歌姫が不在の町

文字数 191文字

砂を噛みながら日々を生きている
あの歌姫が店じまいをしたのは
僕がチップを払えなかったからだ
信じ込んで悶々とする六畳間
渇ききっている
息が苦しい
美声が不在の町に今日も響く
酷く寂しそうな犬の吠え声

霞を食らって生きられないと悟る
僕の人生が幕を下ろしつつあるのは
みんながチップをくれないからだ
思い込んで鬱々とする丑三つ時
餓えきっている
心臓が痛い
歌姫が不在の町に初めて響く
怨念が込められた僕の絶叫
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