7 リトライする青年

文字数 456文字

 勝也がコンビニから店に戻って来ると、早速店長が待ち構えていた。
おかえり、勝也。で、どうだった? 上手くいったか?
それが……
デート、誘えなかったのか?
怖がらせちゃったのか、彼女固まっちゃって……
ええ? で、どうしたんだ
結局、渡してそのまま帰ってきた。

せっかく叔父さんにチケット取ってもらったのに、なんかごめん

それ、脈あるかもしれんぞ
え? それってどういう
いいからもっかいアタックして来い
わ、わかった
 勝也は彼女が帰宅する時間を見計らい、さっきのコンビニ前で待ち伏せすることにした。

 ――休憩している体で。

……あ
いま上がり? お疲れ様
 時間どおり、彼女がコンビニ前を通りかかった。
 夕方と比べると、余裕があるように見える。
あ、あの……、チケットありがとうございました
さっきは驚かせてごめん
いえ……まあ、驚きましたけど、大丈夫です。

こっちこそお礼も言わなくて……済みませんでした

何か飲む? それとも、スイーツがいい?
 勝也はコンビニ店内のイートインを親指で示した。
いえ……悪いですし
おどかしたお詫びだよ
んー……じゃあ
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登場人物紹介

橘 由希乃(女子高生) 
商店街の本屋でバイトしている。内気だがすぐテンパり、暴走しやすい性格。
そのため、人見知りなのか強引なのか分からないと評される。

多島 勝也
本屋の向かいにある弁当屋でバイトしている若者。現在、資格試験の勉強中。
自分に自信がなく、つい素っ気ない態度を取って誤解されがち。

弁当屋の主人
勝也の叔父。妻と二人暮らし。気配を消すのが得意。子供がおらず、勝也を息子のように可愛がっている。イチオシのお惣菜は、チーズとちくわの磯辺揚げ。

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