色
文字数 225文字
靴底が大地を踏みにじって
青いはずの春は砕け散った
世界が君を嗤いはじめた
手首を切り裂きたいと思った
さかさまに墜落したかった
校舎に沿って鈍色の時間を
退屈な授業に飽いた彼女と
視線が交わらないのだとしても
白線の上に立つと
どこかで瓶が割れる音がした
はしゃぐ声が背後を過ぎ去り
迷い込んだ風が雫をさらった
唇を閉ざした十五夜
君はひとりよがりな詩をつづる
絶対に死なない握力で
赤い輪が浮かぶまで絞めてほしいと
翡翠色のノートを閉ざし
引きずり出した腸でできることを考えてみる
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)