17 原作とは違う結末
文字数 2,136文字
家臣を引き連れ、王は退出していった。
牢獄にカルロスは、ロドリーゴの屍と共に、取り残された。
「……ん? なんか、動いた気が……。
馬鹿な。気のせいだ。僕の大事な男は、死んでしまったんだ。だが、今は、友の屍の傍らに横たわり、優しい思い出に浸っていたい。あの、楽しかった子どもの頃の……。
こちょこちょ。こちょこちょ(くすぐる)」
二人は起き上がった。
その拍子に、ロドリーゴの背中から、何かが滑り落ちた。
「俺は、死を覚悟していた。実際、死ぬはずだった。だから、この版は、お前に託すつもりだったんだ。お前は、王の手を逃れ、フランデルンへ行く。そういう筋書きだった。でも、王の刺客の撃った弾は、この銅板に当たり……ああ、弾痕が!」
「レルマ伯。喜んでくれ。フランデルンの民のために、僕たちは、共に戦うんだ。これでやっと、僕も、有意義な人生を送ることが出来る。ロドリーゴのお陰で、父上の圧政から逃れることができるのは、民だけじゃない。この僕もだ!」
fin.