4 どうして、俺?
文字数 853文字
弁当屋でアルバイトをする青年、多島勝也はつぶやいた。
本屋から弁当屋までの数メートルの距離を、右に左に首を傾げながら戻っていく。
本屋から弁当屋までの数メートルの距離を、右に左に首を傾げながら戻っていく。
不可解というか意味不明というか。
とにかくこのモヤモヤをどうにかしたい、そう思っていた。
とにかくこのモヤモヤをどうにかしたい、そう思っていた。
普段は、開店前に店長がマンガ雑誌を購入しているのだが、今日はたまたま勝也が代りに買いに来た。夕方から働いている彼女は、そのことを知らなかったようだ。
店に戻るなり、店長=叔父さんが言った。
店長が、向かいのバイトJKから渡された傘を、勝也に差し出した。
勝也はズボンのポケットに折りたたみ傘をねじ込んだ。
店長は仕込み作業が残っているからと、厨房に引っ込んでいった。
勝也は、モヤモヤした気分のまま、お向かいの本屋を眺めた。
店長は仕込み作業が残っているからと、厨房に引っ込んでいった。
勝也は、モヤモヤした気分のまま、お向かいの本屋を眺めた。
あの子は、本屋でバイトするぐらいだから、本が好きなのかな。
だからって、どうして自分がクッソガッカリされないといけないのかな。
だからって、どうして自分がクッソガッカリされないといけないのかな。
――そもそも何故、縁もゆかりもない自分が、彼女に期待をされるような存在なのか。
勝也は渋い顔をしながら、ガラス戸越しに彼女をじっと見た。
なぜか、彼女とときどき目が合う気がする。
向こうもこちらをチラチラ見ている。
向こうもこちらをチラチラ見ている。
いや、違う。
あの子は本が好きなはずなんだ。だって自分にあれほど失望してたんだ。
確かめたい……。
あの子は本が好きなはずなんだ。だって自分にあれほど失望してたんだ。
確かめたい……。