声として聞き取れるのに対し、レイチェルは意味不明なことを口走ってしまいます。ここは単なるパロディです。
 次の第五巻にも「神々の黄昏」に出てくる「隠れ兜」のような仕掛けもあります。
 ただ、最終的にはうまく結びつけることができなくなって、エピソードが放置される結果となりそうです。まだまだ実力不足です。すみません。

 
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