世界で一人きりになりたい

文字数 256文字

世界で一人きりになりたい
首を吊った祖父が暮らしていた島で
穏やかな海を眺めながら過ごそう
そうすればきっと幸せが隣に座る
あの日見たウミウシを探して
磯を素足で歩き回るのもいい
すぐ前の道を走る車はなくて
振り返るたびに寂しくなるのだとしても

家に帰ると黒猫がいて
狭い檻に入れられてなんかなくて
鼻をすりつけて甘えてくれる
喉が鳴る音は海風のようだ
金木犀のそばで戯れる僕たちは
オレンジ色の花が開くのを待ちわびている
誕生日のにおいを嗅いでいよう
いじわるな台風に散らされるのだとしても

世界で一人きりになりたい
そんな詩を独りで書いている
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