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文字数 495文字



昔あなたと歩いた道を
一人なぞるように歩く
いつでもあなたは正しいから
わたしには怖い存在だったけど
その後ろをついていけば
間違った場所には行かないから
いつも追いかけていた
ずっと大きかったその背中が
いつのまにか小さくなって
あなたが知ってることより
わたしができることの方が
増えてきた頃から
少しずつあなたとの距離が
大きくなってきて
強く握りひかれていた手は
わたしの方がひくほうが増えてきて
そのうち気恥ずかしくなって
隣を歩くだけになっていった
今思えばもっとたくさん
あなたの手を握りしめて
おけばよかったと思い返す
思っていた以上に
あなたと歩いた場所は
短くて少なくてどこか物足りない
面倒臭さを理由に
振り解いた手から
こぼれ落ちていった温もり
一緒に歩いた道には
ほんの少ししか残ってなかった
でも所々にかすかに感じる
あなたとの軌跡が
まだやれる事があると
背中を押してくれる
その先に答えがあるからと
優しく教えてくれた
昔あなたと歩いた道が
少しずつ変わったとしても
迷わずに歩けるのは
あなたが強さとその裏にある
弱さを補う意味を見せてくれたから
振り返ったその場所で
手を振るあなたに
わたしはいつか笑顔で別れと
愛を受け取った事を伝えよう
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