4 身分を超えた友情と恋
文字数 965文字
成長したカルロスは、王都から離れ、アルカラの大学で学ぶことになった。彼には、無二の親友、ロドリーゴ・ボーサの同行が許された。
自由な大学で、カルロスとロドリーゴは、身分を超えた友情を育んだ。
ロドリーゴと共に学ぶのは楽しかった。彼と一緒だと、僕の心は、解放される。友情という翼に乗って、大空を飛び回ることができるんだ。ああ、耳元で、ロドリーゴの鼓動が聞こえる。
彼と一緒だと、勇気が持てる。頼りない自分なのに、なんでもできるように思える!
カルロス様のお蔭で、私まで、一流の教育を授かることができた。
宮廷を離れると、カルロス様は、それはそれは、生き生きと学ばれ、私を刺激し、学問の高みに引き上げて下さった。
国政について。民衆の幸せについて。……二人で議論をする時の、カルロス様の、あの、赤い頬! 国を良くしたいという、情熱。
なんと素晴らしい方だろう。こんな方を、いずれ王とする イスパニア は、なんと幸せな国だろう!
私は、世界が知りたい。カルロス様の為に、いずれカルロス様がお治めになる、このイスパニアの国のために、私は、世界を知りたい……。
アルカラから、ロドリーゴは、国外へ留学に出た。彼は、あちこちで有意義に学んだ。マルタ騎士団に入り、勇敢な働きをした。ロドリーゴ・ボーサ侯爵は、立派な騎士だった。
フランデルン*を訪れた彼は、イスパニアの、フランデルンへの圧政を知った。
*ベルギー・フランス・オランダの地方。この頃、オランダが、スペインからの独立を画策していた
一方、アルカラから、宮廷へ帰ったカルロスには、結婚話が持ち上がった。相手は、フランスの王女、エリザベト。送られてきた肖像画を見た二人は、お互いに、ひと目で、恋に落ちた。
カルロスの婚約者だったエリザベトは、父王フェリペ2世 の、二人目の妻 となってしまった。
王妃 となった彼女は、同時に、王子カルロスの 母 になった。
父王は、カルロスの、熱い血と、冷ややかな眼差しを恐れた。
彼は、息子を遠ざけ、そして、王妃との仲を疑った。