3 不意打ち
文字数 741文字
数日後。
由希乃は折りたたみ傘を向かいの弁当屋に持っていった。
由希乃は折りたたみ傘を向かいの弁当屋に持っていった。
彼の姿が見当たらなかったので、店主の中年男性に尋ねてみた。
油臭い空気の充満する店先にいると、髪に匂いがついてしまいそうで、由希乃はそそくさと本屋に入っていった。
着替えて本屋のレジ番につくと、ほどなく件の青年は店に戻ってきた。
由希乃はちいさくちいさく呟いた。
その彼が。
配達から戻ったばかりなのに、また店から出て来た。
その彼が。
配達から戻ったばかりなのに、また店から出て来た。
出て来て、まっすぐこちらに向かってくる。
――なぜだろう。
とんでもなく、心臓がバクバクいってる。
息苦しくなって――由希乃は固まった。
とんでもなく、心臓がバクバクいってる。
息苦しくなって――由希乃は固まった。
彼は店頭で数冊のマンガ雑誌をぽんぽんと手に取り、店内に入ってきた。
由希乃は口をぱくぱくさせ、目だけで彼を追っている。
彼はレジにマンガ雑誌をぽんと置いた。
彼は財布に目を落としながら由希乃に声を掛けた。
……が、返事がない。
……が、返事がない。
彼はいぶかしげに、由希乃の顔の前で手を振った。
由希乃は顔を真っ赤にしながら、本のバーコードをレジに読み取らせた。
由希乃はしょんぼりしつつ、本を青年に渡した。
小首をかしげつつ店を出て行く彼に、由希乃は気付かなかった。
小首をかしげつつ店を出て行く彼に、由希乃は気付かなかった。